「猫コロナウイルス」って? 命を落とす危険性も…
 このところ、メディアでは新型コロナウイルス感染症に関する新情報が続々と報道され続けていますが、実は猫も「猫コロナウイルス」というものを所有しています。このウイルスはヒトに感染することはありませんが、猫同士での感染はあり、時には命を落とす危険性があるので、注意が必要です。

 今回は「猫コロナウイルス」とは、どんな病気なのかを、「オールペットクリニック」監修のもと、解説します。猫飼いさんは愛猫に異変が見られた時、参考にしてみてください。

◆そもそも「猫コロナウイルス」とは

 猫コロナウイルスは「猫腸コロナウイルス」と「猫伝染性腹膜炎ウイルス」という2タイプに分けられます。この2つは検査で区別することが難しいものですが、表れる症状は異なります。

 まず、猫腸コロナウイルスは感染猫の糞便中や唾液中に含まれ、毛づくろいなどによって感染(接触感染)しますが、健康な猫は感染しても無症状であることがほとんど。中には軽い腸炎を起こす子もいますが、数ヶ月で完治してしまうことが多いと言われています。

 しかし、猫腸コロナウイルスが猫の体内で突然変異し、猫伝染性腹膜炎ウイルスとなると「猫伝染性腹膜炎(FIP)」という病気が発症。こちらは猫腸コロナウイルスとは違い、命を落としてしまう危険性が高い病気です。

 この病気が発症しやすいのは子猫、老猫、ストレスが大きい環境下で暮らす猫だと言われており、雑種よりも純血種のほうがかかりやすいという調査結果もあります。今のところ、免疫力の低下が発症に関係しているのではないかという説が有力なよう。

 残念ながら、突然変異する原因はまだ解明されておらず、日本に限らず海外でも有効なワクチンがないため予防も難しい病気です。

◆「猫伝染性腹膜炎」は2タイプに分けられる

 猫伝染性腹膜炎は主に「ウエットタイプ(滲出型)」と「ドライタイプ(非滲出型)」の2タイプに分かれます。ですが、下記のような免疫反応の違いなので、両方の症状を併せ持つ「混合タイプ(中間型)」であることもよくあるそうです。ドライタイプだった子が末期はウェットタイプに変化したりすることも。

・細胞性免疫がまだ働いている→ドライタイプがメイン
・細胞性免疫が働かない→ウェットタイプ
(※細胞性免疫:ウイルスに感染した細胞やがん細胞などの異常細胞を、免疫細胞が直接攻撃するタイプの免疫反応)

・共通する主な症状
 食欲不振、元気消失、発熱、体重減少、黄疸、下痢、嘔吐

・ウェットタイプでみられる症状
 腹水貯留(腹部の膨張)
 胸水、心嚢水貯留(呼吸困難)

・ドライタイプでみられ症状
 神経症状(運動失調、発作、眼振、麻痺など)
 眼症状(「羞明:しゅうめい、強い光を受けた時、不快感や眼の痛みを抱くこと、充血、眼房出血、虹彩の色の変化など)
 ※羞明・充血・眼房出血はぶどう膜炎の症状

◆命を落としてしまう可能性も

 怖いのは、どちらのタイプも症状が重い場合は数日から数ヶ月の間に命を落としてしまう可能性が高いということ。「猫伝染性腹膜炎」の治療にはインターフェロンやステロイド剤などが使われていますが、完治を目指すというよりも症状を緩和しながら延命を目指していくという方針。現状では完治させるのが困難です。

 最近では猫飼いさんの間でアメリカのギリアド・サイエンシズ社で開発・研究されている「GS-441524」という薬が効くのでは……との期待が高まっていますが、日本ではまだ認可されていない薬であるため、治療できる病院が限られています。運よく近所の動物病院で取り扱っていたとしても、治療費が高額になるので、なかなか手が出しづらいようです。