アライアンスでの比較ではこれまでトヨタが日産より下だった

 トヨタが日産を抜いて、世界販売台数で世界2位になった。2020年1月30日、このニュースをネットやテレビニュースで見て「あれ、これまでトヨタが日産より下だったということ?」と思った方が多いかもしれない。

 もちろん、メーカー単体で見れば、長年に渡りトヨタは日産より販売台数が多かった。今回の話は事業を連携しているアライアンスとしての比較だ。

 改めてご紹介すると、2019年1〜12月の世界販売台数で第1位はフォルクスワーゲングループで1097万4600台。次いで、トヨタグループ(ダイハツ、日野自動車等含む)が1074万2122台。1位との差は約23万台と、大手メーカーの販売台数規模としては僅差といって良い状況だ。

 そして、トヨタグループに抜かれて第3位に落ちたのが、日産・ルノー・三菱アライアンスで、約1015万台となった。前年比でみると、VWグループが1.3%増、トヨタグループが1.4%増に対して、日産アライアンスは5.6%減とマイナスに転じている。

 さらに細かく、日産アライアンスの中のメーカー別でみるとプラスは三菱の0.5%増だけで、ルノーが3.4%減、そして日産は8.4%減と大きく落ち込んだ。

 日産の不振の原因は、いったい何かあったのだろうか?

北米&中国市場が影響

 インセンティブ(販売奨励金)に頼った、大幅値下げによる販売台数の維持。これが世界第2位の自動車市場・北米市場での日産のビジネスモデルだった。インセンティブの多用は当然リセールバリュー(下取り価格)を押し下げ、その結果として新車のインセンティブを出し続けていなければならない。以前、マツダが日本国内で陥った、負の連鎖と同じ状況だ。

 こうしたインセンティブを最小化し、北米日産本社と契約ディーラー各社の経営健全化を進めたのだが、値引きしない新車は売れず、北米の販売が落ち込んだという結果だ。

 負の連鎖を断ち切るためには、こうした辛い時期を乗り越えることは日産にとって必須だ。だが、さらなる問題がある。新車の市場導入の大幅な遅れだ。

 近年の日産は北米市場に限らず、日本も含めて新車がほとんど出てこない。商品企画から量産化までの期間があまりにも長い。経営判断が甘く、また社内体制にも問題があったとしか言いようがない状況だ。

 一方、日産が日系メーカーとしてはリーダー的な存在となり、確実に販売台数を稼いできた世界最大市場・中国市場でも伸び悩んでいる。積極的に中国専用車を投入した2000年代から2010年代中盤にかけてに比べると、中国戦略に力強さを感じされなくなった。そこへきて、米中貿易問題で中国市場全体として落ち込んだ。

 こうした日産の世界各地での状況と比べると、トヨタは堅調に新車を出し、電動化などの新技術についても仕向けに見合ったモデル導入を確実に行ってきた。

 トヨタグループと日産アライアンスの世界販売台数の順位入れ替わり。実態としては、日産の世界戦略が大きな曲がり角に立っていることを証明したといえる。

 新生した日産、内田体制の舵取りに今後も注目が集まる。