身の危険を感じながら戦っても…(写真/共同通信社)

写真拡大

 目にはゴーグル、口元はマスクで覆い、防護服に身を包んだ救急隊員。ストレッチャーには、透明シートに覆われた感染者が横たわる。患者を乗せた救急車は、受け入れ先となる病院に向けて救急搬送を開始した──。

 武漢からのチャーター機第1便が到着した1月29日以来、羽田空港や、集団感染発生のクルーズ船が停泊する横浜港で繰り返された光景だ。

 救急車が向かう先は、“感染症のスペシャリスト”が待つ医療機関だ。現在、感染性や病原性の強い一類、二類感染症に対応可能な指定医療機関は全国に約400施設。特別な設備を持ち、感染症治療の専門知識や経験が豊富な医師、看護師らが常駐する。ウイルスなどの病原体を院内や外部に漏らさぬよう、徹底した管理体制が敷かれる。

 その一つ、国立国際医療研究センター病院(東京・新宿)では、21人の医師が新型コロナウイルス感染症患者の治療にあたっている。2009年の新型インフルエンザ発生時、同病院で感染患者を治療した水野泰孝医師(グローバルヘルスケアクリニック院長)が語る。

「国立国際医療研究センター病院には一類感染症のためのベッドが4床あります。それぞれ個室で空調は独立しており、空気中のウイルスが漏れないよう室内の気圧を下げた『陰圧室』になっています」

 検査や診察で医師や看護師たちが陰圧室に入る際は2人一組となり、マスクやゴーグル、手袋、防護服などPPE(個人防護用具)を必ず着用する。

 より神経を使うのは、ウイルスが付着したPPEを脱ぐときだ。お互いに確認しながら決まった手順で行ない、患者一人を診るたびに廃棄する。

「感染症の診療・治療に携わる医師で一番大変なことは、未知の感染症にも立ち向かわなければならない点でしょう。その脅威は本人よりも周囲のほうが感じており、家族から『帰ってこないで』と言われることもしばしばです」(水野医師)

 自らの感染リスクがあるなかで患者のために尽くす医療従事者たち。

 都立病院の場合、新型コロナの治療にあたる医師・看護師らには「防疫等業務手当」が支給されるが、その額は「一律日額340円」(東京都総務局人事部)だという。

※週刊ポスト2020年2月28日・3月6日号