日立製作所は3月16日、YAMAGATA及び京都機械工具と共に、AR(拡張現実)技術を利用した鉄道車両向けボルト締結作業管理システムの実用化に成功したと発表した。新システムは、ヘッドマウント型スマート端末のディスプレイ上に、締結すべきボルトの位置、そのボルトを規定した力で締結したかを確認できるメーターを表示すると共に、デジタル処理による作業記録の自動管理を可能にするという。日立は今後、同システムの適用範囲を段階的に拡大し、鉄道車両の製造作業を効率化すると共に品質のさらなる向上を目指す。

AR技術を利用したシステムにおけるボルト締結作業

鉄道車両の製造では、機器類を固定するボルトが走行中に緩むことがないように、確実にボルトを締結し、その結果を記録する必要があるという。

日立はこれまで、デジタルトルクレンチシステムを使い、自動でボルトの締結力を判定すると共にタブレットPCでその結果を記録していた。そして、さらなる作業効率と品質の向上を目指して、ヘッドマウント型スマート端末とAR技術を利用したボルト締結作業管理システムを開発し、実用化に向けて現場実証を進めてきたという。

今回、同システムの現場実証を通じて技術・運用面における課題の抽出・評価を行い、実用化に成功したとしている。

従来は、タブレットPC上で指定したボルトと実際に締結したボルトが一致しているかの確認に手間が掛かっていたが、同システムの実用化によりヘッドマウント型スマート端末のディスプレイ上で確認でき、効率的に作業を実施できるという。

また、AR技術を駆使したシステムの運用には一般的に、三次元設計データやコンピュータグラフィックスなどが必要というが、同システムはボルトの位置座標と締結力からなる簡単な表形式データで利用できるほか、熟練者の作業を記録したデータをAR作業指示データとして再利用でき、製造に加えてメンテナンスや修繕の現場へも容易に対応可能としている。

日立は今後、鉄道車両の製造及びメンテナンス作業などにおいて同システムの適用を段階的に進め、作業効率と品質のさらなる向上を目指すと共に、熟練作業員不足の課題解消など適用範囲を拡大していくとのことだ。