●「平成の大遷宮」を契機に商店街の復活を実現

○知名度抜群も、観光客需要が低かった出雲大社・神門通り商店街

「ご縁横丁」は、出雲大社の門前にある商店街「神門通り商店街」に属する商業施設だ。地元建材を利用して建てられた和風建築の平屋3棟を利用したモールには、飲食店や土産物店など11店舗が出店。さらに和菓子づくりをはじめとする旅先での体験を楽しめるイベントが多く開催される多目的スペースも保有するなど、出雲大社観光に訪れた人々を楽しませるスポットとなっている。

出雲大社といえば、古事記に創建が記されるほど歴史のある神社だ。しかし、観光地としての開発は長く行われてきていなかったという。

「元々の商店街には22店舗が存在しましたが、シャッターを下ろした店も多く、営業中の店も門前の一等地が釣り具屋さんという状態で、主に地域の人々が利用する商店街でした。出雲大社自体、参拝客が年間200万人以下であり、その大半は地元の氏子と初詣客と、寂しい状況でした」と語るのは、ご縁横丁を統括する三木康夫氏だ。

ご縁横丁 運営統括責任者 三木康夫氏

かつては国鉄大社線大社駅が存在し、京都・大阪方面からの直通電車も運行されるなど観光客が商店街を訪れやすい環境があったが、1960年代頃から車社会になった結果、素通りされるようになったという。1990年には大社線自体が廃線になり、さらに商店街を利用する機会が減った。

2007年頃の出雲大社と神門通り商店街の間の道路の様子

こうした状況から脱却すべく、地元が立ち上がるきっかけとなったのが2013年に実施された「平成の大遷宮」だ。出雲大社では60年に1度の遷宮が行われるが、2013年のそれは20年ごとに行われる伊勢神宮の式年遷宮と重なり世間的に大きな話題となることが期待された。

この歴史的な一大イベントを契機に出雲市では参拝客増加を見込み、景観整備を開始。電線地中化やアスファルトから石畳への変更、門前にある大通りへの横断歩道設置など観光地化がはかられた。結果、2006年には22件だった神門通り商店街の店舗数は2019年には72件へと増加したという。

「平成の大遷宮」に向けて、出雲大社と神門通り商店街を結ぶ横断歩道が設置されて参拝がスムーズになった

○地元の魅力を発信する「ご縁横丁」

出雲市の取り組みに連動して、民間から立ち上がった企画の1つが「ご縁横丁」だ。三木氏の実家である、地元で140年続く和菓子店「坂根屋」は、出雲大社の門前という一等地でありながら営業していない店舗が集まった一角にも土地を持っていた。

「並びにあった店から、廃業するにあたって声をかけてもらったのが始まりです。周囲の店舗と話し合い、ご縁横丁を作り上げました。出雲市内から特色のあるものを提供する業者を募ってスタートさせた当初は、大遷宮でどれほど人が集まるのかと不安の声もありましたが、今では出雲で出展したいエリアナンバー1とも呼ばれる観光スポットになりました」と語る三木氏は、前職はイベント会社勤務だった経験も生かして各地の栄えている商店街等を参考にご縁横丁を作り上げたという。

観光客向けの街づくりがされていなかった関係上、参拝客も食べるべき、買うべき名物に出会うのが難しい状態だったが、横丁という形で店が集められ、滞在しやすい環境も作られたことで満足度が向上。神門通り商店街の盛り上がりと合わせて、人を集められる場となった。

「出雲ぜんざい」「出雲そば」などの出雲名物が味わえる店が並ぶご縁横丁。いつも買い物客で賑わっている

門前の一等地であり、商店街の入り口でもあるご縁横丁としては、常に魅力あるコンテンツを提供し、人を引き込むスポットであり続けることが目標となる。ただし、そこに集まっているのは小さな商店だ。2019年10月の消費税増税に伴う税制変更への対応は、店舗の負担を抑えつつ対応することが重要課題となった。そこで選択されたのが、AirレジおよびAirペイだった。

●スマホ決済対応で、キャッシュレス決済比率も増加

○増税・軽減税率対応にAirレジ選択、キャッシュレス比率は1.6倍増に

消費税増税と軽減税率へ対応するには、レジシステムの刷新が必要だ。買い換えを検討する中、連携サービスが多くコストがかからないAirレジは魅力的だったという。そうした判断の結果、ご縁横丁の11店舗中、9店舗がAirレジを導入した。また、全店舗でAirペイによるキャッシュレス決済も導入されている。

「私自身、過去に飲食店でアルバイトをしていた時にキャッシュレス決済を利用していましたし、メリットも感じていました。AirレジはiPadの大画面が見やすいですし、タッチパネル式のインタフェースは年配者でもわかりやすいのがいいですね。類似製品と比較しても、圧倒的にわかりやすいと感じました。またクラウドサービスであること、レジとして見た目が格好いいことも魅力でした」と三木氏は語る。

2019年7月にAirレジ導入を決定し、実際に導入したのは9月中旬だった。増税前の駆け込み導入だったが、十分なサポートもありスムーズな導入ができたという。

「店としては現金がわかりやすく、10%という税率はキリもよく以前より扱いやすいくらいです。それでも十円玉は使うことになりますし、小銭を用意するために両替手数料がかかりますから、できるだけコインは使いたくないもの。70代のスタッフも最初は嫌がっていましたが、使い始めればすぐに慣れてスムーズになりました」と三木氏。

利用客側からもキャッシュレス決済対応のPOPが表示されていることでわかりやすいからか、はじめから財布を取り出さずスマートフォンを構える姿がよく見られるという。以前からクレジットカード決済に対応する店舗はあったが、Airペイで対応ブランドが増えたこと、スマートフォン決済に対応できたことで、決済速度が向上したことなどから利用率は増加。導入後2ヶ月で、ご縁横丁全体で見たキャッシュレス決済比率は1.6倍に増え、今後もさらに増加が見込めそうな状況だ。

ご縁横丁の店舗に設置されているAirレジ

Airレジはオプションまで使うと、29種類の決済手段に対応可能

○業務効率化で生み出した時間を使って新たな企画を立案

もう1つ、Airレジ導入で効果が出ている部分がある。それは、業務効率化だ。以前から2カ月に1度、ご縁横丁に出店する店長が集まる会議を行っていたが、そこでAirレジの売上データを活用するようになった。数字に基づいた議論が行いやすくなったことで、三木氏のマネジメント業務負荷が減り、新たな企画をたてるなどクリエイティブな活動がしやすくなった。

「今後はAirレジと会計ソフトを連動させた業務効率化にも取り組みたいですね」と三木氏は、さらなるデータ活用に意欲を見せている。

iPadを片手に、売上データを活用しながら行われる会議

地元の盛り上げにつなげる企画として、宿泊施設や店舗の開業といった計画があるほか、深夜営業に関する検証なども計画している。スムーズな決済処理や効果測定に利用するデータの取得などにより、AirレジとAirペイはさらに活用されるだろう。それらの取り組みにおいて、三木氏は出雲大社を核として出雲市の観光需要をさらに高め、インバウンドの取り込みを成功させることを目指している。

「実のところ、出雲市はインバウンド需要がまだ低く、現在は国内需要が中心です。日本人のルーツというイメージもあり、国内からの注目は高いのですが、これからはインバウンドも取り込みたいですね。データをうまく使って、横丁全体で盛り上げて行きたいです」と三木氏。

出雲大社前で地元商店街を含めた観光客回遊を促す入り口となっているご縁横丁では、単純な決済環境の提供だけでなく、複数店舗をまとめてのデータ集計や、マーケティングに活用できるデータ提供といった側面でもAirレジが活用されている。