2月16日、「V.LEAGUE」のDIVISION1男子のレギュラーラウンドが終了した。日本代表の西田有志を擁するジェイテクトSTINGSは、リーグ3連覇を狙うパナソニックパンサーズに次ぐ2位につけ、2月22日から始まるファイナルステージに臨む。


絶対エースとしてチームをけん引する西田

 西田は「総得点」と「サーブ効果率」で日本人記録を更新し、個人賞をダブル受賞。本人も「サーブは結果がついてきたので、自信になっています」と胸を張った。レギュラーラウンド最終戦でも、順位が確定していたためリリーフサーバーとして出場したが、西田がサーブを打つたびにブレイク(サーブ権がある側が得点すること)をとるなど、きっちりと役割を果たした。

 今季のジェイテクトは、元ブルガリア代表の”優勝請負人”マテイ・カジースキが2年ぶりにチームに復帰。さらに中国代表のミドルブロッカーである饒書涵(ラオ・シュハン)と、207cmの伏見大和を補強して、西田の孤軍奮闘で7位に終わった昨シーズンとはガラリと変わった。

 変わったのは戦力だけではない。昨年のワールドカップ後の「西田効果」で、リーグ断トツの人気を誇るチームになった。2部リーグ時代から続けてきた、試合後の選手全員参加の「お見送り」も、ファンが多すぎて中止に。ジェイテクトが絡む試合のチケットは一瞬で完売となることが多く、西田が活躍してチームは開幕から連勝し、ますます人気が過熱していく……という好循環が生まれた。

 そんなジェイテクトの連勝が「7」で止まったのは、昨年の11月23日。パナソニックを迎えた満員のホームゲームで西田とカジースキが封じられ、思うような試合運びができずにストレートで敗れた。しかし、翌日のVC長野トライデンツ戦ですぐさま立て直すと、チームは再び連勝街道を突っ走り、年が明けた1月12日に再びパナソニックと対戦した。

 パナソニックとの2戦目に臨む西田は、力の入れ方がほかの試合とは違っていた。パナソニックは、西田が”高校生Vリーガー”として旋風を巻き起こした、2018年度の黒鷲旗大会の決勝で苦杯を舐めたチーム。同じ日本代表のオポジットとして尊敬する清水邦広がエースを務めており、今季1戦目で悔しい負け方をしたこともあって「なんとしてもパナソニックに勝ちたい」という思いが高まっていた。

 この日の西田は「わかっていても止められない」状態だった。パナソニックのブロックを巧みにかいくぐり、クロスに打ち抜く。パナソニックがクロスを塞ぐ方針に転換すると、今度はストレートを抜いた。アタック決定率65.2%、30得点を挙げたエースを中心に流れを渡さず、結果はセットカウント3−0で勝利。ジェイテクトがパナソニックに勝つのは、2年10カ月ぶりのことだった。

「ブロックがよく見えましたし、コースの打ち分けもできました。ブロックの上からも打てたと思います。パナソニックさんに勝てたのは(Vリーグでプレーするようになって)初めて。『パナソニックさんにでも勝てるんだ!』と、すごい自信になりました」(西田)

 その勝利でチームは単独首位に立ち、向かうところ敵なしかと思われた。だが、ほかのライバルチームたちもレギュラーラウンド終盤戦にかけて勝利への執念を燃やしていた。

 1月26日に対戦したサントリーサンバーズは、荻野正二監督が”奇襲”を仕掛けた。218cmのロシア人オポジット、ドミトリー・ムセルスキーをライトではなくミドルでブロックに飛ばせ、ライトから本来のミドルブロッカーが攻撃。ジェイテクトは混乱を収めることができずストレート負けを喫した。

 試合後、西田は「ひっさびさに負けたんで、複雑です」と口をへの字に結んだが、若きエースは敗戦を引きずらない。次戦の1月31日、Vリーグでは珍しいナイターで行なわれたホームゲーム(対FC東京)で、サービスエース3本、スパイクは32打数17得点で決定率53.1%という高い数字を残し、勝利に貢献した。その前日に20歳になった西田は、ヒーローインタビューで「夜も遅いので、みなさん気をつけてお帰りください」と、新成人らしからぬファンへの気遣いも見せた。

 2月8日にはパナソニックと3度目の対戦。勝ったほうが単独首位に立つ直接対決で、ジェイテクトは絶対王者にストレートで屈した。痛い敗戦となったが、それでも西田は「正直に言って、今日の自分は調子がよくなかった。パナソニックさんにしてやられた。チームとしても反省する点が多々あるが、リーグは続いていくので引きずらず、前向きに戦っていきたい」と淡々と語った。

 西田の「引きずらず」の言葉どおり、ジェイテクトは翌日のJTサンダーズ広島戦をセットカウント3−1で勝利し、レギュラーラウンド2位を確定させた。

 今季の男子のファイナルステージは、6チーム総当たりの「ファイナル6」から始まる昨季までとはシステムが大きく異なる。まずはレギュラーラウンド5位と4位のチームが戦い、その勝者が3位のチームと対戦。さらにその勝者が2位のチームと戦い、勝利したほうがレギュラーラウンド優勝チームとの決勝に進む。

 この変則のトーナメント方式では、レギュラーラウンドで順位が上であるほど試合数が少なくなる。2位がかかったJTとの試合は大きなプレッシャーがかかったはずだが、ジェイテクトはそれを跳ね除けた。

 ジェイテクトのファイナルステージの初戦は2月24日だが、29日の決勝は今季4度目のジェイテクトvsパナソニックになるというのが大方の予想だ。待ち構える形になったパナソニックに油断はない。2月8日の3度目の試合後、”守護神”(昨季にブロック賞を受賞)の白澤健児は、ジェイテクト対策について「まだ(ファイナルステージで)対戦する可能性もあるので、言えません」と笑顔で話したが、決勝で戦うことになればさらに戦術を練ってくるだろう。 西田は大舞台でその壁を打ち破り、チームをリーグ初優勝に導けるのか。20歳の”モンスター”から最後まで目が離せない。