国内の養蜂家が飼育するミツバチの98・9%が、チヂレバネウイルスなどの病原ウイルスに感染していることが、日本養蜂協会の調査で明らかになった。62%は複数種類のウイルスに感染していた。ウイルス感染の実態を探る本格的な全国調査は初。調査をまとめた東京農工大学の国見裕久名誉教授は「日本の養蜂で大きなリスクとなり得る」と指摘する。

 ミツバチは近年、ウイルス感染が世界的に問題になっている。影響するウイルスは数種類が確認され、感染し発病すると、羽が縮れたりまひを起こしたりするなどの症状が知られている。

 同協会は、全国のミツバチ92群から健康な働きバチを送ってもらい、チヂレバネウイルス、カシミール蜂ウイルスなど7種類について感染の有無を検査した。

 ウイルスが確認できなかった群は92群のうち1群だけ。特にチヂレバネウイルスは98・9%で検出し、全国で満遍なくみられた。1種類のウイルスだけが検出された群は34群で、検査対象の7種類のウイルスのうち6種類に感染している群が2群、5種類が6群と、複数のウイルスによる感染が広がっている。

 ウイルスの伝染ルートは、ミツバチに寄生するミツバチヘギイタダニの媒介が疑われている。検査したミツバチの採集場所周辺に、同ダニがいたかどうかも聞き取り調査し、ダニの寄生が報告された群は全体の42・4%。ダニがいてもいなくても感染率に差はなく、ダニ以外のルートでもウイルスが広がっている恐れがあるとみられる。