1980年以降、共働き世帯は年々増加し、1997年には共働き世帯数が専業主婦世帯数を上回りました。単純にいえば、現在23歳より若い世代は、両親が共働きで育った人のほうが多いということです。そんな中、ガールズちゃんねるに2月中旬、「専業主婦の母親に働いて欲しかった人いますか?」というトピックが立ちました。

トピ主は、一般的に「親が共働きで寂しかった子供」しか取り上げられないことが不満な様子。自身の母親について、

「暇さえあれば親族の悪口や近所の噂話、『私だって仕事すれば出世できた』云々の根拠のないタラレバ話や『専業主婦ってだけで馬鹿にされる!』等の愚痴ばかりで、そんなに文句ばかり言うなら働けば?と思っていました」

と明かします。ないものねだりと思いつつ、「同じように母親に働いて欲しかった人はいるでしょうか?」と問いかけました。(文:篠原みつき)

「子どもの頃の寂しさ」よりも「母が働かなくて大学に行けなかった」は深刻

トピックには、「スーツ着て自転車で送り迎えするよそのお母さんにすごく憧れた」「鍵を持って学校に行ってみたかった」といった幼い日の淡い憧れを初め、

「小さい頃は良かった でもだんだん世間ズレして自分軸になっていくよねー」
「父親の文句言う癖に自分は1円も稼いで無いじゃん、とは思った」
「うちの母は家に居るからってこまごま子供の世話を焼くでもなくトドの様にドテーっとしてたよ。因みに病気ではありません」

などの、「尊敬できない母あるある」が相次ぎました。「ちゃんと企業で働くような母親が良かった」と書いた人は、「近所の誰でもできるパートで、無教養で世間知らずの上に人間関係でストレスを抱えていつもイライラして当たられてた」と苦い思い出を振り返ります。

また、小学生のときには良かったけれど、中学生以降になると働いて欲しかったという人も多いです。大人になってからはシビアな問題も。

「金持ちだったら別にいいけど、貧乏だったのに意地でも働かなかった母親。老後の面倒見るの、いやなんですけど」

という声や、「母親が働かないせいで大学に行けなかった」、「奨学金を抱えて婚約破棄された」という恨み節もあり、根深いものを感じます。

「母というものは、要するに一人の不完全な女の事なんだ」

一方で、「逆に働いてる母に家に居て欲しかった」という人や、だから専業主婦をしているという人も一定数います。また、たとえ働いていても、愚痴や文句の多い母親は軽蔑される傾向があるようです。コメントには、「トピ主の母の性格の問題。働いている母親が愚痴や悪口を言わないとでも?」といった指摘も多数上がっています。

よしながふみが母娘の関係を描いた短編連作集『愛すべき娘たち』(白泉社)には、

「母というものは、要するに一人の不完全な女の事なんだ」

という言葉があります。ここでの話題とはテーマが違いますが、筆者が言いたいのは「母親だからといって"勤勉な人格者"、なんてことはない」ということです。

社会のシステムも、これまでは妊娠・出産で6割が退職、再就職は最低賃金の非正規雇用に就くことが多いのが現実でした。「子どものころ、こうして欲しかった」と思い出すのは自由ですが、それぞれ働かない・働けない事情もある中、「母親に働いて欲しかった」は、「いまの時代、母親も働くべき」の押し付けになりそうで疑問です。

「働かなくてもいい」と言いたいのではなく、どんな形でも子どもの思い描く理想の母親像を頑張ってやったところで、思春期を過ぎれば見方も変わります。他人や子どもがどう思うかより、自分が選んだ人生をできるだけ前向きに生きていくことがベストではないでしょうか。