2020年クラシック候補たち
第5回:クリスタルブラック

 3歳牡馬クラシック第1弾のGI皐月賞(中山・芝2000m)と同じ舞台で行なわれるGIII京成杯。今年の同レース(1月19日)において、今後が楽しみな馬が勝ち名乗りを上げた。

 美浦トレセンの高橋文雅厩舎に所属するクリスタルブラック(牡3歳/父キズナ)である。


京成杯を制してクラシックの有力候補に名乗りを上げたクリスタルブラック

 同馬は、昨年12月の2歳新馬(12月15日/中山・芝1800m)でデビュー。立ち遅れ気味にスタートしたうえ、鞍上の吉田豊騎手の手綱が引っ張られる場面も見られたが、向こう正面を迎えた頃には落ちついて、中団やや後方を追走していった。

 そうして、3コーナー途中から大外に持ち出すと、一気に進出。直線入口で、早くも先頭集団に並んでいった。距離的なロスは相当なものだったが、クリスタルブラックはそのまま大外からグングンと伸びていって、先頭でゴール。圧巻の強襲劇で初陣を飾った。

 デビュー戦から派手なパフォーマンスを見せて、2戦目にはすかさず重賞の京成杯に挑んだ。1番人気に推された良血スカイグルーヴを筆頭に、評判馬が顔をそろえた一戦となり、クリスタルブラックは12頭立ての7番人気にとどまった。

 だが、クリスタルブラックはこの前評判を覆して、再び強烈なパフォーマンスを披露する――。

 このレースでも、クリスタルブラックは道中、やや引っかかりながら後方で待機。4コーナーの時点でも、後方10番手に位置していた。

 その間、人気のスカイグルーヴは悠々と先頭に躍り出て、そのまま突き抜けていきそうだった。その走りを見て、おそらく多くのファンや関係者が、同馬の勝利を確信したことだろう。

 ところが、デビュー戦と同じく大外に持ち出したクリスタルブラックが、直線を迎えた瞬間に凄まじい末脚を炸裂させる。スカイグルーヴに引き離された面々をあっさり捕らえ、前を行くスカイグルーヴにも一完歩ずつ詰め寄っていった。そして、ゴール直前にきっちりかわして快勝。見事に強敵を下して、デビュー2連勝で重賞制覇を遂げた。

 この結果、一躍注目を集めることになったクリスタルブラック。同馬を間近で見てきたスタッフは、早くからその素質の高さを感じていたという。関東競馬専門紙のトラックマンがその様子を伝える。

「クリスタルブラックは、牧場時代からスタッフが高く評価していた存在だったみたいです。デビュー前の調教でも、2勝クラスの古馬と互角に走っていて、スタッフは(結果を出せる)手応えを感じていたそうですよ。

 その手応えが確信に変わったのが、新馬戦での走り。同馬はそこで、34秒4という上がりをマーク。厩舎スタッフによれば、古馬を含めたその日の芝レース全体で、2番目の記録だったそうです。それで『この馬は走る』と、あらためて感じたようです」

 さらに厩舎スタッフは、京成杯の結果を受けて、この馬の能力に一段と驚かされたという。先述のトラックマンが続ける。

「京成杯では、スタート直後から向こう正面までかかりどおし。頭を上げる素振りも見られました。それでいて、最後にあの伸びですからね。スタッフも、『あんなレースぶりでよく勝ってくれた』と感心していました。折り合いが良化すれば、より一層上を目指せるでしょう」

 ちなみに、管理する高橋文雅調教師は、開業9年目にして初の重賞勝利。かつて、大久保洋吉元調教師のもとでスタッフとして働いており、大久保氏と師弟関係にあった吉田豊騎手との絆も深い。それゆえ、初重賞タイトルを吉田豊騎手の手綱によってもたされたことに、ことのほか喜んでいるという。 クリスタルブラックは今後、皐月賞に直行する予定。本番でも、他馬を圧倒する末脚が爆発するのか、注目である。