機能はかなり制限される上に精度の点でも難しい

 先進運転支援システム、先進安全機能の標準装備化は待ったなしという社会のムードになっている。AEB(衝突被害軽減ブレーキ)の義務化は2021年11月から始まるし、すでに装着率は8割近い。ペダル踏み間違いに対応する装置については後付けできるものも多く発売され、装着にあたって補助金が出るようになっている。

 しかしながら、高速走行時のふらつきを検知して注意喚起をする「車線逸脱警報」については、後付け化の動きは鈍いという印象だ。自動車メーカーが装備してくる機能が、車線維持などステアリングやブレーキ操作によってクルマの姿勢を制御しようというフェイズに入っている。

 この手の後付け製品全般に言えることだが、何らかのイレギュラーな状況を検知して警報を出すことはできるが、クルマをコントロールすることはできない。警報だけでは物足りないということなのだろう。

 車線逸脱警報については後付けの場合は精度も課題となっている。ドライブレコーダーにこうした機能が付いている場合、ウインカーと連動させることができないと単なる車線変更でも警報が出てしまうため煩わしいという声もある。

精度を高くするには高価になってしまう

 製品によっては、そもそもの精度が満足できるレベルではないという指摘もある。自動車メーカーの装着している車線逸脱警報でもそうだが、カメラの位置は精度を出すのに重要なファクターであり、その点においてユーザー側の自由度が高いドライブレコーダーに付随する機能として精度を高めるのは難しい面があるのも事実だろう。

 メーカーが採用しているのと同等のセンサーを使った後付け装置であれば、かなり精度が高いものもある。その代表例といえるのがモービルアイの製品で、最新版の「モービルアイ570」は、車線逸脱警報だけでなく、車間警報、追突警報、歩行者警報などを可能にしている。ブレーキをかけたり、ステアリング操作をしたりはできないが、センシング能力としては自動車に装備されているADASと同等といえるレベルだ。

 ただし、そのお値段は税込み17万6000円とけっして安くはない。取り付けについても標準取り付け工賃は3万8500円〜4万9500円となっているため、おいそれと手を出せるものではない。

 トラックなど業務用のクルマについては、車両価格の高さや事故を起こした際の補償や損失を考えると、これだけのコストをかける価値はあるが、一般ユーザーが20万円以上を出すと判断するのは難しいだろう。衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱警報などがパッケージになったADAS機能はユーザーが負担する車両コストでも数万円のレベルまで下がってきているからだ。

 事故を起こしてしまえば命を失ってしまうかもしれないし、その意味では安全にはお金をかけるのは正義だ。とはいえ、普及するにはコストパフォーマンスは重要。現時点で車線逸脱警報系の商品については、そのあたりのバランスから普及フェイズになっていないだけで、コストや精度の課題がクリアできれば一気に普及する可能性はある。もっとも、新車に標準化されていくなかで、後付けのニーズも徐々に薄れていくはずで、はたしてリーズナブルな価格の後付け装置が増えてくるかといえば、疑問だ。