2020年クラシック候補たち
第4回:サンクテュエール

 ここ最近、のちの活躍馬を輩出するレースとして、注目されている一戦がある。明け3歳馬による重賞、GIIIシンザン記念(京都・芝1600m)だ。

 特筆すべきは、牝馬が同レースで好走した場合である。なにしろ、そこで勝つか、善戦した牝馬はことごとく、クラシック、牝馬三冠レースで結果を残しているからだ。

 たとえば、2011年に3着に入ったマルセリーナは、その後にGI桜花賞(阪神・芝1600m)を制覇。さらに、翌2012年に勝ったジェンティルドンナは、のちに牝馬三冠(桜花賞、オークス、秋華賞)を成し遂げた。

 加えて、2016年に2着と奮闘したジュエラーは、桜花賞で戴冠を果たし、2018年のレースで快勝したアーモンドアイは、ジェンティルドンナと同じく牝馬三冠馬となった。

 興味深いのは、同レースを制したジェンティルドンナとアーモンドアイは、ともに牝馬三冠を達成。古馬になってからも、牡馬一戦級相手にGIタイトルを次々に獲得し、歴史的な名牝としての地位を築いていっていることだ。

 そして今年、牝馬が再びシンザン記念を勝った。

 美浦トレセンの藤沢和雄厩舎に所属するサンクテュエール(牝3歳/父ディープインパクト)である。


シンザン記念を制したサンクテュエール

 昨夏にデビューした同馬は、単勝1.5倍と圧倒的な支持を得た2歳新馬(8月11日/新潟・芝1600m)を難なく勝利。道中2番手を追走し、直線では上がり33秒6の末脚を繰り出して、逃げるファイヤーテーラーをゴール板前できっちりかわした。

 2戦目には、GIIIアルテミスS(10月26日/東京・芝1600m)に挑んだ。ここでも、好位2番手につけてレースを進めるが、直線で逃げるビッククインバイオをかわせずにいると、最後は外から追い込んできたリアアメリアにかわされてしまった。それでも、何とか2着を確保して、能力の高さは示した。

 迎えた3戦目が、シンザン記念だった。スタートで立ち遅れるも、すぐにポジションを上げて3番手をキープ。最後は2番手から抜け出したプリンスリターンと熾烈な叩き合いを演じて、狭いインからクビ差抜け出して重賞勝ちを決めた。

 派手な勝ちっぷりはないものの、安定したレースぶりで着実に成長を重ねてきたサンクテュエール。牝馬のシンザン記念勝ちとあって、俄然注目を集めているが、身近に見てきたスタッフは同馬について、どう見ているのか。関東競馬専門紙のトラックマンがその様子を伝える。

「サンクテュエールについてスタッフは、その調教の手応えから『大きいところを狙える』と、デビュー前から感じていたようです。ただ、初戦が思いのほか僅差(1馬身4分の1)の勝利だったため、やや拍子抜けしたみたいです。

 ともあれ、それは物見をしていたことが原因だったようで、2戦目、3戦目と、そのレースぶりは良化。スタッフも、『競馬をこなすごとに走りがよくなっており、理想的な成長を見せている』と、満足そうに振り返っています」

 このあと、サンクテュエールはクラシック第1弾となる桜花賞(4月12日)に直行する予定。鞍上については、「おそらく全戦でコンビを組んでいるクリストフ・ルメール騎手になるでしょう」とトラックマンは話す。

 続けてトラックマンは、大一番に向けての、サンクテュエールの強みについてこう語る。

「これまでの3戦、すべて違う競馬場で走ってきましたが、スタッフは『入れ込むこともないし、馬体も減らないのは心強い』と感心しています。一つひとつの課題をきちんとクリアして、ここまできているようですね。まさしく理想的なステップを踏んでおり、不安なく本番を迎えられることが、最大の強みとなるのではないでしょうか」 藤沢厩舎には将来を嘱望された3歳世代の牝馬が、今年もたくさんそろっていた。なかでも、順調に成果を挙げてきたサンクテュエール。春のひのき舞台でどんな走りを見せるのか、注目である。