嗜好品としてのカンナビス(大麻)使用の合法化を強く主張するアメリカの雑誌、ハイ・タイムズ(High Times)で新CEOに就任したストーミー・サイモン氏は、同誌の活動領域をマリファナの販売にまで広げる計画を立てている。

以前、ホームファッションのeコマース企業であるオーバーストック・ドット・コム(Overstock.com)のプレジデントを務めた経歴を持つサイモン氏は、具体的な販売時期を明かしていないが、すでに販売許可は取得しているという。創刊から46年の歴史を有するハイ・タイムズのプレスリリースによれば、最初の販売拠点はラスベガスとロサンゼルスだ。サイモン氏は、同社が以前「カンナビスカップ(Cannabis Cup)」のイベントを開催した地域でもさらに店舗を展開する予定としている。たとえばコロラド、ミシガン、ワシントン州、さらにアムステルダムなどがこれにあたる。

「ここ3年、大麻業界ではほかの業界で90年のあいだに起きたのと同じくらい多くの出来事があった」と、サイモン氏は語る。「各市場でカンナビスカップを開催し、当社の店舗で取り上げ、宣伝し、販売するに値する質の高い大麻を見出した」。

小売とコマースに大きな期待

これまで大麻関連のパブリッシャーにとって、プログラマティック広告は活用が難しい分野だった。そのためハイ・タイムズは消費者からの収益やスポンサー付きのイベント、D2C事業を重視している。サイモン氏は消費者と大麻を結びつける次の一手として、販売拠点を作り上げることを掲げている。

2018年12月31日に、ハイ・タイムズ・ホールディングはIPOを目指して収益報告を行った。それによると、同社の収益の大半(7割近く)はイベントからの収益だった。そのイベントのひとつが、大麻の大会であるカンナビスカップだ。ほかにも同社は音楽フェスティバルのブライトサイドフェスティバル(Bright Side Festival)や、大麻博覧会のMJビズコン(MJBizCon)で開かれたビズバッシュ(BizBash)のパーティーなどに参加している。ハイ・タイムズのイベント事業はチケット販売とスポンサー収益で成り立っている。広告と出版の収益は全体の29%で、プログラマティック広告も行っているものの、この収益の大半は直販広告によるものだ。残りの2%が商品販売、コマース、ライセンス契約による。2018年度の同社の総収益は1480万ドル(約16億円)だった。

サイモン氏は2019年度の収益について明かしていないが、小売とコマースが2020年度には大きく伸びるだろうと予測している。また、具体的な数字は明かせないが2019年度は商品販売が伸びたという。

サイモン氏によれば、親会社のハイ・タイムズ・ホールディングは、今年のIPOを狙っているとのことだ。ハイ・タイムズ・ホールディングは2万人の投資家から2000万ドル(約22億円)の資金を調達している。サイモン氏は5000万ドル(約55億円)は間違いなく達成できると予想しており、大麻事業における資金調達の「一番の近道」は、消費者に業界とコミュニティの一部を保有できるようにすることだと語る。

困難が多い業界での勝機

大麻企業は銀行から借り入れができない。そのため販売事業を拡大させたい企業にとって直接投資は重要になると語るのが、マサチューセッツ州における大麻ライセンスを専門に扱うエバンスカトラー・アトーニー(EvansCutler Attorneys)に務める弁護士のマイケル・D・カトラー氏だ。

カトラー氏は「十分な資金をもってはじめないと成功できないだろう」と語る。大半の銀行は米連邦政府の認可を受けており、連邦法ではマリファナは依然として違法なためだと、同氏は指摘する。

こういった事業の店舗を確保するにあたり、州のライセンスを得るには丸1年かかる場合すらあるという。店舗展開の費用は州によって異なるものの、場所の借り入れ、運用、ライセンスの申請、法的代理人の雇用など、200万ドル(約2億2000万円)近くになる可能性すらある。

たとえばカリフォルニア州のウェブサイトを見ると、同州におけるライセンス料金は、ライセンス期間となる12カ月間中の、申請者の総収益に基づいて決定するという。大麻事業ソフトを提供するコーバ・ソフトウェア(Cova Software)の不動産価格やライセンス費用などをはじめとする試算によれば、カリフォルニア州で販売拠点を開くには、毎年8万から25万ドル(約8800万円から2億7500万円)をあらかじめ用意しておく必要がある。この費用はミシガン州ではだいぶ低くなり、4万7000から13万6000ドル(約520万円から1500万円)だ。

関連メディアの買収も敢行

ニューヨーク・ポスト(The New York Post)は12月に、ハイ・タイムズ・ホールディングがドープ(Dope)、カルチャー(Culture)、グリーンラッシュデイリー(Green Rush Daily)を買収し、1億520万ドル(約115億円)の負債を抱えたことを報じている。

Kayleigh Barber(原文 / 訳:SI Japan)