従業員と労働環境の安全が小売企業にとって最優先事項となっている。製造とサプライチェーンを中国に大きく依存する企業にとってはなおさらだ。有名ブランドの多くが、新型コロナウイルス感染症の集団発生で、業績予想に大打撃を受ける一方、社用旅行を通じた感染拡大を防ぐことが喫緊の課題となっている。

報道によると、危険な新型コロナウイルスに対する懸念から、欧州各地の小売企業が社員の在宅勤務を奨励し、中国を中心とする当該地域への出張を制限している。とくに、スイスのオフィスに勤務するGoogle社員の感染が確認されたというニュースが流れて以来、拡散防止のために積極的な措置を講じる企業が増えている。

以下に、小売大手が講じる、アメリカ本国へのウィルス拡散防止策をまとめた。

Amazon:Amazonは、2月7日、他社に先駆けて、社員の出張を当面制限すると発表。同社の広報担当者によると、この方針は現在も継続中という。「我々は従業員の安全を最優先に考え、この状況を注意深く見守るとともに、顧客への対応にも万全の態勢で臨んでいる。状況の推移に応じて、各国および国際的な保健当局のガイダンスに従いたい」と、同社はコメントしている。

メイシーズ(Macy’s):2月25日に実施したアナリスト向けの当期決算報告のなかで、ジェフ・ジェネット最高経営責任者(CEO)は、同社の香港オフィスがいまも営業中であると述べている。ただし、同社はSARS勃発のおりにフレックスタイム制を導入しており、従業員は今回もこの制度を利用できるという。

ウォルマート(Walmart):2月18日に開催された投資家向けのイベントでの発表によると、新型コロナウイルス対策の一環として、中国内の店舗は時間を短縮して営業するという。「我々は新型コロナウイルスに関連する問題を、日々管理している」と、ダグ・マクミロン最高経営責任者は当期の決算短信で述べている。マクミロン氏は「従業員と顧客の安全が最優先」と強調するが、ウォルマートは、現時点で、従業員の出張に関する正規のポリシーは定めていない。一方、ウォルマートインターナショナル(Walmart International)のCEO、ジュディス・マッケンナ氏は、1月31日に投稿したブログ記事のなかで、感染防止のために、日常の衛生管理を「強化」するよう店舗の従業員に呼びかけた。

ホームデポ(Home Depot):ホームセンターのホームデポは、現在、最近中国に出張した従業員に対し、14日間の在宅勤務を義務づけている。また、同社によると、強制的な検疫とは別に、従業員による中国への出張および同国からの出張を制限している。

ナイキ(Nike)、ウォルマート、ホームセンターのロウズ(Lowe’s)をはじめとする大手小売企業は、昨年末に勃発した新型コロナウイルス感染症の集団発生以来、サプライチェーンと店舗運営におよぶ影響から、軒並み業績予想の下方修正を発表している。また、主要な業界イベントの予定にも、先行き不透明感が色濃く漂っている。ショッピファイ(Shopify)は2月28日に、5月に予定しているカンファレンス「ユナイト(Unite)」の開催を中止すると発表した。この発表のなかで、同社はこう述べている。「COVID-19(新型コロナウイルス感染症)をめぐる公衆衛生の問題が拡大していることから、人と人の接触を伴うショッピファイユナイトの開催を中止するという困難だが必要な決断を下した」。

Gabriela Barkho(原文 / 訳:英じゅんこ)