アイリス・ノバ(Iris Nova)の創業者ザック・ノーマンディン氏はいま、砂糖「ゼロまたは低使用」飲料に力を入れている。スパークリングティーやセルツァー、レモンジュースなどを販売に向けて準備中だ。

米DIGIDAYの姉妹サイトのモダン・リテール(Modern Retail)のポッドキャスト番組で、同氏は「どのブランドにも電話番号はある」と語った。「商品を注文したければ、電話でブランドに直接テキストメッセージを送ればいい」。

同社のレモネードブランド「ダーティーレモン(Dirty Lemon)」は2015年の発売開始から200万本以上を売り上げたが、フォーブス(Forbes)によればそのうち9割はテキストメッセージによるものだったという。アイリス・ノバはコカ・コーラ社から1500万ドル(約16億円)の資金提供を受け、さらなる成長を続けている。ノーマンディン氏は、コカ・コーラ社に企業を売却しても構わないとしている。「おそらく将来に向けて売却が一番の道なのではないかと思う。あっという間に投資を回収できれば、また別だが」と、同氏は語る。

ノーマンディン氏はテキストメッセージによる支払いシステムについてアジア市場で調査を行い、「感銘を受けた」という。「アジア市場にはワクワクさせられた。市場の動くスピードが、ここアメリカとはまったく違う」。

また同氏は、D2C企業にとって痛手となっているインフルエンサーの影響力低下や、ロボットによるテキストシステム(まだチューリングテストには合格していないそうだが)についても語った。

番組で話された内容の一部をお伝えしよう。なお、発言の意図を明確にするため一部に若干の編集を加えている。

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厳しさを増すD2C市場

「皮肉なことに、いまのD2Cでは独自販売はほとんど不可能だ。ブランドとして伸びるためには小売企業の手を借りなければならない。消費者も変わり、市場の競争は苛烈を極めている。オンラインのカスタマー獲得コストも、多くの企業で持続不可能なほどに高騰している。だからこそ自分たちのやり方で小売を手がけることにした。小売を自分たちの味方につけたわけだが、これは起業した時点では考えもしなかったことだ。つまるところ、消費者に届けるには、小売企業に売るのが唯一のやり方だったというだけだ」。

インフルエンサー時代の終わり

好きなインフルエンサーがいつも使っている商品を消費者も喜んで使うという時代は終わった。もはや、そんなことは、誰も気にしていない。消費者はここ2、3年、あまりにも多用されてきたインフルエンサーマーケティングに飽き飽きしていて、いまでは自分の好きなものを自分で決めたくなっているのだろう。押し付けられた商品ではなく、商品を楽しみ、自分で関係性を築き上げたいのだ。当社もそこに学んだ。現在の市場でブランドを構築するには、ロングテール型のプロセスが求められる。これまでのように、すさまじい速度で成長できる業界ではないのだ」。

アジア市場にヒントがある

「当社にはいくつかの選択肢があった。まずショッピファイ(Shopify)で展開する手もあった。そして、アプリを制作して、アプリで独占販売することも検討した。その過程で、世界において消費者がどのようにブランドと接しているかを調査した。そのなかでも、アジア市場には一番ワクワクさせられた。市場の動くスピードが、ここアメリカとはまったく違う。当社が構築している、いつでもどこでもテキストメッセージで注文できる支払いプラットフォームも、アジア市場に着想を得た。どのブランドも電話番号はある。商品を注文したければ、電話でブランドに直接テキストメッセージを送ればいいし、商品について知りたければ質問もできる。注文の追跡や追加も可能だ。そして全カスタマーデータが、ポートフォリオに含まれる全ブランド間で共有されている」。

Amazonは市場を支配しているが、ロイヤルティで支配しているわけではない

そもそも当社がAmazonで商品を展開しているのは再販業者がいるからで、いわば防御策なのだ。当社からダーティーレモンを買って、より高い値段でAmazonで売りつける業者がいた。だからAmazonに参入し、そうした事態を防いでいるに過ぎない。Amazonのカスタマーは、Amazonへのロイヤルティは持ち合わせていないと思う。これは確信に近い。彼らはAmazonが便利だから使っているだけで、自らをAmazonのロイヤルカスタマーと捉えていないのではないか。これは市場における空白地帯だ。同じ質の体験を、本物のブランドロイヤルティと共に提供すれば、他社が入り込む余地はあるはずだ」。

Pierre Bienaimé(原文 / 訳:SI Japan)