昭和の町工場のような趣の建物

東京メトロ日比谷線・入谷駅から徒歩10分ほど歩いたところにある『大久保湯』にお邪魔しました。

入谷駅を降りて、言間通りをスカイツリーを正面に歩いていくと、通りには焼肉店、寿司屋さん、生パスタメインのイタリアンなどのお店がありました。合羽橋が近いからか飲食店が多く、どのお店も賑わっています。
入谷を散策するのは初めて。初めての街を散策すると新たな発見があります。街ブラも銭湯巡りの醍醐味の一つですね。

言間通りの松が谷四丁目の交差点を右に曲がり、しばらく直進、さらに右に曲がると、薪がうず高く積まれた場所がありました。煙突も見えたし、銭湯に間違いない!『大久保湯』に到着しました。

『大久保湯』は昭和の町工場といった雰囲気です。平屋の白塗りの建物は年月を経て使い込まれていて、独特な趣があります。
どんな銭湯なんだろうと期待に胸がふくらみます。

 

待ち合わせにも便利な広いロビー

建物の中に入ると、とても広いロビーがありました。こんなに広いロビーは珍しいです。ソファーが置いてあり、テレビもあります。一人で銭湯に来て、湯上がりにのんびり寛ぐのも良し、友人や家族との待ち合わせにも便利そうです。

受付には優しそうなおかみさんがいらっしゃって、銭湯お遍路のハンコを押してもらいました。台東区の銭湯のハンコは、銭湯ごとに異なる絵柄が描かれているので毎回楽しみです。『大久保湯』のハンコは“大”の字を模した人が銭湯に入るというユニークな図柄でした。

女湯の暖簾をくぐると、大にぎわい。子供たちがお母さんに髪を乾かしてもらっていました。子供たちはじっとしているのが苦手なようで、キャッキャッとはしゃいではお母さんに注意されていました。微笑ましい家族の光景を見て、思わずクスッと笑ってしまいました。実家に帰ってほっとしたような、そんなくつろいだ気持ちになりました。そして常連さんのおばさまたちが、湯上がり後のおしゃべりを楽しんでいました。

 

ジェット風呂は二種類、色鮮やかな富士山のペンキ絵

浴場に入ると、5つ並んだカランが4列、立ちシャワーが1つありました。
真ん中の列のカランを陣取り、体を洗ったあと湯船へ。

お風呂は3つあります。まずは、ジェット風呂。座風呂タイプのジェットは程よい水圧で、足裏と腿を優しくマッサージしてくれます。

真ん中の広めの湯船はブクブクしていたので、バイブラ湯かなぁと思っていたら、意表をついてジェット風呂でした!
こちらのジェットは強めの水圧で、背中全体を勢いよくほぐしてくれます。
薪で沸かした井戸水のお湯は42℃ほどでした。外がとても寒かったので、このぐらいの温度が心地よく感じました。

湯船の上には中島盛夫先生のペンキ絵がありました。令和元年6月21日というサインがあり、最近描かれたもののようで色鮮やかです。富士山のペンキ絵を眺めていたら、子供の頃に通っていた銭湯を思い出し、懐かしい気持ちになりました。

3つ目の湯船は薬湯。この日は「温浴素じっこう」でした。温度は46℃ほどで少し熱めでしたが、漢方薬の香りのお湯は体の疲れをジンワリと癒してくれました。

 

懐かしくて優しい気持ちになれる癒しの銭湯

髪を乾かそうとしたら、ドライヤーが無料でした。しかもドライヤーは2台あるので、気兼ねなく髪を乾かすことができました。

女湯を出ると、おかみさんが「ありがとうございました。」と温かく声を掛けてくれました。

『大久保湯』は、疲れた心を癒してくれる故郷のような、懐かしくて優しい気持ちになれる銭湯でした。