開始6分、果敢なフォアチェックから敵のミスを誘い、倉田(10番)が冷静にねじ込む。G大阪にとっては願ってもない先制点だった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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[J1リーグ第1節]横浜 1−2 G大阪/2月23日/日産ス

 決して完勝とは言えない。だが、単なる勝点3でもない。

 日産スタジアムで行なわれたJ1リーグ開幕戦で、ガンバ大阪は前半のうちに2点を奪って試合を優位に進め、怒涛の攻勢を仕掛ける横浜F・マリノスの追撃を1点に封じ込んだ。下馬評を覆す内容での2−1勝利。J1リーグ開幕戦での白星は実に9年ぶりである。

 宮本恒靖監督が採用したシステムは、3−5−2の予想に反して4−3−3だった。しかしながらあくまでこれはベースの形であり、戦況や局面に応じて臨機応変に変化した。鍵を握ったのは右サイドの守備だ。1ゴール・1アシストと気を吐いた背番号10、倉田秋はこう振り返る。

「去年のマリノス戦で、(左SBの)ティーラトン選手にカットインからミドルを決められた。マリノスの攻撃は強烈ですけど、あのサイドバックのところをまずケアしていこうと。だから守備のときは5−4−1で、攻撃になったら4−3−3や3−5−2とか、相手の出方を見定めながら(システムは)目まぐるしく変わってましたね」

 
 右SBのオ・ジェソクは「かなり変則的。マリノス戦限定です」と話す。元韓国代表によると、右サイドハーフの小野瀬康介がスイッチャーだったという。彼がどのエリアでプレスを仕掛けるかで、オ・ジェソクの位置取りが変わり、右CBか右SBかが決まった。「で、相手がハーフウェイラインを越えてきたら割り切って5バックで対応しようと話してましたね」と振り返る。

 かたや小野瀬は、「前から後ろまで動き回って相当な運動量が求められましたけど、個人的には5バックにならないようにと心掛けて、積極的に行きましたよ」と明かす。

 前半の2得点は、キャンプ中から取り組んできた狙いが結実した。昨季以上に連動性の高い前線でのフォアチェックを強化。開始6分、敵GK朴一圭にハイプレッシャーを掛けた矢島慎也がトラップミス誘発からボールを奪取し、倉田の先制点をお膳立て。さらに34分、「けっこう練習で繰り返してたパターン」(オ・ジェソク)で追加点を奪う。横浜がラインを押し上げた瞬間にGK東口順昭が裏へ蹴り込み、左サイドから抜け出した倉田が矢島のゴールをアシストした。まさにしてやったりの2発だ。
 とはいえ、前半20分過ぎから徐々に様相は変わっていた。横浜がバイタルエリアにボールを運ぶシーンが増え、G大阪は守→攻の切り替えがままならなくなっていたのだ。

 そこで28分、タッチライン際で会話を交わしたのが宮本監督と遠藤保仁だ。J1通算631試合目で史上最多記録に並んだアンカーが、ピッチ上の選手たちの意思を指揮官に伝える。ツネ監督はすぐさまヤットにゴーサインを送った。遠藤の両脇のスペースをマルコス・ジュニオールに蹂躙されていたため、井手口陽介を下げて2ボランチとし、矢島には横浜の2ボランチへのプレッシャーを強化させたのだ。布陣変更で戦い方を整理し直したチームは、34分に2点目を奪ってみせた。

 この日のG大阪スタメンには、A代表経験者が9人も名を連ねた。宇佐美貴史は「前からハメるのはやるけど、上手く行かなかったら前に来させてブロックを組むのもあり、とみんなで話してました」と語り、「失点を与えるまでやられる気配はなかったですよ。自分たちで中で話せて、自分たちで発信していけるのがいまのガンバの強み。ツネさんが求めていることでもあります」と、自信を覗かせた。

 終盤に1点を返され、最後はベタ引きでタイムアップまで耐え凌いだ。その時間帯でも宮本監督は「常にアグレッシブに戦うという姿勢を示したかった」と、3枚の交代カードはすべて攻撃のパーツ交換に費やした。最初から最後まで攻めの采配で、3ポイントを手繰り寄せたのだ。

 とはいえ、手放しで喜べる勝利でもない。倉田は「満足なんてできないし、これでいいという勝ちではない」と気を引き締め、宇佐美は「あれだけ回されて、どう保持し返すのか。そこが課題ですね。守り切ってばかりじゃ伸びしろもないし、個人的にもチームとしてもやりたくない」と言い切った。

 スペシャル戦術でJ1王者を撃破した浪速の雄。次節のベガルタ仙台戦(3月1日)ではどんな“顔”を見せてくれるのか。ヤットの新記録達成にどう華を添えるのか。上々の仕上がり具合であることは確かだ。

取材・文●川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

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