PKを決めて咆哮する湘南ベルマーレMF梅崎司

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[2.16 ルヴァン杯GL第1節 湘南1-0大分 BMWス]

 0-0で迎えた後半アディショナルタイム3分のPK、シーズン開幕を待ちわびていたホームスタジアムが緊迫ムードに包まれる中、湘南ベルマーレFW梅崎司は落ち着き払ったキックをゴール左隅に沈めた。「自分が決めるんだ、自分がやるんだという思いで譲れなかった」。頼れる背番号7が決めたチームの今季初ゴールは、劇的な初白星を呼び込む決勝点となった。

 古巣の大分トリニータを迎え撃ったルヴァン杯グループリーグ開幕節、ベンチスタートの梅崎は後半25分からピッチに立った。サイドラインを跨いでフィールドに入ると、すぐさま大分U-18の後輩にあたるDF岩田智輝とタッチをかわす。昨季の対戦時に岩田のほうから挨拶に来たといい、「五輪世代で活躍していて気になっているし、応援している」という間柄だ。

 今季の湘南は3-5-2のシステムを採用しており、梅崎の持ち場は2トップの一角。これまでトップ下、サイドハーフを担うことが多かった32歳にとっては新境地のポジションだ。「今までFWというものを本気でやったことがなかったけど、これまでの経験をフル動員させて、新しいFWの形、自分らしいFWの形をつくっていく」。そんな決意の一年が幕を開けた。

 試合は大分がボールを握って優勢を保つ中、梅崎が存在感を見せる場面はなかなか訪れない。「リズムを作りたい、スイッチを入れたいと思ったけど、正直何もできなかった思いが強い。僕だけの問題じゃなく、チームであれだけ引かれた相手にどうビルドアップするかをもっと突き詰めていかなきゃいけない」。最終盤に至るまでは、課題を痛感するばかりの流れとなった。

 しかし、相手守備陣のミスにつけ込んだPKをしたたかに決め、勝ち点3という至高の結果を掴んだ。「すごく緊張しましたね。ただ、譲れないというか、一つのチャンスを自分がモノにするんだという思いは持っていないとできない」。狙ったコースは得意の左隅。「昨日は練習で右に決めていたので悩んだけど、駆け引きの中で左に冷静に蹴り込めた」と落ち着きが光った。

 ルヴァン杯の開幕節とはいえ、変則日程の今季に関しては大事な初陣。そんな一戦で決めた劇的な決勝ゴールは梅崎にとっても絶好のスタートとなった。もっとも、「年齢的にも背水の陣」と意気込む32歳に、ここで満足する意識は欠片もないようだ。チームにとっても「新しい湘南を築いていく最中」という大事な時期。新境地を切り開くベテランはその先陣を切っていくつもりだ。

(取材・文 竹内達也)