神戸との開幕戦で嬉しいプロ初ゴールを決めた瀬古。得点以外でも、攻守両面で頼りになる働きを見せた。写真:徳原隆元

写真拡大

【J1第1節】神戸1-1横浜FC/2月23日/ノエスタ

 自分の前へボールがコロコロと転がってくる。目の前にあるのはガラ空きのゴール。ビッグチャンスがゆえにあれこれと考えてしまいそうな状況でも、とにかく落ち着いていた。

「こぼれ球を狙っていて、こぼれてきたときにGKを含めDFが右に寄ってくれたので、冷静に流し込むだけでした」

 その瞬間は24分にやってきた。神戸にボールを握られ守備に回る時間が長かったなか、左SBの志知孝明がスルスルとタッチライン際を突破。深い位置から上がったクロスに対し、一美和成がニアでつぶれ、中山克広が中央で競る。その直後、DFの足に当たったボールは少し遅れてゴール前へと入ってきた瀬古の足もとへとこぼれてきた。

 1週間前の広島とのルヴァンカップ初戦でシュートを枠に飛ばせなかった反省を踏まえ、「ふかさないことを心掛けて」インサイドで丁寧にシュート。コースを狙ったボールがネットを揺らすと、冷静さが売りの瀬古も思わず大きくガッツポーズし、チームメイトから手荒い祝福を受けた。

 しかし、22歳のMFが喜びを表現したのはその一瞬だけ。大卒ルーキーながら開幕スタメンを勝ち取り、さらにチームにとっての今季初得点であり、クラブとしては13年ぶりのJ1でのゴールとなるプロ初弾というメモリアルな一発だったが、試合後に出てきたのは反省の弁。押し込まれる時間の長かった後半の戦いぶりや、74分に同点弾を決められて1-1と勝ち切れなかった悔しさを口にした。
 
「追い求めてきた場所がプロの舞台だったし、自分にとって今日は特別な1日だったので、そういう意味でゴールができたことは少し嬉しかったけど、結果としては引き分けてしまったので、僕の得点よりもチームの失点に目を向けないといけない。これからもっと厳しい戦いが続くと思うので、そこにフォーカスしてやっていきたい」

 それでも個人としての収穫や手応えがなかったわけでもなければ、決して下を向いているわけでもない。プロ1年目の今季、経験することのすべてが初めてのことであり、これからの糧となる。

「今季は初めて尽くしというか、初経験尽くしの1年間になると思うけど、そこでしっかり吸収していきたい。前回(広島戦)の青山(敏弘)選手や今回のイニエスタ選手など、得るものがたくさんある人との対戦が多いので、そのレベル、それ以上に達していければいいと思う」

 まだまだプロサッカー人生は始まったばかり。「常々、相手に怖がられる選手になりたいと思っている」。自身が思い描く理想像に少しでも早く近づくために、瀬古は歩みを止めない。

取材・文●須賀大輔(フリーライター)