「上司に君のことを推薦しておいたから」小さな“貸し”を作っておくと何倍も得をする から続く

【問題】あなたはこの心理バイアスを見破れますか? 「ビジネス思い込み度」チェック5問

 人が判断をくだすとき、先入観や偏りから陥りがちな「心理バイアス」がある。経営学、認知心理学、行動経済学から導き出された101の心理バイアスの中から、交渉時やセールスに使える「フレーミングの罠」を紹介する。

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「1日につき、(たったの)80円ちょっとです」

 フレームとは枠のことであり、フレーミングは、人の思考に何かしらの枠を設けさせることを意味します。

 たとえば3万円のサービスを売ろうとする際、そのまま「3万円です」と見せるのと、「1日につき、(たったの)80円ちょっとです」と見せるのでは、後者の方がお得感を感じる人は多いでしょう。15万円くらいの多少高価な電子機器も、「毎日のスタバのコーヒーを我慢すれば買える額です」と言われれば、食指が伸びる方も多いはず。

 このように人間は、本質的には同じことであっても、フレーミングのされ方で感じ方は変わってくるのです。当然、交渉術やセールスにおいては、相手が自分の条件を飲みやすいようにフレーミングすることがコツとなります。


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 他に著名なフレーミングに、順序を変えたり、率と実数を変えたりというものがあります。たとえばあるワクチンについて、以下の2つの表現があったとします。

「ワクチンとしての効果はほぼ100%保証されます。ただ、ごく稀に、10万人に1人程度の割合で、入院せざるを得ない副作用をもたらすことがあります」

「これまでに、全世界で1000人、入院騒ぎになる副作用がありました。しかしワクチンとしての効果はほぼ100%です」

 このケースであれば、前者を好む人の方が多そうです。

「10万人に1人」はかなり稀な他人事と感じられるのに対して、「1000人」という数字はそれなりに多いと感じられるからです。

さまざまなフレーミングのテクニック

 ポジティブに言うかネガティブに言うかという差もあります。たとえば、あるプロジェクトの成功確率が40%程度と試算されたとします。そこで「イチローの打率よりはるかに高いじゃないか」と言えば、何となく行けそうな空気を感じられますが、「失敗する確率の方が1.5倍も高いのか」と言われれば、今度は成功しにくく感じるものです。

 ここに紹介した以外にも、立場を変えたり(例:顧客の立場から表現する)、数字の単位を変える、あるいは比較するものを変える(例:株の損失を年収と比較するのではなく、生涯賃金や総資産と比較する)など、フレーミングのテクニックにはさまざまなものがあります。それをどう使いこなせるかが、他人を動かす力にも関係してくるのです。

フレーミングの定義:本質的には同じ事柄であっても、枠付け(見せ方)の差によって違う印象を持ってしまう効果

クイズに挑戦!

あなたはこの心理バイアスを見破れますか? 「ビジネス思い込み度」チェック5問

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【イケア効果】なぜ人は論理的に判断ができないのか
【生存バイアス】なぜ「デキる人」の言うことを聞いてしまうのか
【アンカリング】数字は先入観にこびりつく
【リンダ問題】確率は直感に反する
【授かり効果】人は失うことを過剰に嫌う
【ギャンブラーの誤謬】なぜ人は根拠のない勘で判断をしてしまうのか
【直線本能】人は「明日も昨日と同じ」と信じてしまう
【計画バイアス】とにかく人は楽観的に考えてしまう 

他、全部で101の「心理バイアス」は 『MBA 心理戦術101 なぜ「できる人」の言うことを聞いてしまうのか』をご覧ください。

(グロービス)