右膝関節外側半月板縫合術手術を行ない、全治約6か月となることが発表されたクエンカ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 ベガルタ仙台は2月19日、MFイサック・クエンカがスペインで右膝関節外側半月板縫合術という手術を行ない、全治約6か月となることを発表した。

 昨季サガン鳥栖でプレーしたクエンカは、仙台補強の目玉選手であったが、1月のキャンプイン直後から別メニューでの調整が続き、2月5日にスペインに帰国し、10日手術を受けていた。仙台にとってはクエンカの復帰が早くても夏頃になるということで、大きな痛手を負うことになった。

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 仙台で大きな問題となるのは、クエンカが入ると目されていた、左サイドをどう構築するかだ。

 右サイドに関しては、昨季から右SBに入るDF蜂須賀孝治と、右サイドハーフに入るMF道渕諒平のコンビネーションが非常に良く、ルヴァンカップ浦和戦でもこのふたりが先発したことを考えると、このコンビは盤石だと言えるが、左サイドに関してはどの選手を起用するか試行錯誤が続いている。

 クエンカの抜けた左サイドハーフのポジションは、昨季MF関口訓充がレギュラーだったが、今季は右サイドハーフやトップ下でも試されており、左サイドに固定はされない模様だ。この他このポジションに入ってきそうな選手は昨季松本から完全移籍したMF石原崇兆。切れ味鋭いドリブル突破から、カットインしてシュートも狙える。そして昨季桐生一高から加入した、2年目のMF田中渉も急成長を見せており、ルヴァンカップ浦和戦では2ゴールを挙げ周囲を驚かせた。また、ブラジル国籍DFパラも攻撃力を生かし、一列前で起用するプランもある。このように左サイドハーフに関しては、何人か候補が挙がる状況で、調子の良い選手や木山隆之監督の戦術にフィットする選手が起用されていくだろう。
 
 むしろ悩ましいのは左SBだ。昨季不動だったDF永戸勝也が鹿島に移籍。前述のパラは戦術理解に時間がかかっており、ルヴァンカップ浦和戦では本職はCBであるDF常田克人を起用したが、失点にも絡んで途中交代となった。現状、左SBにうまくハマる選手が少ない状況だった。

 そこで「キャンプ中からサイドの選手が少ないという話を強化部にしていた」と語る木山監督は、昨季自身が指揮していたモンテディオ山形に期限付き移籍し、J2リーグ28試合に出場したFC東京DFの柳貴博に目をつけ、2月19日期限付き移籍獲得した。

 この日から練習参加した柳は「(木山監督からは)いろんなポジションをやってもらいたいと言われている」と語る通り、パワフルなドリブル突破と、対人守備の強さが持ち味で両サイドのSB、サイドハーフをこなせる。この日の練習では左SBに入り、登録されればすぐに出場機会が回ってくる可能性は高い。「もう一回木山さんの下でサッカーをやりたいと思った」とチームで唯一、木山監督の指導を1年間受けている柳にかかる期待は大きい。

 クエンカ抜きで戦う仙台の前半戦は、左サイドの再構築がどれだけ順調に進むかが重要となる。緊急補強の柳や、若手の田中などの力も借りて、全員の力で難局を乗り切れるかが注目だ。

取材・文●小林健志(フリーライター)