カラオケ「まねきねこ」を展開するコシダカHDの腰高博社長(左)と。危機後を見据えている =今月6日

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 コロナウイルスによる経済危機が深刻だ。政府が「ここ1〜2週間」とか「あと10日間程度」とか、「引き続き」とか、コマ切れに見通しや方針を出すやり方は良くない。トランプ大統領のように「7月〜8月まで続くこともある」と、まず「最悪の見通し」を出すべきだ。「あと少し、あと少し」と期待をさせ長引く方が、打ち手が混乱し、精神的にも辛い。

 私は「1年は長引く前提で」と、役員に来期の戦略の大幅な練り直しを指示している。経済危機の今、経営者がやるべきことは3つしかない。(1)まず無駄な支出を抑え、現金を集め「守りを固める」、(2)次に「今、攻められるものを探す」、(3)そして危機後を見据えて「攻める準備をする」。

 ワタミも今まさにそうしている。いち早く中国から全面撤退し、無駄な支出を最大限おさえた。そして、この状況下でも攻められるもの、宅食需要は好調だ。ワタミの宅食は、栄養バランスを管理栄養士が考え、給食以上だと価値が認知され、お子さんをはじめ、新たな市場を開拓しつつある。幅を広げた商品開発やブランド戦略で攻めていける。外食事業も、生産者が在庫を抱えて困っていると聞き、できる限りワタミで応援したいと「緊急100円キャンペーン」を開始した。第一弾の「100円本マグロ」は完売の勢いだ。生産者とお客さま、両方から「ありがとう」を頂き、今後、食材を変え毎週続けていく。こうして、少しでも経済をまわすことには、大きな意味がある。

 そして、危機後を見据えた準備として先日、カラオケ店最大手の「まねきねこ」を展開するコシダカホールディングスと提携を発表した。カラオケ店がワタミの「から揚げの天才」のフランチャイズオーナーとなる大型提携だ。カラオケを歌う人も、国民食のから揚げも、いずれ需要は必ず回復する。「日本一のから揚げチェーン構想」の準備を、こうした状況下でも着々と進めている。

 危機の中、スピード感を持って、王道経営ができるのが、オーナー企業の強みである。逆に今、経営者がとってはいけないことは、慌てること、「失望すること」だ。その上で、経営者であり国会議員だった私からの政策提言は「支払いの猶予」だ。金融機関の借り入れや、手形をとにかく「猶予」する特例措置が必要だ。不渡りは最大の失望だ。緊急融資制度を個人、法人共に厚く実行するべきだ。減税や現金給付の話も出ているが、私はそれには賛成しない。安易な減税や現金給付は日本国株式会社の破綻のスイッチを押しかねない。

 今回のトランプ大統領の、強気やスピード感は「修羅場を生き残ってきたオーナー経営者そのもの」だ。私は毎朝、その日1日をイメージする。その時、最高と最悪、両方のシナリオをイメージする。最悪の時にも、こうすればいいと、打ち手と覚悟を必ず決める。だから経営者人生30年、一度も「失望」したことはない。

 強気の発言だが、全国の経営者にエールだと思ってほしい。コロナが原因の不景気から「死者」を出しては絶対にいけない。「失望」が最大の敵だ。(ワタミ代表取締役会長 兼グループCEO・渡邉美樹