初戦のスペイン戦では完敗を喫したなでしこジャパン。イングランド戦では修正された守備が光った。写真:早草紀子

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 惨敗のスペイン戦から中2日で臨むイングランド戦はチームを立て直す重要な一戦だ。高倉麻子監督はコンディションを考慮し、初戦から6名を入れ替えた。イングランドは昨年の女子ワールドカップのグループステージで対戦し、0-2で完封されている相手。しかも、現在の日本はメンタル的にもどん底にある。これ以上の崩壊はなんとしても避けなければならなかった。

 メンバーを入れ替えても、引き続き起用された杉田妃和(INAC神戸レオネッサ)と三浦成美(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)のボランチ。この試合では二人の動きが明らかに改善された。初戦で後手に回った一因には、ボランチの機能不足が挙げられた。ところがイングランド戦では、周りへの指示が出るようになり、自らが早い判断で動くことで後ろの守備陣の予測を助ける流れが生まれた。初戦では見られなかった連動性が復活したことで、日本の強みである“ハメて奪う”守備が再び姿を現わした。「そこは手応えがあった」と杉田も認めるところだ。

 この策が効いたのは、前線のキャスティングも影響している。初戦の後半にゲームを落ち着かせるべく、ポジションを落としてアンカーケアをした岩渕真奈(INAC神戸レオネッサ)と2トップを組んだのは、今年からチームメイトとなった田中美南だ。田中が粘り強くプレススイッチャーとなり続け、岩渕が少し下がり目でケアをする。ゼロ進行のゲームでゴールを求めながらこの動きを並行するのはFWとしては苦しいところだが、まずは崩れかけている中盤の立て直しが重要項目であるこの試合においては、やむを得ない選択だった。

 ただイングランドがアメリカとの激戦後ということもあり、大幅にメンバーを落としてきたから通用したという点は踏まえておかなければならない。1トップは的を絞りやすく、守備を改める機会には絶好の相手ではあった。特に前半は日本の守備が安定し、自信を取り戻しつつあることが選手たちの表情からも見て取れた。さほど厳しくない前半のイングランドのプレス強度であれば、当然の結果とも言えるのだが……。
 
 前半の守備が安定していたなかで得点が得られれば、日本にも勝機はあったのだが、イングランドのボックス付近での守備は相変わらず鉄壁だった。前回の対戦でも、いくら揺さぶりをかけても跳ね返された。多少顔ぶれが変わろうとも、ブレが生じないというのはイングランドの地力だろう。ペナルティエリア近くになると岩渕の動きは封じられ、DF裏のスペースを狙い続けた田中もあとわずかというところで上手く芽を摘まれた。

 フィニッシュに持ち込めたとしても、シュートのタイミングを完璧に読むブロックの正確さはヨーロッパでもトップレベルではないだろうか。ワールドカップで苦しめられたこのブロックを打ち破るという課題は、今回もクリアすることは出来なかった。

 逆に、イングランドは力技で試合を決しようと60分に3枚、その9分後に絶対的エースのエレン・ホワイトを含む2枚のカードを切り、ベストメンバーを揃えてきた。実際に、切ったカードで試合を決めてしまうのだから選手層の厚さのみならず、投入された選手によって澱みなく展開されるサッカーが指揮官の意図通りに移行していく様は圧巻だった。

 残り7分というところでCB三宅史織(INAC神戸レオネッサ)のパスをかっさらわれ、最後は象徴的な選手であるホワイトに決められてしまう。このパターンでの失点がまたしても繰り返された。日本の現状を考えれば、得点まで臨むのは難しいというのが正直なところ。初戦からの立て直しという点においては最低限のラインをクリアした第2戦だった。

取材・文●早草紀子