新型コロナウイルスとの戦いは、いよいよ長期戦となってきた。今年6月開幕の欧州選手権(ユーロ)と南米選手権(コパ・アメリカ)が、1年間の延期に踏み切った。

 欧州各国をはじめとして、国内リーグが延期されている。大会の中止や延期を余儀なくされているのは、サッカーだけではない。スポーツだけでもない。

 国境をまたぐ人の行き来が、全世界的に制限されている。そのなかでユーロやコパ・アメリカのような国際大会の実施に踏み切るのは、現実的に困難ということだろう。

 国内では一度は再開したバスケットボールのBリーグが、再び中止されることとなった。

 Bリーグはシーズン終盤に差し掛かっており、Jリーグやプロ野球よりもスケジュールのやり繰りが厳しい。それゆえの無観客試合による再開だったが、選手が体調不良を訴えたり、審判の発熱があったりしたことで、開催の是非を改めて検討した。その結果、トップカテゴリーのB1は、今週末から4月1日までの3節分を中止することになった。再開の決断も中止の決断も、やむを得ないものだったと理解する。

 Jリーグはどうするのか。

 決断を難しくしているもののひとつに、東京五輪がある。

 東京五輪の開催に伴って、J1は7月上旬から8月上旬までの5週間を中断期間としている。この期間をリーグ戦に充てることができれば、再開を急がなくて済む。国内の感染拡大が収束へ向かうことを見届けてから、リスタートを切ることができる。

 ところが、東京五輪がどうなるのかは現時点で見通せない。日本政府や組織委員会らは予定どおりの開催を強調しているが、国外からは延期を望む声も聞こえてくる。

 Jリーグの村井満チェアマンは、4月3日再開予定のリーグ戦について、今月25日に方針を示すとしている。東京五輪に関する正式なアナウンスを待てば、再開でも再延長でも具体的なスケジュールを示せる。ただ、ユーロやコパ・アメリカは開幕のほぼ3カ月前に延期を発表した。同じスケジュール感なら、国際オリンピック委員会(IOC)は4月20日過ぎあたりまで事態を見守ることになる。
 
 また、日本国内での感染拡大が、今月25日時点で収束に向かっているとは考えにくい。そう考えると、村井チェアマンは、というよりもJリーグは、専門家の意見を参考にしながら独自の判断を下すことになるのだろう。
 
 日本のスポーツ界で、Jリーグはいち早く新型コロナウイルスに反応した。延期は英断だった。
 
 残念ながら、これからしばらくは感染リスクをゼロにはできない。長い戦いになる。それだけに、どこかのタイミングで元通りの生活へ踏み出す必要がある。
 
 スタジアムで感染者が出たりしたら、批判を浴びるかもしれない。それでも、でき得る限りの対策を講じて、4月3日から再開をしてほしい。
 
 Jリーグのスタジアムで得られる情報は、スポーツはもちろん様々なイベントの参考になる。国内だけでなく、海外へ向けても、コロナウイルス対策の参考になるだろう。正常化への一歩を踏み出す決断は、支持を集めると思うのだ。