モラハラ彼氏に洗脳されていた女性「ブス、豚は当たり前だった」

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 “モラハラ”=モラルハラスメントの略で、言葉や態度による精神的な暴力のことを指す。近年は離婚理由として取り沙汰されることも多いが、夫婦だけではなくカップル間にも存在する。

 付き合って5年になる彼氏が、いわゆる“モラハラ男”だと気づいたというのは川上結衣さん(27歳・仮名)。

「私の彼は関西人でノリも良く、話も面白い。私は関東人なので、付き合い始めの頃はツッコミとかに戸惑っていたんですが、だんだん慣れちゃって。今思うと、ありえないような言葉も普通に受けていました」

◆少し太ると「豚!」、化粧や服装が好みじゃないと「ブス!」

 結衣さんが彼氏の言動がモラハラじゃないかと思い始めたのは、友人との会話がきっかけだったと話す。

「女子会で、ある子が『彼氏とケンカしたら、私のことを“お前”って呼んだの! ありえなくない?』って。そしたら、みんな“お前”って呼ばれることに違和感があると言っていて。私の場合、彼に“お前”なんて呼ばれるのは当たり前で。ちょっと太れば、すぐに『おい! 豚! 痩せろや!』って言われるし、メイクや服装が彼好みじゃないと『ブス!』とかね」

 結衣さんが彼氏の話をすると一同ドン引きし、その場の空気はおかしくなったそうだ。

「みんなが『それってホラ! モラハラだよ!』って言うんです。彼はこういう人って認識だったけど、もう5年も付き合ってるから麻痺しちゃったのかも。関西人が全員口が悪いわけではないけど、ブスやデブって平気で彼女に対して言えるっておかしいですよね」

 彼氏のモラハラは言葉だけではない。

「例えば、彼の家に泊まりに行って、機嫌が悪いときは私がまだ朝寝てるのに、すんごい大きな音でテレビを見たりするんですよ。これは『今日はもう帰れ』のサイン。

 機嫌が良いときは腕枕してくれるんですが、それはかなり稀ですね。基本的に『人といると眠れない』って、めちゃめちゃ背を向けて寝るんです。ひどいときは私が朝起きたら、顔の前に彼の脚がありましたからね(笑)。ギャグかと思って話しかけてもシカト。何を言っても無反応だから、私も居心地が悪くて帰ったんです。そしたら、LINEで『お前、昨日すごいいびきうるさかったよ、ざけんな』てきたんです。いや、彼も結構いびきをかいているし、それでも別に文句なんて言ったことないのに……」

 もはや結衣さんの彼氏は、彼氏というより“殿様”のようである。

「だからもうお泊り自体がストレスなんで、終電手前には帰りたいんですが、それもダメだって言うんです。泊まっていけって。完全に彼が快適でいるための“彼ルール”にすぎなくて、私が従うのが当たり前。いいえ、とは言えない感じですよね」

 友人の彼氏との差と、結衣さんは呆然とした。そして、ついに耐えきれなくなり、別れを切り出したのだ。しかし彼の反応は、予想外のものだった……。

◆自分にとってはモラハラでも、彼氏にとっては普通のこと

「もう別れたいって告げたら、泣かれました。私がモラハラだと感じている言動も、彼にとっては普通のことなので、別れる理由として納得できないらしいんです。

 友達の彼氏との違いに『あなたがおかしいって気がついた』って言ったんですが、今度は『お前の友達がおかしい』『俺は俺』って話になっちゃいました。別れたくはないのに、直す気がないところが彼らしいですけどね(苦笑)」

 無理やり別れることは困難だと感じた結衣さんは、だんだんと距離を置き、時間をかけてフェードアウトしたという。

「彼といた5年間ですべてがマイナスとは思いませんが、モラハラをモラハラとも気づかず、口答えするのも面倒でだんだん自分の意見や意思がなくなっちゃってたんですよ……彼と付き合っていたときは『可愛く思われたい』というより『この髪型やファッションは嫌いだったな』とか、彼主体だったんです。好かれたいのではなく、怒られたくないって。

 別れてからは好きな格好が出来るし、自由に髪型も変えられる。そんな些細なことが本当に幸せだと感じました。マインドコントロールに近かったのかな。今は家族や友達にも『最近、明るいね』って言われます。しばらく恋愛はコリゴリです(笑)」

 日常に潜むモラハラ。彼女や妻との付き合いが長くなるほど、感覚は麻痺しがちだ。あなたは自分でも気づかないうちに“モラハラ”していませんか――?<取材・文/吉沢さりぃ>

【吉沢さりぃ】
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。近著に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)がある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。Twitter:@sally_y0720