30年以上にわたって、北千住駅と中目黒駅を結ぶ東京メトロ日比谷線で使われていた03系電車が引退しました。営団地下鉄で初めて冷房装置を搭載し登場した車両で、東西線用の05系電車と大きな縁があります。

日比谷線03系は東西線05系と基本仕様をそろえた車両

 東京メトロ日比谷線用の03系電車が、2020年2月28日(金)で営業運転を終了しました。

 03系は、1988(昭和63)年7月に日比谷線でデビュー。そのころの日比谷線は朝ラッシュ時間帯の混雑が激しく、急きょ車両を増備することになりましたが、日比谷線独自の車両を設計する余裕がありませんでした。

 そこで東西線05系電車の設計が進んでいたことから、基本的な仕様を05系にそろえて製造したのが、この03系。営団地下鉄(東京メトロの前身)としては初めて、冷房装置を搭載して新製した車両です。


東京メトロ日比谷線から引退した03系電車(2016年8月、恵 知仁撮影)。

 その後、03系は1994(平成6)年までに42編成(336両)が製造されました。乗降時間を短縮するため、5扉車も登場しています。

 03系の引退にあたって、特にイベントは行われていません。東京メトロ広報部によると、「千代田線の6000系電車が引退したとき、多くのお客様で車内やホームが混雑し、ご迷惑をおかけしたため、今回はイベントの開催を見合わせました」とのこと。記念グッズの発売も、いまのところ予定していないそうです。

 また03系は東京メトロからの引退後、熊本電鉄や北陸鉄道、長野電鉄に譲渡されています。