人間の感覚に近い画像認識を持つという独自のアルゴリズムで「フォトナビ」の開発に成功したゼータ・ブリッジ。このエンジンを活用した「フォトナビ・目視レス」は、機械学習が苦手な不定形物の多い目視検査の分野において高い検知率を誇るという。今回、東京ビッグサイトで開催されたJTBコミュニケーションデザイン主催の最先端画像処理・イメージング技術の展示会「Imaging Japan 2020」では、同製品が展示されており、実際のデモを見ることができた。「フォトナビ」とはどのようなものかレポートする。

「Imaging Japan 2020」ゼータ・ブリッジブースより

今回、ゼータ・ブリッジが展示する「フォトナビ・目視レス」は、製品が正常かどうかを目視で確認する"目視確認"を自動で行うソリューションだ。同社が開発した画像認識アルゴリズム「フォトナビ」を活用して、高い精度で製品への異物混入チェック、部品や具材の過不足判定、正規品との差異やキズや汚れの判定などを行うことができる。

ゼータ・ブリッジ(公式Webサイト)

これらの機能を提供するのが画像認識エンジン「フォトナビ」だ。これは、"目、耳など五感から得た情報を人間の脳がいかに処理し、そして感じているか?"をテーマに人間が目で見て脳で判断する感覚に近い感覚をアルゴリズムで再現したもので、同社独自の認識テクノロジーが使われている。ディープラーニングを活用した現在の画像認識技術は有用だが、高い認識力を持つAIをセットアップするには、適切な学習素材を大量に必要としそれらを入手できない環境においては、その能力を十分に発揮できない場合がある。

「フォトナビ」の技術(同社資料より)

「フォトナビ」は、ヒトの感覚に近い独自アルゴリズムにより、画像の中から特定の条件に当てはまる領域の検出及び、類似する色・形・模様などの検出を得意としている。実際に展示会の現場では、担当者がデモ用に用意された弁当に髪の毛やペットボトルのキャップ、ボールペンなど様々な異物を置いてデモを行いその技術を直接確認することができた。

弁当の中にあるペットボトルのキャップ。機械学習では、常に一定の形をしていない唐揚げや和え物などの"不定形物"の認識は不得意な分野

「フォトナビ・目視レス」では、異物を感知すると赤丸で表示。外部機器と連動してランプで異物の存在を知らせることができる

異物の内容は、ログに保存することができ、データを活用して今後に生かすことができる

同社では、このテクノロジーを活用した「フォトナビ・フェイス」、「フォトナビ・一致検索」などのサービスの提供も行っている。そして、現在同社ではアルゴリズムをSDKの形で提供する方針で開発を進めているという。今回、展示場を訪れたゼータ・ブリッジの代表取締役 安藤 尚隆さんに直接話を聞くことができた。「ディープラーニングがここ5年ぐらい、急速に伸びているが、その一方でディープラーニングに向かないユースケースも増えている」とのこと。実際、同氏の所には、ディープラーニングを導入したが思ったほどの効果を得られない企業から複数相談をうけているという。

ゼータ・ブリッジ 代表取締役 安藤 尚隆氏

食品などの目視確認においては短期間でのメニューの変更に学習素材不足で機械学習の活用が困難な上、クレームが発生した場合はすでに事実確認ができない状態である場合が多く、部品工場などの現場では、NGそのもの発生が非常に少ないため同じように適切な学習素材の収集が困難な場合が多いそうだ。このような状況において、同社のテクノロジーは非常に有用になる。

また、画像認識アルゴリズムの技術に関しては「それぞれ、機械学習とアルゴリズムは互いの弱点を補強できる関係にあるので、今後技術的に共存していくのでは」と技術的な見通しを語った。今後の同社の目標については「画像認識技術は、はこれから自動運転と同じように、今後10年人々の生活を変えていく」とコメント。「画像系の技術に集中して将来の生活が変わるような何かを開発したい」と力強いコメントをいただいた。