AFPのインタビューに応じた国立国際医療研究センターの大曲貴夫氏(2020年2月26日撮影)。(c)Kazuhiro NOGI / AFP

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【AFP=時事】日本は新型コロナウイルスの大流行を防げるのか、それとも国内での感染拡大を収束させられず、東京五輪開催を再検討する必要が出てくるのか――政府の感染症対策に関わる専門家はAFPのインタビューで、日本は今「岐路」に立っていると警鐘を鳴らした。

 国立国際医療研究センター(NCGM)の大曲貴夫(Norio Ohmagari)国際感染症センター長は、日本政府が現在取っている対策について、新型ウイルスの大規模な感染拡大を防ぐことはまだ可能だとの見解を示した。

 ただし、今後3週間が肝心だとも指摘し、英語で行われたインタビューで「私たちは今、(新型コロナウイルス感染症)『COVID-19』封じ込めへの岐路に立っている」と語った。

 日本政府は大規模イベントの中止を要請し、在宅勤務や時差通勤を推奨しているが、イベント開催などを禁止してはいない。大曲氏はこうした対応を擁護し、「今やっていることを続けていけば、COVID-19を封じ込めるか、排除できる可能性は大いにある」と述べた。

 一方、まだ不確実性も大きく、7月に開幕する東京五輪の準備に不安の影を落としていることも認め、「少なくとも今後3週間は状況を見守らなければならない」と発言。

「国内での二次感染を抑え込むことができれば…それは、とても良い兆しだと思う。五輪とパラリンピック開催を決断する非常に良い合図になる」としつつ、国内での感染が続いた場合、関係当局は「大きな、大きな決断」を迫られることになると話した。

 日本政府の新型ウイルス危機への対応には、内外から厳しい視線が注がれている。野党は、韓国の5万7000件と比べて少ない検査件数に疑義を呈している。

 大曲氏は「検査件数が限られていることで、感染者数の正確な把握ができなくなっている」ことは認めつつ、無症状なら検査ではいずれにしても検知できないと指摘。新型ウイルスの感染者「全員を捕捉するのは不可能」だとした上で、一人ずつ検査をしなくても「傾向は把握できる」と述べた。

 日本政府はまた、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス(Diamond Princess)」への対応をめぐっても、隔離期間を終えて下船した元乗客らの感染が発覚したことを受け、大きな批判にさらされている。

「隔離のプロセスは完璧ではなかった」「それは事実だと思う。私たちは今それを目の当たりにしている」と大曲氏は認めた一方、陸上で隔離するには収容数に限界があり、乗客を2度も隔離するなとの圧力もあったとして、日本政府は厳しい状況に直面していたと説明。

 さらに、下船した元乗客から他の人々に感染したエビデンスはまだないと指摘し、「今後1〜2週間で何が起きるか、見守る必要がある」「クルーズ船乗船者からの二次感染が起きたら、真剣に考えなければならない」「これらの方法は、完璧ではなかったかもしれない」と語った。

【翻訳編集】AFPBB News

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