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新型コロナウイルスの影響で、結婚式を控えた新郎新婦が、延期やキャンセルの決断を迫られています。

事情が事情なだけに、キャンセル・延期料を無料にした「神対応」の式場もありますが、数十万以上の追加料金がかかる式場もあり、対応は分かれているようです。

弁護士ドットコムニュースには、3月8日に予定していた結婚式を5月に延期した女性から「最初は10万ほどと言われていた延期料が、結局約77万と提示され絶句しました」という声が届きました。

最終的には15万円ほどになったそうで、式場とどう交渉したのか話を聞きました。

●延期料「まだサービスを受けていないのに…」

メッセージを寄せたのは、名古屋市に住む女性(22)です。女性は保育関係の仕事をしており、招待していた職場の人から2月末に「安全を考えて全員欠席する」という連絡を受けました。

さらに、女性は妊娠4カ月ということもあり、このまま開催することに不安を感じたため、式場に延期を相談。すると、式費用260万円にくわえて、さらに約77万円が追加でかかると言われました。

延期する場合の見積書には、引き出物代約21万円、映像代が6万9000円、花代約19万円、カメラマン写真代7万7000円、印刷物約6万2000円、司会代4万4000円などの記載がありました。

「まだサービスを受けていないのに、なぜ追加で入っているものがあるのか」。女性が式場側に問い合わせると、負担は一部の引き出物や手配済みの装花代のみとなり、延期料は当初の2割ほどの15万円ほどとなったそうです。

また、当初、写真代については支払う必要があると言われたため、式予定日に写真を撮ってもらおうとカメラマンの会社に直接連絡したところ、「延期料を取るつもりは全くない。プランナーにもそのように伝えたし、今までの人たちもそうしてきた」と言われました。

「カメラマンさんは1円もいただく気がなかったのに、式場はまるっともらう気だったんです。びっくりです」。一連の対応を巡り、女性は式場に対して不信感も抱いています。

●キャンセル料「事業者側に実損が出ていない場合は減額も」

新型コロナの感染拡大を懸念して、泣く泣く結婚式のキャンセルや延期をする場合、キャンセル料などの支払いはどうなるのでしょうか。

消費者問題にくわしい岡田崇弁護士は「契約書には解約をしたときには式までの日数に応じて、見積もりの何%かのキャンセル料を支払うなどと割合が示されていることが多い。

この場合、民法上は『キャンセル料を支払わなければならない』という契約条項は原則として有効になりますが、消費者契約法上事業者に生じる平均的な損害を超えるものは無効になります(9条1項)」と話す。

ただ、新型コロナの場合、キャンセルや延期が直前のことが多いため、「事業者にも損害が生じていることから、無効になるような場合はあまりないのではないか」とも指摘します。

「延期についても、契約書に特に規定がない場合は、一旦キャンセルをして、予約を取り直すのと法律上は変わらないことになります。もっとも、キャンセルや延期によって、事業者側に実損が出ていない場合は、交渉により減額してもらえることもあります」

また、式場がカメラマンや司会者などを外注している場合は、「式場の都合でキャンセルすることになるため、解約料を支払わなければならない可能性が高い」と言います。

「ホテルだと自前で司会者などを用意しており、従業員のためキャンセル料がかからないこともありますが、外注の場合は式場にとっての実損となります。そのため延期の場合でも、請求される可能性もあります。式場から見積書が出て来た場合、それぞれ根拠を聞いてみても良いでしょう」

女性の場合は項目ごとに見積書を提示されましたが、全ての式場がこうした対応を取るとも限りません。まずは新郎新婦で話し合い、式場側と相談する必要がありそうです。

【取材協力弁護士】
岡田 崇(おかだ・たかし)弁護士
大阪弁護士会・消費者保護委員会委員、日本弁護士連合会・消費者問題対策委員会委員、関西大学法科大学院元実務家教員(消費者取引法)
事務所名:岡田崇法律事務所
事務所URL:http://www.okadalaw.jp