3月14日に開業したJR東日本の新駅「高輪ゲートウェイ駅」

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【なぐもんGO・47】東日本旅客鉄道(JR東日本)の新駅「高輪ゲートウェイ駅」が3月14日、JR山手線・京浜東北線の品川〜田町駅間に開業した。JR山手線の駅としては約半世紀ぶりの新駅だ。AIやロボットなど最新技術が満載された駅としても注目度は高く、開業初日は早朝から混雑していた。ほかにも、この駅が大いに注目を集めることになった要因がある。両路線のなかでも異彩を放つ駅名だ。「ゲートウェイ」の由来について、JR東日本に聞いてみた。

 平仮名や漢字の駅名が多いなか、カタカナが使われている高輪ゲートウェイ駅は目立つ。文字数も山手線のなかではダントツに、京浜東北線のなかでは「さいたま新都心駅」に次いで長い。電車内の停車駅表に表示される「たかなわげーとうぇい」は、いつかは慣れるのかもしれないが、今はまだ違和感がある。駅正面の看板に使われているフォントも“明朝体ではないか”と議論を呼んだ。

高輪ゲートウェイの由来



 なぜ高輪ゲートウェイという駅名になったのか。JR東日本は、「過去と未来、日本と世界、そして多くの人々をつなぐ結節点として、皆様に愛される駅になって欲しい、という考えのもと選考した」と回答する。

 そもそも、駅名は公募しており、もっとも応募数が多かったのは「高輪」。高輪ゲートウェイにはほとんど票が入っていなかった。それでも選ばれたのは、JR東日本が「地域の持つ歴史的背景と、今後新しい駅が未来を切り開いていくシンボルとして街全体の発展に寄与することを念頭に選考を行った」からだ。

 高輪ゲートウェイがある周辺エリアは、古く戦国時代には「高縄手(たかなわて)」と呼ばれていた。海から眺めてまっすぐな道という意味で、人の往来や交流があったと考えられている。

 明治時代になると、品川〜横浜間に鉄道が仮開業し、すぐに新橋〜横浜間が全線開通。日本における鉄道の誕生を象徴するエリアでもある。そして、江戸時代には「大木戸」という関所が設けられ、多くの旅人やその送迎客でにぎわう“江戸の玄関口(ゲートウェイ)”としての役割を果たした。

 なお、歴史については4月1日から2階テラスの大型ビジョンでも放映されるので、気になる人はぜひ一度確認してみてほしい。ワイドビジョンの幅の長さに驚くはずだ。

 また、ゲートウェイには、「出入口や通路などの意味のほか、IT用語として通信手段の異なるネットワークを変換し、相互の通信を可能にする」という意味もある。

 さらに、「新しい街づくりでは、コンセプトとして『グローバルゲートウェイ品川』を掲げて、世界中から先進的な企業と人材が集う国際交流拠点の形成を目指している」とし、新駅がそのエリアに組み込まれていることから、名称にゲートウェイが入っているのだという。

 加えて、3月下旬からは、初の一般消費者向け無人AI決済店舗のオープンや自律移動型ロボットの試験稼働が控えている。このほか、さまざまな実証実験も展開される予定だ。駅舎もほかの駅とは一風変わった革新的なデザインになっている。

 現在は、周辺エリアや構内が工事中だったり、実証実験が始まっていなかったりと、確定している駅名だけが先行して目立っているが、高輪ゲートウェイ駅の本格開業は2024年。JR東日本のたくさんの思いがつまった新駅が、「確かにゲートウェイだ」と思える駅になっているかどうかがポイントになるだろう。(BCN・南雲 亮平)