人気のスマホゲーム『ドラクエウォーク』は課金せずともいかに楽しめるか、やりこみ要素もあわせて紹介していく(写真:ドラクエウォーク公式サイトより/https://www.dragonquest.jp/walk/

物心ついたときからゲームと付き合い続けてきた筆者が、その長いゲーム歴から最新作や過去の名作までを掘り起こして語り尽くす本連載。今回扱うのは人気スマートフォンゲーム『ドラクエウォーク』。同作が「課金しなくても十分楽しめる理由」とは?

今回紹介するのは、2019年9月にサービスが開始されたスマホゲーム。ドラゴンクエストウォーク(以下、ドラクエウォーク)だ。

ドラクエウォークは、イングレスやポケモンGOなどで市民権を得た「位置ゲーム」と呼ばれるジャンルのスマホゲームであり、実際に自分が移動することでゲームが進んでいく。

ドラクエウォークがほかの位置ゲームと違うのは、実にドラクエの名を冠するにふさわしい、RPGの文脈をしっかりと引き継いでいる部分だ。

「ドラクエ世界」を疑似体験できる

ゲーム内では現実の地図がドラクエのマップのように表示され、自分で街や洞窟へ移動し、モンスターとの戦闘を繰り返すことで、ストーリーを進めたり、キャラクターをレベルアップさせる。


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そして現実の時間などともリンクしており、現実の世界の昼夜はドラクエウォークの世界でも同じで、またその地域に雨が降っていると画面内にも雨が降る。

プレイヤーはあたかもコントローラーでキャラクターを移動させるかのように、自らの足で現実の街を歩くことで、ドラクエウォークの世界を堪能するのである。それはまさに、自分がドラクエの世界で冒険しているような感覚だ。

「村人を苦しめているモンスターがいるという森にやってくると、突然巨大なキメラが現れた。いや、違う! これは『世界の山ちゃん』の看板だ!!」などと、実際の街の中で、僕は楽しんでいる。

さて、最初に「どこに課金要素があるのか」を解説しておきたい。基本プレイ無料のスマホゲームに、課金要素があるのは当たり前だが、ここを見誤ると、楽しむために予想以上の出費が必要となる可能性がある。

ドラクエウォークのメインとなる課金要素は主に2つだ。1つは「ふくびき」。ソシャゲとしてはお約束の、いわゆる「ガチャ」である。

ドラクエウォークのふくびきで入手できるのは「強力な武器や防具」。いわゆる「装備品」だ。ドラクエウォークでは、装備品に呪文や特技が設定されており、プレイヤーのレベルアップだけでは使えない、呪文や特技が使えるようになる。

ふくびきでしか手に入らない星5の装備品は、攻撃力や守備力といった数値が高いのはもちろん、スキルや特殊効果もプレイヤーに有利なものが多く設定されている。

ドラクエウォークでは装備の強さがハッキリとプレイヤーキャラクターの強さに直結するため、ふくびきを欠かすことはできない。ただし、ふくびきは課金で購入する「ジェム」の消費だけではなく、ほかの方法でも引くことができる。これは後述する。

コスパの高い「ゴールドパス」

もう1つの課金要素は「ゴールドパス」だ。ドラクエウォークには「マイレージ」というシステムがある。マイレージはその名のとおり、プレイヤーが実際に移動することでマイレージが得られる仕組みだ。

マイレージの獲得の基準は「回復スポット」「バトル」「歩数」の3つとなっている。たくさんの回復スポットを利用し、バトルをこなし、歩けば歩くほど、マイレージがたまっていくのである。

では、貯めたマイレージは何に使うかと言えば、主に「ふくびき補助券」との交換である。これを使えばジェムを使わずとも、ふくびきを引ける。プレイヤーが「ゴールドパス」を購入すると通常のマイレージに加えて、さらに2.5倍のマイレージを得ることができ、効率よくマイレージを貯めることができる。

ふくびきをジェムで引くと1回300ジェム。10連で3000ジェムだ。一方、ゴールドパスは1枚1000ジェムで、購入時点から168時間=7日間効果が続く。4枚セット=28日分だと割引価格の3000ジェム。ゴールドパス1枚のマイレージ増加分は最大1万ポイント。これは10連ふくびき1回分である。

ジェムで直接ふくびきを引くほど効率的ではないが、しっかりマイレージを貯めることができれば、コストパフォーマンスはゴールドパスのほうが圧倒的に高い。

課金要素のまとめとして、ふくびきはよくある「ガチャ課金」。ゴールドパスは「優待会員課金」であると考えればいい。レイドバトルなどの他プレイヤーとの比較で優位に立ちたい人や、YouTuberの客寄せでプレイする人は、いくらでもふくびきを引けばいい。引けば引くほど星5の優秀な装備が手に入る。

一方、そんなにお金はかけられないプレイヤーにはゴールドパスの4枚セットがおすすめだ。月額3000円だと思えばいい。また「この1週間はドラクエウォークを集中的にプレイ」という週を決めて、そのときだけゴールドパスを購入するという遊び方なら、月額1000円で遊べる。

もちろん、基本プレイは無料なので、課金せずとも、イベントなどで無償ジェムやふくびき補助券を集めてガチャを回すこともできる。と、このようにプレイヤーのスタイルと予算にあわせた課金要素を選択することができる。

プレイヤーは「歩けば歩くほど」強くなる

さて、ドラクエウォークには課金要素以外にも楽しみが詰まっている。ドラゴンクエストと言えばやはりストーリーだ。ドラクエウォークはソシャゲではあるが、これまでのドラゴンクエストの文脈をちゃんと引き継いでおり、ストーリーを進めていれば自ずと適切にレベルアップするようにできている。

ストーリーの目的地は、現在地から150mから500m離れた範囲のスポットから複数の候補がピックアップされる。プレイヤーは、そのうち1カ所を自由に選択して、そこに向かって実際に歩いて行く。

この距離感が絶妙で、決して遠くはないので、いくらでも続けようとすれば続けられるが、続けていると後から結構な距離を歩いたことに気づかされる。そしてよく知った街でも、あまり知らない道があることに気づかされる。そうした、普段だったら通らない道を進む感覚は、日常の中にちょっとした冒険感を生み出してくれる。

スマホを持って歩き回るというと、当然「歩きスマホ」が問題となる。歩きスマホを防止するために、ドラクエウォークには「ウォークモード」が存在する。ウォークモードを設定すると、モンスターや回復スポットに歩いて近づくだけで、自動的にタップした状態になる。さらに戦闘もオートバトルで戦ってくれる。

ボス戦など一部のモンスターは、自分でコマンドを選んで、戦略的に戦わないと苦戦するが、マップ上の雑魚敵は、オートバトルに任せて問題ない。仮に戦闘でパーティーが全滅したとしても、ペナルティはなく、HP1の状態でマップ上に復帰する。

しかし、HPが1では、次の戦闘に入ればすぐにまたやられてしまう。だが心配無用。標準設定の場合、プレイヤーキャラクターのHPが50%未満のときは、回復スポットに触れるなどしてHPが回復するまで、敵をスルーしてくれるのである。

この仕組みのおかげで、ゲーム内の戦闘がどのような結果になろうとも、プレイヤーはいっさい気にすることなく、歩き続ければ、いくらでも戦闘を繰り返すことができる。つまり、経験値やマイレージ稼ぎだけなら、スマホの画面をいっさい見る必要はないのである。ただし、クエストなどの目的地には自動的に入ってくれないので、通り過ぎないよう気をつけよう。

47都道府県に隠された「おみやげ」

ほかにもやりこみ要素が存在する。1つが「モンスターのこころ」、もう1つが「おみやげ」だ。「モンスターのこころ」は、モンスターを倒すとまれに手に入る。プレイヤーキャラクターにセットすることで、ステータスを大幅に引き上げたり、特殊な能力を得ることができる。

強いモンスターほど、こころの効果も高いことから、強い装備をそろえたほうが集めやすいが、漫然とプレイするだけでは狙ったこころは得られない。レイドバトルや期間限定イベントなど、ゲーム内のイベントをこまめにこなしていくことが重要だ。

「おみやげ」は、47都道府県それぞれに4カ所ずつ設定されたランドマークを実際に訪ねることで入手できる。おみやげ自体には特殊な効果はなく、単純なコレクションアイテムではあるが、実際にその場所に行かなければ手に入らない。

おみやげはフレンドにプレゼントすることもできる。離れたプレイヤー同士でおみやげを交換すれば、コンプリートも夢ではない。もちろん自力ですべてのランドマークを訪ねるのもありだ。その場合は多額の課金をドラクエウォークにではなく、交通費として払う必要があるだろうけど。

基本プレイ無料のソシャゲというのは、やはり「いかに課金要素にプレイヤーを誘導するか」にメーカーは腐心する。だから課金要素に対しては魅力的な装備品を用意して射幸心をあおりがちだ。しかし、あまり露骨に課金要素ばかりを優遇し、課金の少ないプレイヤーを冷遇していくと「Pay to Win」つまり「課金した者勝ちのクソゲー」という烙印を押されてしまう。

そうした中で、ドラクエウォークはずいぶんと丁寧にそのバランスをとっている。確かにふくびきで得られる星5武器を手に入れれば、レイドバトルなどはもちろん、ストーリーもかなり楽に進められる。

しかしその一方で、レベルアップやモンスターのこころでのステータスの底上げ、またボスの弱点にあわせた装備やスキルの使い方を考えるなど、装備以外の部分でも工夫の余地が残されている。

今から始めても大丈夫

たとえ星5装備で体中を固めていなくても、ストーリーやイベントをこなすことで、十分に楽しめる。ただし、イベントの中には「上級」というレベルの高い設定でクリアすることで、さらに高難易度の追加シナリオが発生するものもあった。課金せず、キャラクターを育てきらなくても十分楽しめるが、課金してしっかり育てればさらに楽しめるのが、現在のドラクエウォークのバランスだ。

最近は、これまでの基本職5職に、さらに上級職3職が追加され、キャラクターをコツコツ育ててきたプレイヤーに新しい道が示された。

すでにやり込んでいるプレイヤーが上級職に移ったことで、まだ基本職のレベルを上げていない、僕のようなのんびりプレイヤーに対しては、基本職で得られる経験値が増える「基本職応援キャンペーン」が開催されるなど、徐々にレベル上げの緩和が始まっている。そろそろサービスインから半年。これまでは5章までだったストーリーも6章の追加が発表された。

すでにネット上には細かな攻略情報が蓄積されており、ゲームを始めたばかりでも時間を無駄にせず効率的なプレイをすることができる。ぜひ、今からドラクエの世界を歩き始めてほしい。