あなたは『柏のレイソルロード』を知っていますか?

 柏駅からは20分あまり。歩くにはちょうどいい距離に三協フロンテア柏スタジアムはある。黄色いサポーターはほぼ例外なく、『レイソルロード』と呼ばれる一本道を通っていく。試合に向けて1人で気持ちを高める人もいれば、グループでワイワイとおしゃべりしている人々もいる。自らの意志に関わらず、黄色い服を着せられている赤ちゃんもいれば、お気に入りの選手の名前と番号を背負った黄色い服のお年寄りもいる。最後のバックストレートでは必ず数人の“信号無視”が発生するが、派出所のお巡りさんもいちいち咎めるような無粋な真似はしない。

 勝っても、負けても、試合後は再び『レイソルロード』を通っていく。体感してきたばかりの90分間を反芻しながら、2週間後の90分間に想いを至らせる。それがたとえ1人でも、グループでも、20分という時間は優しく彼らを包み込む。思わず誰かに伝えたくなるようなうれしい想いも、泣きたくなるようなつらい想いも、いつだって変わらずそこにある『レイソルロード』が優しくそれを包み込む。だから、黄色いサポーターはまたその一本道を通っていく。

 柏サポーターにとって『レイソルロード』があるように、“56”の物語が紡がれる全国各地にスタジアムへと続く道がある。日常も非日常も、喜びも悲しみも、昨日も明日も、そのすべてが週末のスタジアムには詰まっている。

 Jリーグに魅せられてしまったあなたが描く、今年の“物語”は何ですか?

文=土屋雅史