湘南ではマスクの着用を求めたうえでオープンな練習・選手取材が可能となっている。写真:佐藤亮太

写真拡大 (全2枚)

 新型コロナウイルスの世界的感染拡大に伴い、Jリーグ各クラブは感染症予防対策に追われている。そのひとつが取材態勢の変更だ。

 例えば、J1の浦和レッズは公開日には練習取材は認められるが、選手取材は禁止。そのため、ビデオ通話アプリを使った取材を行っており、このアプリを導入した他クラブもある。

 また練習取材・選手取材ともにOKだったJ2の大宮アルディージャは更なる感染症拡大に伴い、今月中旬から、練習公開日を週2日とし、電話での選手への取材に変更した。

 また練習を一切、見せない完全非公開を敷き続けるクラブがあれば、掲載予定のない不要不急の取材者に対し、練習場への立ち入り自粛を求めるクラブなどそれぞれだ。

 そんななか、J1湘南ベルマーレはファン・サポーターの見学はNGだが、非公開練習以外、練習取材・選手取材ができる。取材がままならない“行き場”を無くしたメディアにとって湘南は別天地となっている。

 湘南はどんな取材態勢なのか。練習場は相模川の河川敷にある通称・馬入グラウンド。ここで練習を取材する。終了後、グラウンドから土手を越え、約200メートル歩いた管理棟と呼ばれる建物で待ち、選手に取材する。

 拡大防止のため、各クラブが取材自粛・変更のなか、湘南はなぜ、練習取材・選手取材OKのスタンスを続けているのか?

 まず、思い当たるのは取材するメディアの数。浦和では今月25日(水)、新聞、テレビ、ラジオなど20人以上が集まった。それに対し、24日(火)の湘南には記者が4人。天候や曜日の兼ね合いはあるがメディアが少ないことはそれだけ感染リスクが少ないことでもある。しかし、訪れるメディアが少なくても完全非公開を敷くクラブはある。

「ファン・サポーターの方が練習を見られない分、メディアの方に情報を伝えてほしいです。選手に感染予防について注意喚起をしていますし、スタッフもじゅうぶん気を付けています。記者のみなさん、しっかりマスクをして取材していただけるので……。そこはもう信頼関係ですよ」(湘南広報)
「そこはお互いに気を付けてやるしかないことですから」と湘南・水谷尚人社長。クラブ側のメディアに対する信頼の大きさが伝わる。
 
 また浮嶋敏監督は、「普通にしているだけ」と言うものの、「クラブの情報を出してもらうことは良いことだし、あまり過剰になりすぎないことも大事だと思う。チームの活動を見てもらえない状況でサポーターに練習や選手の様子を伝えてもらうのが一番。(取材を)シャットアウトにしてしまうと一体、どんな活動をしているのかどうか、わからなくなるから」とメディアの発信の必要性を語った。

 この話を聞いたのが3月17日(火)。この日、浮嶋監督は約50分、記者の質問を受けた。その内容はサッカーの話から普段は聞くことのない監督のサラリーマン時代の話しが聞け、とても興味深かった。

 オープンな雰囲気が伝わる湘南だが何も考えず、無責任に現状の取材態勢を敷いているわけではない。報道される新型コロナウイルス感染症の推移を鑑み、広報部は毎週、浮嶋監督、水谷社長に取材態勢について確認、相談をしている。

 そこで揃って返ってくる答え。「うん、そのままでやろうよ」。
「なるべく非公開にはしたくないので、その言葉はありがたいです」(湘南広報)

 湘南はリーグ再延期を受け、今月27日(金)から31日(火)までオフ。4月1日から練習再開の予定だ。

 コロナ禍でもオープンな取材を許容し崩さない。これも湘南スタイルだ。

取材・文●佐藤亮太(レッズプレス!!)