D2Cブランドであふれかえる昨今、D2Cの新企業は誰でも立ち上げられるようにも思える。

だが、企業の資金調達と設立には多くの課題が伴うもので、焦れば判断を誤ってしまうことも少なくない。実際に聞けば簡単に避けられそうなミスも多いのだが、創業者らはそうしたミスを経験することで企業を正しい方向に修正できたと語る。たとえば社内業務を負担しすぎたり、フルフィルメント戦略を間違えたりといったミスは多い。

この記事ではD2Cの創業者7人にインタビューを行い、創業当初に彼らが犯した間違いについて話を聞いた。なお、発言の意図を明確にするため一部に若干の編集を加えている。

自分で多くのことを抱え込みすぎた

マックスボーン(Max-Bone)創業者兼CEO、パリサ・フォーレス・パズドロ氏

2016年の立ち上げ当初から、マックスボーンについて極めてクリアなビジョンを描いていた。初期の頃はブランドに対するビジョンと非常に大きな情熱があったため、自分で多くのことをやろうとしすぎた。やがて自分の犯した最大のミスが、最初の頃に自分のチームに仕事を任せられなかったことだと気がついた。創業者だけの力では、企業を拡大し、成功に導くことは決してできない。マックスボーンについて誇りに思っているのが、目標に非常にコミットしたチームがあることだ。ブランドの価値を保ち、与えられた使命をこなせると信じられる人材を雇うことで自分の役割を減らせるようになった。いまでは、それなしに当社が成し遂げた急激な成長は決して得られなかったと考えている。

分不相応な提携企業を選んでいた

カタリナ・クランチ(Catalina Crunch)創業者兼CEO、クリシュナ・カリアナン氏

私が犯した最大のミスは、提携企業は「大きいほど良い」と考えていたことだ。当社がシリアル商品「カタリナ・クランチ・ケト」の包装で最初に提携したのは米国最大手の食品包装企業だった。この企業は毎日100万以上の商品を包装している。その頃、当社は立ち上げから間もなく生産量が少なかったため、すぐに提携は打ち切りになった。かなりの痛手で、すぐに会社を畳もうかとすら考えた。だが、私も頑固な性格なので、他社に頼らなくて済むようゼロから生産工場を作り上げようと決めたのだ。極めて難しいタスクだったが、成し遂げただけのリターンは得られた。

100万ドルもの過剰在庫を抱えてしまった

ヌーンデイ・コレクション(Noonday Collection)創業者兼CEO、ジェシカ・ホーンガー氏

2015年までヌーンデイ・コレクションは記録的な成長を遂げ、ベストセラー商品の在庫を確保するのに苦労した。ともすれば嬉しい悲鳴のように聞こえるだろう。提携企業に過去最大の発注を行い、クリスマスシーズンを見込んであらかじめ大量の注文を追加した。新しい企業ウェブサイトを立ち上げ、企業ポリシーをいくつか変更した。だがその結果、100万ドル(約1億1000万円)分の過剰在庫を抱えることになった。パニックになり、資金繰りからの経営破綻を防ぐため信用供与を使ってステークホルダーが対処計画を立てるための時間を稼いだ。夏が終わる頃には過剰在庫によって全面的な危機を迎えることになった。提携企業らのあいだで噂が広まっており、ヌーンデイへの信頼は失われはじめていた。そこでこの問題から逃げるのではなく、全員に情報公開することに決めた。これが上手くいった。電話会議で将来的な計画を共有したことで全員の結束が高まり、コミュニティとして強固になったのだ。これはヌーンデイ・コレクションにとっての転換点であり、そこから世界展開へと進むことが出来た。これは自社だけでは成し遂げられなかった。たとえ関係がこじれそうになっていても、それでも協力し合うほうが良いことを学んだ。

自分の完璧主義が機会損失になった

インサート・ネーム・ヒア(Insert Name Here)共同創業者、ジョーディン・ウィン氏

ブランドの立ち上げから間もない頃は、今後の核となる構造やプロセスを考えるのは非常に大変だ。私はメールやSNSへの投稿などを、完璧な内容にして望み通りのイメージを作り上げることに固執していた。2カ月ほど経ち、3回目か4回目のやり直しをしていくうちに、自分の完璧主義が機会損失になっていることに気づいた。なにかを提供している状態のほうが、何も提供していない状態よりましなのだ。それからアプローチを変えた。「まずはじめて、その後に洗練と最適化を行う」ことにしたのだ。完璧なものを求めるより、まず完成させるほうが重要なことも多い。

カスタマーのニーズの多さを見誤った

トゥルーマンズ(Truman’s)共同創業者兼CEO、ジョン・ボストック氏

トゥルーマンズを昨年立ち上げるにあたり、掃除道具の業界をシンプルにするという目標を掲げた。この分野は分かりづらい商品や使い方がひとつしかない商品、断片化したブランドなど、混沌とした状況だ。カスタマーサービスの方向性を決めるにあたり、消費者がこの状況に慣れてしまっているのか、それとも打破してくれる企業を待ち望んでいるのかを見定める必要があった。掃除は基本的に自分のために行うことで、必ずしも感動を呼び起こす業界ではない。そこで私と共同創業者のアレックス・リード氏は自分たち自身でカスタマーサービスに向き合うことに決めた。これは大きな誤りだった。2週間も経たないうちにカスタマーからの問い合わせがとても多くなり、すべての時間を費やす羽目になった。メールアドレスとSNSアカウントだけでカスタマーサービスを提供していた時点での話だ。その後、ウェブサイトでライブチャット機能を導入したところ問い合わせがさらに殺到した。製品の成分から散らかった部屋の掃除方法まで、内容はさまざまだ。

こうした意見は製品の改善に役立ったが、いまから考えればカスタマーサービス専門のチームを最初から立ち上げていたほうが意見を集めやすかっただろう。さらにいえば、カスタマーとのコンタクトをひとつの技術パッケージにまとめたほうが良かった。1年足らずのうちに、ライブチャットとSNS、メールなどをあわせて2万回以上カスタマーとやりとりした。毎回カスタマーの役に立とうと努力し、なにより誠意を重視した。私たちが掃除の分野で起業したのは、作り手のあり方とメッセージをカスタマーに伝えたかったからだが、それを待ち望んでいたカスタマーがどれほど多かったかを見誤っていた。

人材に投資して助けを求めるべきだった

グラムネティック(Glamnetic)創業者、アン・マクファラン氏

これまでで最大の誤りは、仕事を自分で背負いすぎたことだろう。グラムネティックを立ち上げた頃から、全部自分でやることに慣れすぎていた。最初の5カ月は私が唯一の社員だった。寝る間も惜しんで働いた。商品写真の撮影から編集、SNSの運営、カスタマーサービス、商品開発に至るまで、すべて自分でこなしていたのだ。そうして月に50万ドル(約5400万円)を売り上げるまでになった。その頃には、自分が固執しすぎていると考えるようになった。よりたくさん働くよりも、もっと賢く働くべきだと気づいたのだ。人材に投資して助けを求めることが、自分がおかしくならないためにも、より大局的な計画や拡大について考える余裕を持つためにも重要だと気づいた。自己認識と、仕事を任せるという判断はブランドの拡大において必須だ。

もっとゆっくり事を運ぶべきだった

ブライドサイド(Brideside)共同創業者、ニコール・ステープル氏

ブライドサイドのシリーズAを終える頃には、もっとゆっくり事を運ぶべきだったと思うようになっていた。つまり成長のための人への投資を成長自体への投資より大切にすべきだと気づいたのだ。ここ9カ月で、チームの規模を倍に増やした。いくつかのショールームを立ち上げ、プライベートブランドとなるガウンやブライズメイドのドレスを販売した。このとき人への投資には金や時間、経営判断が必要であり、チームのポテンシャルを最大限引き出すために欠かせないものだと身を持って体験した。企業文化として情熱や所属意識が根付いたチームを作り上げることで、リターンは何倍にもなって返ってくる。

Gabriela Barkho(原文 / 訳:SI Japan)