新型コロナウィルスが広まる中、パチンコ店はマスク着用に及び腰。その理由とは?

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新型コロナウイルスの脅威とパチンコ店

 留まるところを知らない、新型コロナウイルスの脅威。中国の春節を見込んだ観光業が手痛い影響を受けていたり、飲食店でも入店制限をかけたりする店が出るなど、観光・サービス業において大きな影を落とし始めている。日本国内の感染者も日ごとに増え、ついに先日、神奈川県で死亡者も発生。有効な治療方法が無いままに、ウイルス被害は拡大し続けている。

 そのような中、不特定多数の人たちが集うパチンコ店において、一つの議論が沸き上がっている。パチンコ店スタッフのマスク問題だ。パチンコ店のスタッフはマスクを付けるべきか否か。
 多くの販売店では品切れ状態が続くほど、日本中の人々がウイルス感染の予防としてマスクを装着し始めるなか、パチンコ店ならではの事情があるようで−−。

◆パチンコ店のスタッフがマスクを装着

 新型コロナウイルスの感染が広まるなか、或る大手パチンコチェーンが店内にお客さん向けの告知を掲示した。

「現在、新型コロナウイルスによる肺炎、およびインフルエンザが拡大しておりますため、当社では感染拡大防止のために、スタッフがマスクを着用している場合がございます。顔が見えづらく、ご不快に感じられるかと存じますが、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。また、ご気分がすぐれない場合には、スタッフへ遠慮なくお声がけくださいませ」

 このような掲示内容がSNSを通じ拡散されると、パチンコ店関係者と思しき人たちから様々な意見が投げかけられた。

「当店でもマスク着用を始めています」
「マスク着用かぁ。ウチでは無理だろうなぁ」

 遊技機の設置台数が1000台を超える大型店には、一日に数千人の客が来店する場合もある。その不特定多数の人たちがパチンコ台のハンドルを握り、パチスロのレバーを叩く。今回の新型コロナウイルスに限った話では無く、インフルエンザや風邪など、病気が感染しやすい状況であることは間違いない。

 パチンコ店側でも常日頃からそのような感染症に対する様々な対策を取っており、出入り口にアルコール消毒剤を設置するのは勿論のこと、お客さんが遊技終了した遊技台をアルコール清掃していたり、ウイルス除去力の高い空気清浄機の導入をしたり、加湿器を稼働させたりと、ホール内環境整備の徹底を図っていたりもする。

 しかし、ことマスクの装着に関しては、パチンコ店は常に及び腰であった。

接客業としてのパチンコ店と、マスク着用のジレンマ

 パチンコとは本来「装置産業」であったが、近年は時間消費型レジャーというカテゴライズがされるなど、お客様に娯楽を提供する接客業という色合いが急激に濃くなった。店内装飾や休憩室の設置、豪華なトイレ、テレビも見られるし、雑誌や漫画も読めるし、足湯すら設置しているパチンコ店も珍しくはない。

 お客様に快適な環境を提供するということが、パチンコ店の在り様として定着するなか、スタッフは、一昔前のような「客の監視係」ではなく、「お客様にサービスを提供するスタッフ」となったし、店舗やスタッフ内の意識は「接客業」を営んでいるという意識が強くなった。

 接客業であるならば、マスクの装着はお客様に失礼にあたるのではないか。

 読者諸氏には、このパチンコ店の悩みにピンとくる人が少ないかも知れない。

◆世間は、接客業のマスク着用に寛容になるべきでは

 では例えば、老舗旅館の女将が玄関口にお客様を迎えにあがる時にマスクを装着しているというのはどうか。例えば高級キャバクラの女性スタッフがマスクをしていたらどうか。勿論、単純に比較するのもおかしな話ではあるが、少なくとも接客業のスタッフとして、マスクはお客様とのコミュニケーションの隔たりでしかない。ともすれば、お客様に不要な心配を与えてしまうかも知れない。そういう考え方が、スタッフのマスク装着をためらわす理由だ。

 新型コロナウイルスに関する報道が連日連夜流されるなか、パチンコ店に訪れる客の側にも、また働くスタッフの側にも、感染に対する危機意識が芽生えている。

 筆者は思う。
 世の中の、ウイルスに対する「怖がり方」が正しいのか否かはさておき、今のように危機意識が煽られる状況下では、「接客業のマスク」に対する客とスタッフの相互理解が成立するのではないか。社会公序の観点からも、お客様保護の観点からも、そして働くスタッフの保護の観点からも、パチンコ店のスタッフがマスク装着していることに誰も異議は唱えないだろう。

 マカオのカジノが、出入する従業員が新型コロナウイルスに感染したという理由で、14日間の営業停止を発表した。カジノの経営にどれだけの影響が出るのか。どれほどの売上が無くなるのかは分かりかねるが、このニュースは、パチンコ店にとっても対岸の火事ではない。

 お客様ファーストであれ、従業員ファーストであれ、必要最低限の予防策は講じて然るべきだ。

<文/安達夕>

【安達夕】
Twitter:@yuu_adachi