ブンデスリーガ第22節、フランクフルトがアウェーでドルトムントに4−0と完敗を喫した。長谷部誠と鎌田大地はベンチ入りしたものの、出場はなかった。


ドルトムント戦でベンチ入りした長谷部誠と鎌田大地(フランクフルト)

 フランクフルトのアディ・ヒュッター監督は敵将とチームを賞賛し、自らの不出来を嘆いた。

「(ルシアン・)ファブレ監督とドルトムントはおめでとう。勝利に値した。90分をとおしてすばらしい守備だった。我々はボールを持った時のアクセントに欠けていた。シュート数がそれを物語っている」

 この日のフランクフルトのシュート数はなんとわずかに1。対するドルトムントは17。ポゼッション率は63%対37%で、終始、主導権は握れなかった。シュート1本というのはかなり珍しい記録で、ドルトムントによれば、試合データを収集するようになってから、相手にシュートを1本しか許さなかったのは、2014年の11月9日、ボルシアMGに1?0で勝利した試合だけ。ちなみにこの試合、香川真司は73分から出場している。

 ヒュッター監督は呆れるしかなかった。

「序盤、相手にもミスがあったが、自分たちもミスをしたため、そこをつくことができなかった。負けて当然だ」

 フランクフルトにとって、2020年に入って6試合目にしてこれが初めての敗戦。引き分けもフォルトゥナ・デュッセルドルフ戦だけで、シーズン前半戦の不振が嘘のように調子を取り戻していた。

 好調の要因は明確で、これまでの3バックから、4バックに変更したことにあった。4バックに変更したことで守備を安定させ、ポゼッションサッカーからカウンター重視に切り替えた。

 4バック自体は、2年前に指揮官がニコ・コバチからヒュッターに代わった際、いったんトライしたことがある。だが、コバチ時代の3バックがチームに浸透していたこともあり、4バックは定着せず、早々に3バックに戻している。このとき、ロシアW杯を終えたばかりの長谷部誠は、本人曰く「モチベーションを失いかけていた」こともあり、当初はポジションを失っていた。だが、4バックを3バックに戻す過程で、スタメンの座を取り返している。

 現在のフランクフルトの布陣を見ると、トップは流動的だが、2列目はほぼ固定。フィリップ・コスティッチ、ミヤト・ガチノビッチ、ティモシー・チャンドラーがトップと絡んでいく形で攻撃する。そしてボランチをセバスティアン・ローデと組むのは、この冬に加入したシュテファン・イルサンケル。ヒュッター監督が古巣のザルツブルクからわざわざ引き抜いた選手だ。後半戦に入ってリーグ戦ではいまだ先発のない長谷部は、当面、この選手とポジションを競うことになる。

 いかにして、ポジションを奪い返すのか。長谷部は自身の強みに立ち返ることだと言う。

「それぞれの選手によって特徴が違う。今日はドルトムントが相手で、守備の部分で体を張れる選手を選んだのかな、という部分もあります。もちろん、そういうところでも戦っていかなければいけないんですけど、自分のよさは、もっとゲームを落ち着かせて組み立てるとか、チームのリズムを作るとか、そういうところだと思う。自分のよさを出しながら、監督が求めるものも、もっと自分自身、追求しなきゃいけないと思います」

 長谷部は長らく3バックの中央でプレーしてきた。4バックになった現在、ボランチでの勝負は久々になる。リベロでのプレーについては「目だけでプレーしないように(自分の体を動かすように)意識している」と語っていたことがあるが、ボランチではどうか。

「長らくボランチのプレーはやってなかったですけど、この前の2試合(ドイツ杯ライプツィヒ戦、第21節アウグスブルク戦)をやって、感覚も戻ってきている。そのなかで運動量とかインテンシティを、もっと上げなきゃいけないな、と。そこは経験でアジャストしていかなきゃいけないと思います」

 自身の強みにたちかえりつつ、経験で周囲やゲームにフィットさせていく。「次はたぶん出番があると思うので」と、悲観的ではなかった。

「スタメンを奪い返さなくてはというよりも、チャンスが来た時に、いかにパフォーマンスを発揮するか。試合が多いのだから、チャンスは絶対に来る」

 来週はミッドウィークにヨーロッパリーグのザルツブルク戦が行なわれる。長谷部にとって、またとない巻き返しのチャンスとなる。