一度はやってみたいランジ! 意外と知らない正しい飛び方とコツ紹介

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4、5級ぐらいのグレードになると、ボルダリングジムによってはランジ課題が登場します。

一度は大会の動画でも見て憧れた方も多いかと思いますが、初めてランジをやってみると思ってるように体が動かなくて、飛距離が出ないことはよくある話です。

実際に、

「すぐに飛距離が伸びるコツはない?」「怖くて飛べないのですが、どうしたら良いですか?」

と聞かれることが多いです。

そこで今回は、ランジで改善した方がいいポイントとコツを紹介していきます。

ランジの正しいやり方がわかれば劇的に変わりますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

ランジとは?ランジの定義

ランジとは、両手を離して次のホールドに飛びつくムーブのことです。

ランジの特徴として、体の反動をうまく利用して飛ぶムーブなので、両手を最大に伸ばしても届かないホールドでもキャッチできます。その分技術が必要ですが、マスターすればより高いレベルのボルダリングを楽しむことができます。

ランジとダブルダイノの違い

「ランジとダブルダイノって違いはなんですか?」とよく質問されます。

実際にはあまり区別はなく、どちらも次のホールドに飛びつくのは同じです。強いていえば、ダブルダイノは両手で次のホールドを取りに行くに対してランジは片手で取りに行くことが多いです。ただ人によっては、どちらもランジと判断しますので自分の覚えやすい方で呼ぶと良いです。

ちなみに英語ではランジのことを「ダイノ」と呼ぶので、海外に行ったときはダイノと呼びましょう。

ビギナークライマーが陥る間違ったランジの仕方

見よう見まねでできるほど簡単ではないランジ。ここではランジで陥りやすいミスや勘違いを紹介していきます。

【手にばかり集中してしまう】

ランジをしている動画をを見ていると思いっきり手で引っ張っているように見えますが、どちらかというと、足と次に取るホールドに集中しています。ランジが得意なクライマーは、手を脱力して最後の引きの瞬間だけ全力で力を入れている場合が多いです。イメージとしては、壁に張り付きながらジャンプするために、手を使って良い体勢に体を持っていく感覚です。

【足を最大限まで高くあげる】

初めてランジをする方が一番陥りやすい間違いが、両足とも出来るだけ高くあげてしまうということです。これをすることにより、お尻の位置が下がってしまい、体重が足ではなく腕に集中してしまいます。ただ足を下げるだけだと、お尻の位置は低いままなので飛距離が伸びないのも事実。 「片足だけ高く、反対の足は低く」 ポジションを取ることで、お尻の位置が高いまま体重を足に乗せることができるのでおすすめしています。

【ランジ前に体を何度も振る】

ランジをやっているところを見ていると、3、4回ぐらい体を勢いよく振って飛ぶ方が多いです。振ることは良いことですが、振りすぎると腕が疲れてしまい飛ぶ前にかなり力を使ってしまいます。振る回数は、出来るだけ少なくして飛ぶ瞬間だけ力を入れるイメージを持ちましょう。

私のおすすめ回数は2回です。1回目の振りで距離感を確認し、2回目の振りで飛ぶイメージです。

【逆にランジ前に体を振らない】

これは特に女性で多く、怖いという理由が大半。確かに振らないと壁に顔が近づかないので怖さは軽減できますが、飛距離を出すのも難しいです。飛ぶ前に体を振らないということは、地上でジャンプをする時に屈伸運動をせずに飛ぶことと変わりません。最初は恐怖心があると思いますが、少しずつ振る動作を付けていきましょう。

ランジで大事なポイント

【腕は伸ばしたままにする】

「腕を伸ばした方が距離が出ますよ」という話をすると、多くの人に驚かれますが、実際に数センチ程度であれば飛距離が伸びます。その原理は、腕を伸ばしていた方が振ったときの遠心力が高まり、曲げて飛んでいたときよりも上への推進力が上がるからです。

プロのランジ動画を観ると、ほとんどのクライマーは腕を伸ばしながら大きく体を振っています。例外もありますが、シンプルなランジなら腕を伸ばした方が確実に飛距離が変わります。

【両足はバラバラのポジション取りをする】

ランジ初心者の方が陥りやすい間違いの中でも紹介した、両足を上げすぎない。そこで質問をいただくのが、

「両足は同じ高さにした方が良いの?」

両足は、出来るだけ不揃いの高さにした方が距離を出しやすいです。なぜなら、両足を同じ高さにしてしまうと一番高いフットスタンスを踏めないからです。

私の場合は、もしフットスタンスがたくさん用意されていたら、片足は一番高いところに置き、反対の足は一番腕に負担が掛からない位置に置きます。さらに次に取るホールドの手と同じ足を高く上げましょう。例えば次のホールドが左側にあるなら、左足を高く上げて、右足を低くすることをおすすめしてます。

ランニングやウォーキングのときは、左手を出したら右足を出しますが、クライミングでは基本的に逆になることもプラスで覚えておきましょう。

【動きの連動を意識する】

ここが一番難しいポイントですが、ここをマスターできるとランジの飛距離は飛躍的に伸びます。水泳でいう平泳ぎと同じで、足と手がタイミングよく動かないと上手く飛べません。具体的に言うと、腕を振って腕が最大限に下方に伸びきっている状態(体が一番壁に近いポジション)のときに、勢いよくジャンプします。

このときの振りが早ければ早いほど、上への推進力が生まれより飛距離が出せます。ただスピードを上げてしまうと飛ぶタイミングを合わせるのが難しくなるため、初めはゆっくりで良いので足と手の連動を意識しましょう。

【顔から壁にぶつかっていくイメージを持つ】

「顔から壁にぶつかっていくイメージを持つと上手く飛べますよ!」と言う話をすると、怖くてできない方が多いです。しかしランジをする傾斜は、だいたい100〜120度ぐらいの緩傾斜ですので、飛んだ瞬間から後方に体は倒れていきます。だから顔から壁に向かっていくイメージで飛ばないと体が離れてしまうのです。

実際に私も何千回とランジをしてきましたが、一度も顔から壁にぶつかったことはないのでご安心を。万が一ぶつかったとしても、その距離感とタイミングを覚えておけば次回ぶつかることはないでしょう。

【蹴り足が大事】

ランジの本質は、やはり飛ぶときの足。腕の振りを利用していかに飛びやすいポジションを瞬時に作り、タイミングよく飛ぶことが重要です。だから地上でのジャンプ力が上がれば、飛距離も必ず伸びます。多くのトップクライマーは、足のつま先がスタンスから離れるギリギリの瞬間まで意識を集中させているそう。

【恐怖心を克服しよう】

ランジは普通にボルダリングをするのと違い、少し危険が伴います。慣れないうちは恐怖心がかなりあるかと思うので、恐怖心を和らげるために初めは壁から両手を離す練習をしましょう。慣れてきたら少し高めに飛んでみて、それでも大丈夫だと感じられたら次に取るホールドをタッチするなどして少しずつ恐怖心を克服していくことをおすすめしています。

まとめ

いかがだったでしょうか?

ランジの間違いやすいポイントやコツなどが理解できたかと思います。ランジは回数をこなせばある程度上手に飛ぶことができるようになるので、とにかく簡単そうなランジを見つけたらトライしてみることをおすすめします。上達してきたら、コーディネーションと呼ばれるランジのさらに難しい飛び系ムーブにも挑戦していきましょう。