私が細野邦彦さんの下でディレクターとして、いろいろ勉強しているときのことです。ある日、細野さんに呼ばれて「おまえ、新宿のスタジオに行ってこれを見てこい」と言われて、行ってみた私が出会ったのが「アロービック・ダンシング」でした。1983年のことでしたか。

「アロービック・ダンシング」と言っても何のことかわからないでしょう。「エアロビクスダンス」の創始者が考えたというものを、わかりやすく軽やかに、朝のワイドショー「ルックルックこんにちは」で紹介しろというものです。リハーサルで見ていると、1人の女性が目に留まりました。

ジェニー中尾という、ハワイ出身で日系4世の若い女性の、きびきびした動きと、何か妙な掛け声が気になりました。よく聞くと「見てください」というのが「見てくらさ〜い」と聞こえてしまうのがチャーミングで、それを、売り込もうと思いました。

小さなことでも「他人にはない着眼点」が大事

ワイドショーの中にレギュラーで入れてしまおうというものですから、苦労しました。セットも回転して絵替わりするものを用い、照明にも工夫が必要でした。

最初は、見ている方にも多少の戸惑いがあったようですが、次第に、ジェニー中尾の人気も出てきて、明るいコーナーになりました。ジェニー中尾の爽やかさと、エアロビの目新しさがマッチして、毎日の朝の人気定番コーナーになりました。

細野さんの視点は、何か違うなと思いました。小さなことにしても、「他人のやらないことをやる」ということです。その後、ジェニー中尾さんは、イギリス人男性と結婚して3児の母となり、シンガポールで幸せに暮らしているそうです。