ユニリーバ(Unilever)は、13歳未満の子どもへの広告ターゲティングを今後行わないとする決定を下した。2月12日に発表されたこの方針により、ソーシャルメディアプラットフォームにおける同社の広告購入は減少するだろうと、同社のシニアマーケターのひとり、イアン・マスケル氏はいう。

新たなメディア戦略は、ユニリーバがリリースした一連のマーケティングガイドラインに基づいており、広告が子どもの肥満や不健康なライフスタイルの蔓延に加担しているという懸念の広まりに対応した形だ。ユニリーバはまた、この年齢の子どもたちに対し、インフルエンサーを起用したターゲティングも実施しないと明言した。これまでユニリーバは、6歳から12歳までの子どもたちに対し、従来型広告やソーシャルメディアを通じたマーケティングを行ってきたが、「最高の栄養基準」を満たす食料品に限定していた。今回の年齢制限は、同社に広告枠を販売するオンラインプラットフォームの方針に沿っている。新方針を最初に実践し、「子どもに対する責任」を果たすのは、ユニリーバ傘下のアイスクリームブランド、ウォール(Wall)になる予定だ。

「おやつのあげ方」が焦点に



ユニリーバのすべての商品のなかで、ウォールのアイスクリームは子どもをターゲットにした広告の割合がもっとも高いと、マスケル氏はいう。同氏はウォールのアイスクリーム部門でグローバルブランド担当バイスプレジデントを務める。今年、これらアイスクリーム商品のメディア戦略は大転換を迫られるだろうと、マスケル氏は米DIGIDAYの取材に語った。もちろん、ユニリーバのほかのブランドのメディア戦略も変化する可能性がある。ただし現在、傘下のブランドのほとんどは、同じくアイスクリームのマグナム(Magnum)やコルネット(Cornetto)を含めて、商品を食べる子どもではなく、買う親をターゲットにマーケティングが行われているとマスケル氏は補足した。

トルコや東南アジアなどの市場では、ユニリーバは依然として子ども向けのソーシャルメディア広告を大量に購入していて、新たなメディア戦略により広告購入の減少が見込まれる。ユニリーバのマーケターたちは、意図せず子どもをターゲットにした広告出稿をしないよう、出稿先のメディアを再検討することになるだろう。メディアエージェンシーには、13歳未満の子どもがオーディエンスの25%以上を占めるオンラインメディアへの広告掲載を避けるよう指示が出される。従来のガイドラインでは、オーディエンスの35%が上限とされていた。

「事実上、ソーシャルメディア広告の削減になるだろう」と、マスケル氏は見通しを述べた。

変化は広告のメッセージにも及ぶだろうと、マスケル氏はいう。今後の広告の焦点になるのは、子どもへの節度あるおやつのあげ方だ。13歳未満、あるいはこの層をターゲットにしたインフルエンサーに代わって、栄養ブロガーが起用されるかもしれない。

より重要になるコンテクスト



本来ならば、ユニリーバが子どもを対象としたオンライン広告を厳しく自主規制する必要はないはずだ。YouTubeやFacebookといった巨大オンライン広告プラットフォームは、ユーザーデータの収集・販売を開始して以来、13歳未満の子どもたちによる利用を禁じている。ヨーロッパや北米といった主要市場では、子どもの個人データ収集が禁止されているからだ。

しかし、YouTubeやFacebookは、幼いオーディエンスを対象としたコンテンツを大量にプラットフォーム上で配信し、そこから巨額の利益を得ている。ループベンチャーズ(Loop Ventures)の2019年の調査によれば、YouTubeのキッズコンテンツは年間5億ドルから7億5000万ドル(約550〜820億円)を稼ぎ出す。

「子どもが広告のターゲットになっていないことを確実にするには、その広告がどんなコンテンツ上に提示されているのかを理解するしかない」と、オンライン動画広告プラットフォームのプレサイスTV(Precise.TV)の会長を務めるクリスチャン・ダンクル氏は話す。

「YouTubeは、子どもにターゲティングしたくない広告主にとってもっとも使いやすいプラットフォームだ。今年1月以降、動画に『子ども向け』のラベルがついている場合、一切の行動ターゲティング広告の提示が禁止されている。つまり、子ども向けコンテンツの広告枠を購入するには、コンテクスチュアルターゲティングを利用するしかないのだ」と、ダンクル氏は補足した。

「正しい方向への第一歩」



ユニリーバの厳格なガイドラインは、TikTokやSnapchat(スナップチャット)といった、若いオーディエンスに人気のプラットフォームの広告収入に影響を与えるかもしれない。

「現在のところ、ユニリーバは中国以外ではTikTokで広告を展開していないし、我々もアイスクリームの広告を出したことがない」と、マスケル氏はいう。「Snapchatを13歳未満の子どもたちが利用していることは把握している。だが、我々のSnapchat上のコミュニケーションはその年齢層を対象としたものではない」。

「(Snapchatの)アプリで13歳未満の子どもたちが我々の広告を見ることは阻止できないが、それは我々が意図したわけではない。それが事実というだけのことだ」。

子ども向けのテレビ広告は厳しく規制されているが、オンライン広告の規制はまだ流動的だ。

「ソーシャルプラットフォームが子どもに与える悪影響が顕在化しつつある。子どもたちを不適切なコンテンツから守る取り組みは、正しい方向への第一歩だ」と、アドエージェンシーのインペロ(Impero)でディレクターを務めるコリス・リーチマン氏は述べた。

Seb Joseph(原文 / 訳:ガリレオ)