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 QRコード決済には、2通りの決済方法がある。ひとつは、支払う側すなわち利用客のスマホの画面にQRコードを表示させる方法。もうひとつは、店側が提示しているQRコードを利用客のスマホのカメラで読み取る方法だ。今回の記事では後者について解説したい。

 利用客のスマホのカメラでQRコードを読み取る、ということは客の手で支払金額を打ち込むということでもある。この方法での決済は、実は大きな欠点があることはご存じだろうか。

◆ゼロを故意に省いて逮捕

 たとえば、筆者が1万2000円のワイヤレスイヤホンを家電量販店で買ったとする。その家電量販店はキャッシュレス決済対応で、レジカウンターに貼られたQRコードをこちらが読み取ることで料金を支払う。筆者は決済アプリに「12000」と数字を入力するのだが、ここでどういうわけか筆者に悪魔が囁いた。

「店員にバレないよう、ゼロをひとつ省いてから決済してしまえ」

 これを実行すると、筆者は1万2000円の製品を1200円で入手できることになる。支払いを済ませたことは口頭で言えばいい。実はこれとまったく同じやり方で、書店から漫画を騙し取った者がいた。無論、その犯人は既に逮捕されている。うっかりミスならともかく、故意にそれをやれば犯罪だ。だから、上記のような「1万2000円を1200円で」を本当にやったら、筆者はこうして記事を書いてはいない。

◆つきまとう「誤入力」の可能性

 ひと言で言えば、これは店員が確認を怠ったがために発生したことでもある。指導が徹底している店であれば、「アプリに金額を打ち込んだ状態で、なおかつ決済をする直前の画面」と「決済をした直後の画面」のふたつを必ず目視確認する。これは客の誤入力を防止する効果も持っている。

 が、その店が忙しい時はどうか? 

 それこそ目の回るような忙しさの只中にいると、店員もついつい細かい部分を省いてしまうかもしれない。しかもその時に限って、誤入力が発生してしまうのもまた事実。

 客としては、決済金額よりも少ない数字を入力する分にはまだいいだろう。それに気づいたら足りない分を払えばいいからだ。しかし、逆に多く払ってしまったら?

 1200円の商品に対して1万2000円で決済してしまった、ということは当然あり得る。その場合、過払い分はちゃんと返ってくるのだろうか?

◆もしも余計に払ってしまったら?

 こうしたことは、各QRコード決済銘柄の運営者も承知の上である。ここでは楽天ペイを例に挙げよう。楽天ペイ公式サイトの「よくある質問」に、

<Q.楽天ペイ(アプリ決済)を使ったお客様が、支払う金額を間違えてしまいました>

 という項目がある。これに対する答えは、以下の通り。

<楽天ペイ店舗アプリの「取引履歴・取消」より、対象の取引を選択し、「取引の取消」ボタンを押して、取消を行ってください。その後、あらためて正しい金額でお客様にお支払いいただいてください>

 「楽天ペイ店舗」アプリとは、事業者側が利用するプラットフォームである。ここから店員が取引のキャンセルを行い、そこから改めて決済をやり直すという段取りだ。

 こういうことがいつでも可能だから、間違った金額を入力してしまった客は決して慌てる必要はない。店員に「数字を打ち間違えた」と言えば、それで済む。このあたり、クレジットカードを使った場合のキャンセルよりもむしろ処理が手軽と言える。

 そもそもQRコード決済サービスとは「クレカを持っていない人にいかにしてキャッシュレス決済をしてもらうか」という社会的使命を帯びているものでもあるから、あらゆる面でクレカよりもシステムが簡略化されている。

 筆者は地元静岡市の公営施設で開催するキャッシュレス決済講座で、「クレカ嫌いの人こそキャッシュレス決済サービスを利用してみよう」とつねづね言っている。日本の場合は信用力に問題はないが、クレカそのものが好きではない、故にそれを所有しないという人が少なくない。しかし、いや、だからこそ審査不要で知らず知らずの負債を作ることもないキャッシュレス決済サービスの利用を筆者は強く勧めている。

 なお、楽天ペイ利用者であれば、楽天ペイ公式サイトの「よくある質問」に一度目を通しておいても損はないだろう。<文/澤田真一>

【澤田真一】
ノンフィクション作家、Webライター。1984年10月11日生。東南アジア経済情報、最新テクノロジー、ガジェット関連記事を各メディアで執筆。ブログ『たまには澤田もエンターテイナー』