2020年クラシック候補たち
第7回:ヴェルトライゼンデ

 3歳クラシックで活躍した兄や姉を持つ馬が、同じ舞台で躍動する――クラシックの歴史を振り返れば、そうしたシーンは何度か見られてきた。

 今年の3歳牡馬にも、同様の期待が持たれている馬がいる。栗東トレセンの池江泰寿厩舎に所属するヴェルトライゼンデ(牡3歳/父ドリームジャーニー)である。


「打倒コントレイル」を目指すヴェルトライゼンデ

 同馬には、クラシックで名を馳せた2頭の兄がいる。

 1頭は、8歳上の兄ワールドエース(牡/父ディープインパクト)。デビュー前から「大物」と騒がれていた同馬は、GI皐月賞(中山・芝2000m)で2着と奮闘した。続くGI日本ダービー(東京・芝2400m)では1番人気に推されたものの、結果は4着。その後はケガに泣かされたが、世代を代表する存在だった。

 もう1頭は、ひとつ上の兄ワールドプレミア(牡4歳/父ディープインパクト)。昨年のGI菊花賞(京都・芝3000m)の覇者である。同馬はその後、GI有馬記念(中山・芝2500m)で3着に入って、さらなる飛躍が見込まれている。

 それら兄と同じく、今春のクラシックでの活躍が期待されるヴェルトライゼンデは、昨年9月にデビュー戦を快勝。2戦目には、オープン特別の萩S(10月26日/京都・芝1800m)に挑んだ。

 好位から直線で抜け出しを図る同馬は、ライバル2頭の間に挟まれるが、熾烈な叩き合いを制して勝利。デビュー2連勝を飾った。

 そして、3戦目にはGIホープフルS(12月28日/中山・芝2000m)に挑戦。スタート直後にスッと内に入って、1番人気コントレイルの後方にピタリとつけた。

 淡々とレースが進むなか、3コーナー過ぎあたりからコントレイルが動き始めると、ヴェルトライゼンデもそれに続いた。直線、コントレイルが一気に先頭に立つと、ヴェルトライゼンデも負けじと追いすがるが、その差は最後まで詰まることなく、コントレイルが優勝。ヴェルトライゼンデは惜しくも2着に終わった。

 こうして、2歳王者コントレイルには及ばなかったものの、陣営はクラシックへ向けて確かな手応えをつかんだという。その様子を、関西競馬専門紙のトラックマンが伝える。

「ヴェルトライゼンデを管理する池江調教師は、『どんな条件、どんな相手でもしっかり走ってくれる。その安定感が魅力』と話しています。また、調教でまたがることの多い水口優也騎手は、『(ホープフルSで負けた)コントレイルは強いけど、中山なら逆転のチャンスはある』と、クラシックでの戴冠を決してあきらめていません」

 このあと、同馬はGIIスプリングS(3月22日/中山・芝1800m)を経由して、本番の皐月賞へ駒を進める。

 兄たちは後方から末脚を駆使するスタイルだったが、こちらは先行力があって、レースぶりにソツがない。陣営が言うとおり、トリッキーな中山なら、その”巧さ”を武器にして、王者へのリベンジを果たせるかもしれない。

 また、ここに来て、同馬はさらに逞しさを増しているそうだ。先述のトラックマンが続ける。

「池江調教師が『体に幅が出て、良化している』とコメントすれば、水口騎手も『乗り心地が、以前よりパワーアップした』と、ヴェルトライゼンデの成長を実感しています。

 スプリングSでは、池添謙一騎手とコンビを組みますが、同騎手も『クッションが効いていて、乗り味のいい馬』と、好感触を得ています」 3歳になって、ますます進化を遂げているヴェルトライゼンデ。クラシックの舞台で、兄たちと同様、いやそれ以上の輝きを放つことができるのか、同馬の走りから目が離せない。