安倍首相がぶち上げた「小中高校の臨時休校」要請で、教育現場はもちろん、企業や共働き家庭などに大きな混乱が起きている。なぜこのタイミングだったのか。ある与党幹部は「北海道などが休校を打ち出して、評判が良かったから味をしめたみたいだ」と話す。

文部科学省も公明党も「影響が大きすぎる」と必死で止めたが、官邸主導で決められてしまったという。自民党内からも反対の声は強く、元厚労相も「共働きの家庭の支援なども同時に打ち出さないと、日本全国が大混乱になる」と批判する。

働きに出られず、たちまち生活に困るひとり親家庭

日本感染症学会専門医で東京医科歯科大の寺嶋毅教授は、「影響が大きいので、臨時休校という切り札は何度も使えるものではありません。1枚限りかも知れないのに、それをいま全国一律で使ってしまうのはどうなのか。すでに2週間の休校を決めていた北海道や市川市の様子をもう少し見てから、各自治体の判断でもよかったのではないでしょうか」とクビをひねる。

神戸大感染症内科の岩田健太郎教授はツイッターで、「なぜ学校? なぜ休校? 根拠となるデータは?」「お家に専業主婦のお母さんがいるという世界観から、逃れられないらしい。コロナ感染は地域差が大きいので、『全国一律』なプランはうまくいきづらい。北海道は分かるけど、ほかの地域だと意味不明」と書いた。

犬山紙子(イラストエッセイスト)「ひとり親家庭の半数が貧困だといいます。働かないと次の日に食べる物がないという時、お金を給付するのでしょうか。学童のキャパシティは大丈夫なのでしょうか」

キャスターの近藤春菜(お笑い芸人)「安倍首相は『生じる課題に対しては政府として責任を持つ』と言っています。どう責任を持つのか、もっと細かく言ってほしいです」

大阪市は「家庭で保護できない場合は学校で保護する」

自治体の反応はさまざまだ。「(要請を)もっと早く出していただいても良かったと思います」(小池百合子・東京都知事)という意見もあるが、「突然要請され、大変驚いている。国が『これは命令ではない』と言ったとしても、それは通用しない。国がどういう指示をするのか、情報がまず必要だ」(大村秀章・愛知県知事)、「医療関係者など社会を支えている職種の親はどうするのか。社会が崩壊しかねない」(熊谷俊人・千葉市長)など、戸惑う声が多い。

大阪市の松井一郎市長はツイッターで、「どうしても子供を家庭で保護できない場合は、学校で保護することにしています」と子どもの預け先に困っている家庭への具体的な対策を打ち出した。