前半5分、U-17日本代表は2点目を決めたMF豊田晃大(名古屋U-18、中央右)と先制点のMF松木玖生(青森山田高)がゴールを喜ぶ

写真拡大

[2.29 JENESYS青少年交流大会決勝 U-17日本代表 7-0 U-19東ティモール代表 指宿いわさきホテルサッカー場]

 逞しく変わったU-17日本代表が圧巻V――。「JENESYS2019 青少年サッカー交流大会」(鹿児島県指宿市)は29日、決勝戦を行い、グループA1位のU-17日本代表とグループB1位のU-19東ティモール代表が激突。U-17日本代表がMF松木玖生(青森山田高)の先制ゴールなどによって7-0で勝ち、参加8チームの頂点に立った。

 グループステージを3連勝で突破した日本は4-4-2システム。先発GKが高橋一平(神戸U-18)で4バックは右SB清水和馬(静岡学園高)、CBチェイス・アンリ(尚志高)、ゲーム主将のCB波本頼(金沢U-18)、左SB工藤孝太(浦和ユース)。中盤は松木と藤原健介(磐田U-18)のダブルボランチで右MF豊田晃大(名古屋U-18)、左MF福田師王(神村学園中)、2トップはマレーシア戦で決勝点の真家英嵩(柏U-18)と東廉(清水ユース)がコンビを組んだ。

 試合前にゲーム主将・波本の気合の一言やサブ組、スタッフとのハイタッチで2周したことで笑いが起こり、やや硬さのあったチームは完全にリラックス。年上で、身体能力に優れた選手が複数いた東ティモールを攻守両面で上回る。

 4分、日本は豊田がDFのマークを外してコースを突いた左足シュート。GKが何とかセーブしたが、ファーサイドでこぼれ球を拾った福田が中央へ折り返すと、松木が身体を投げ出してシュートを決めた。今大会、存在感を放つ一方で前日の試合後に「得点がないので、そういうところではこだわりが欠けているのかなと思います」と首を振っていた松木の気迫の一撃。このゴールで勢いづいた日本は前半に畳み掛ける。

 5分、左クロスのクリアに反応した豊田が左足一閃。ミドル弾を鮮やかに決めて2-0と突き放した。豊田はU-19ラオス代表戦の2発に続くゴール。ファインショットに選手たちが沸いた。

 だが、アタッカー陣のスピード優れた東ティモールも反撃。10分、日本はDFが振り切られる形で決定的なシュートを浴びる。これはGK高橋がシュートコースを消して相手の精度を狂わせたが、直後にも左CKからのシュートがGKの逆を突く形で枠へ。それでも、日本は藤原が戻りながらのスーパークリアで得点を許さない。

 この後、日本は攻撃から守備への切り替えが速く、ボールを奪い返して連続攻撃。福田がワンツーや、東の折り返しからシュートへ持ち込む。そして21分、日本は藤原のスルーパスで真家が右中間を抜け出す。一度ボールを失ったが、サポートした豊田が見事な奪い返し。そして、真家がすかさず右足シュートをファーサイドのネットに突き刺した。

 日本は味方をサポートする意識も高く、藤原、松木の展開から清水と工藤の両SBが高い位置で攻撃に絡んでいく。そして、波本とアンリがエアバトルで強さを発揮。27分には松木の右CKをアンリが豪快なヘディングシュートで代表初ゴールを記録する。“ボンバーヘッド”アンリは直後にも右ショートコーナーから高打点のヘディングシュートを打ち込み、会場をどよめかせていた。

 日本は40分、右サイドを清水、藤原、豊田が絡む形で崩し、最後は豊田の折り返しを東が右足で決めて5-0。ここ2試合は引いて守る相手に苦戦した日本だったが、この日は崩しの精度が上がり、東らの抜け出す動きも効いて得点を量産した。

 ハーフタイムに日本はアンリと工藤に代えて、CB諏訪間幸成(横浜FMユース)と左SB松田隼風(JFAアカデミー福島U-18)をピッチに送り出した。船越優蔵監督からさらにクオリティーを上げることを求められていた日本は後半10分、敵陣右サイドでの奪い返しから真家が右足シュートを叩き込んでこの日2点目。直後には豊田と福田に代えて右MF青木俊輔(東福岡高)と左MF安田虎士朗(FC東京U-18)、19分には東に代えてFW勝島新之助(京都U-18)、23分には高橋に代えてGK黒川雷平(愛媛U-18)を投入した。

 日本は24分、右中間で数的優位を作り出すと、青木がマークを引きつけてラストパス。これを藤原が決めて7-0とした。攻撃での判断ミスや技術ミス、また相手のスピードに苦戦し、守備対応の甘さやスペースを埋める動きが遅れたシーンがあったことも確か。だが、交代出場の選手たちもこだわって無失点をやり遂げ、最後までゴールを目指し続けた。この日は前日に負傷したDF屋敷優成(大分U-18)が欠場したものの、18人全員でタイトルを獲得。選手たちは素直に優勝を喜んでいた。

 

 今回の鹿児島合宿で選手たちは、AFC U-19選手権を控えるU-19日本代表へ“個人昇格”するためにアピールすること、全勝優勝することを目標として戦ってきた。U-19日本代表の影山雅永監督やU-16日本代表の森山佳郎監督も視察。刺激を受けた選手たちはそれぞれの特長を出しながらチームに貢献し、結果に繋げた。

 初招集や久々の招集で自信なさげに活動をスタートした選手もいた。だが、各選手は競争の中で「少しずつですけれども、内にあるものに火をつけたのかなと思います。(プレー面では)僕から言われて変わる場面もあったんですけれども、(状況を感じ取りながら)自発的に変わろうとしていたことが凄く良かったかなと思います」(船越監督)。もちろん、悔しい思いをした選手もいるが、明るく、逞しくなって合宿を終えた選手も多かった。

 コミュニケーションの部分も向上し、決勝は今大会のベストゲームと言える内容と結果だった。このまま活動が続けばさらなる進化が見られそうだが、今回の合宿は終了。船越監督は「次来た時は(最低限)ここから始められるように、と思います」と期待する。U-17日本代表やアジアとの戦いで感じた強さや速さ、精度……最終日の試合で表現したことを基準に。それを各チームに持ち帰ってさらに積み上げ、より成長してまた代表チームに戻ってくる。

(取材・文 吉田太郎)