○令和の企業に必要な「柔軟な組織」と「ITセキュリティの強化」の両立

前回の東京五輪は高度経済成長期の真っただ中に開催されました。モーレツ社員が日本中そして世界中を駆け回り、その後平成になっても「残業当たり前」でバリバリ働くことがよしとされていました。しかし、2度目の五輪を迎える令和の時代、社員が過度な残業している企業に対して政府の目が厳しくなってきています。さらに、人口減少により人材の確保が難しくなっていくため、働くことに関する考え方を転換する必要性が叫ばれています。

限られた時間と人材で生産性を高めていくには、人材の柔軟かつ効率的な活用が必要です。従来型の硬直化した組織では、一度組織に配属されたら、異動があるまで基本的にその組織内で業務が完結します。

しかし、人材の効率的な活用が必要な現在は、複数の部門・事務所からメンバーを選定してチームを作り、期間を決めてプロジェクトを回していくことが必要です。また、社内に限らず、必要に応じて社外の協業パートナーや有識者にもチームに加わってもらう必要があります。

そうなると、社外と通信する機会が増えるため、必然的にセキュリティのリスクは高まることになります。このように、令和時代の企業には、「柔軟な組織」と「ITセキュリティの強化」の両立が求められるのです。

「柔軟な組織」と「ITセキュリティの強化」を両立させるには、ネットワーク単位での細かなセキュリティポリシーを策定し、運用していく必要があります。従来型のネットワークでこれを実現しようとすると、情報システム部門の業務はすぐにパンクしてしまうでしょう。滞りなく通信ができるよう維持するだけでも大変なことなのに、それを短い期間で切り替えていくことなど、リスク以外の何ものでもありません。

また、近年は個人が扱う端末・データ量、Web会議による音声・映像データ、クラウドサービス利用の増加により、企業内での通信量は増え続ける一方です。このように、日々変化の激しい通信ネットワークを効率良く管理・運用していくには、通信の「可視化」と「集中管理」ができる必要があります。これを実現できれば、リアルタイムでネットワークにおける問題を明らかにして、対策を検討・実施できるようになります。

○SDNで持続可能なネットワークを構築しよう

このように通信の「可視化」と「集中管理」を実現し、柔軟かつ効果的・効率的に対応できるITセキュリティを実現しようと思った時こそ、SDN(Software Defined Network)を検討していただきたいです。

SDNはこれまでハードウェアで物理的に構築するしかなかったネットワークを、ソフトウェアで論理的に分割・管理でき、その「可視化」と「集中管理」ができる仕組みです。従来の黒い画面にコマンドを打ち込んで構築・運用するのではなく、見やすいインタフェースで直観的かつ柔軟性の高いネットワーク構築・運用ができます。

また、データ量の多い通信(Web会議や音声・映像データ、クラウドサービス)だけを、論理的に分割した専用のネットワークに通すように設定することも可能であるため、通信遅延の防止策としても有効です。さらに、さまざまな働き方に対応したネットワーク経路やルールを事前に複数設定し、ルール違反時の対応も自動的に実施することも可能です。

外部からの攻撃対策として、マルウェア対策や不正アクセス対策などのITセキュリティソリューションと連携可能な製品もあります。SDNは限られた人的リソースでも、セキュリティを担保しながら社会情勢や組織形態の変化に柔軟に対応できる、現代企業に必要な「持続可能なITネットワーク」ソリューションなのです。

このように、SDNを活用して「柔軟な組織」と「ITセキュリティの強化」を実現できれば、企業の生産性が高まりますので、ユーザーや経営層からさらに生産性を高めるような建設的な意見や要望が出てくるようになるかもしれません。例えば、ユーザーからはテレワークやBCP・パンデミック対策、経営層からはAIやロボットの活用などです。

このような建設的な意見や要望が出てくるきっかけとなり、それに対応する余力を生み出すツールの1つにSDNはなるでしょう。また、これらの新たな取り組みから得たデータは、蓄積・分析すれば新たな施策を打ち出す材料になります。そして、これらのデータは結果的に情報システム部門の発言力を高める材料として利用できるようになると思います。興味がある方は、SDNやその事例を研究してみてはいかが何でしょうか?

著者プロフィール

○橋川ミチノリ

幼少よりコンピュータ関連の仕事に憧れ、ディーアイエスソリューション株式会社に入社。

営業職として最新のITソリューションの提案・販売活動に10年間従事した後、マーケティング職に転向。高度化・複雑化が進むIT業界のトレンドや最新技術を分かりやすく解説し、啓蒙を図るミッションに取り組んでいる。

生まれ: 広島県、好きな言葉:やっぱりカープがNo.1!、趣味:ホルン