「自分はいつも一番下から」…チャレンジ精神でセレッソに新風をもたらす坂元達裕

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「つねにインパクトを残すプレーをしていかないと、こういうレベルの高い舞台では生き残れない。もっともっと『賭ける思い』というか、『失敗したら終わりだ』というくらいの気持ちを持って、1試合1試合にのぞんでいきたいと思っています」

 2020年Jリーグシーズンの幕開けとなった16日のYBCルヴァンカップ。J2・モンテディオ山形からJ1への個人昇格を果たしたセレッソ大阪の坂元達裕は、松本山雅との今季初の公式戦でいきなり異彩を放った。

 右MFに入った背番号17は開始早々の失点にもめげることなく、得意のドリブルで前へ前へと突き進んだ。1−1で迎えた後半立ち上がりには的確なクロスで柿谷曜一朗の決定機をお膳立てし、自らも聞き足ではない右足で決定的なシュートを放つ。さらに71分には丸橋祐介の3点目の起点となるプレー披露。追いすがる相手を突き放した。

 4−1の完勝の原動力となった新戦力を目の当たりにして、ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督も「タツは今日が1部のデビュー戦だったが、素早くチームにフィットしたし、1部のレベルにも適応した」と手放しで喜んでいた。

「J1はレべルが一段階上がりますし、雰囲気も違うので、最初は少し緊張もあったんですけど、いつも通り伸び伸びやれたかなと思います」と坂元は安堵感をのぞかせる。最大のストロングポイントであるドリブル突破にも、大きな手ごたえを感じた様子だ。

「一枚相手をはがしてバランスを崩して、そこからチャンスを作っていくのが、自分の大きな役割ですね。それにパスやクロスも重要だと思います。山形のときはなかなかうまくボールを出せなくて課題だと感じていました。セレッソには逆サイドに(柿谷)曜一朗君やキヨ君(清武弘嗣)がいますし、前のブルーノ(・メンデス)も高さがあって競り合いに強い。いいボールを出せればしっかり合わせてくれるので、キャンプから意識して取り組んできました。自分のプレーの選択肢を増やして、もっと自信をつけられるようにしたいです」と伸び盛りのアタッカーは飽くなき向上心を口にした。

 セレッソの右MFは昨季まではダイナミックな走りを武器とする水沼宏太(横浜FM)の定位置だった。が、彼の移籍によって今季は熾烈なポジション争いが繰り広げられている。候補者には、17歳にしてバルセロナから熱視線を送られている西川潤、アビスパ福岡へのレンタルから復帰したアカデミー育ちの前川大河ら能力の高い若手がひしめいている。加えて言うと、オイペンから国内復帰した豊川雄太もベルギー時代は右サイドを何度も経験していて、役割をこなせるだけのポテンシャルが少なからずある。現時点で一歩リードしている坂元といえども、決してうかうかしてはいられない状況だ。
「僕はいつも『一番下から』って思いでやってます。山形でのスタートも一番下からだった。何事も恐れずチャレンジしようって気持ちで続けていくことが大事。今回はそれがうまくいったんでよかったけど、まだまだ足りない部分は沢山ありますね」

 つねに自分自身を冷静に客観視できるインテリジェンスを備えた坂元。その彼が真っ先に改善しなければいけないと考えるのが、守備の部分だ。
「今回のゲームでも(右サイドバックの松田)陸君との連携で少し遅れてしまうところがあった。自分がプレスに行くのが遅れてしまうと、守備全体が後手に回ってしまう部分がある。『行けるときは行って、行かないときはいかない』という判断をもう少ししっかりできるようにしないといけない。そこは強く意識しながらやっていきたいです」

 昨季J1最少失点だったセレッソの堅守をより研ぎ澄ませていくためにも、右サイドの守備力アップとボール奪取力向上は不可欠なテーマ。右の守りが強固になれば、左サイドの柿谷や清武が思い切ってゴール前へ出ていける回数も増えるだろうし、前線のブルーノや奥埜博亮、長期離脱から復帰した都倉賢らも得点チャンスが増えてくるのではないか。

 そのためにも、坂元にはよりダイナミックなアップダウンと攻守両面での貢献が求められる。昨季序盤は多くの選手が理解するまでに時間を要したロティーナ監督のポジショナルプレーをいち早くピッチ上で表現できるようになった彼ならば、すぐに一定基準以上に達するはずだ。

 セレッソの2020年J1は22日の大分トリニータ戦からスタートする。ロティーナ体制1年目だった昨季は序盤結果を出せずに苦しんだが、今季は開幕ダッシュを見せたいところ。背番号17をつける23歳のドリブラーがキーマンになってくれれば理想的だ。

「今年のセレッソで一番の注目は坂元」

 エースナンバー8をつける柿谷に名指しで期待を寄せられる男のこの先の一挙手一投足から目が離せない。

Text by Etsuko MOTOKAWA