ソール・ライター《赤い傘》1958年頃、発色現像方式印画
©Saul Leiter Foundation

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50年代のファッション誌を彩ったカメラマンの魅力

2017年に日本初の回顧展が開催され、大きな話題を呼んだ「カラー写真のパイオニア」ソール・ライター(1923-2013)。本展「永遠のソール・ライター」は、前回紹介されなかった作品群を中心に、さらなる彼の魅力に迫る展覧会だ。

【写真】カラー写真初期のやさしく味わい深い色彩

1950年代よりファッション・カメラマンとして、『ハーパーズ・バザー』や『ヴォーグ』など名だたる雑誌で活躍していたソール・ライターは、58歳の時に突然自らのスタジオを閉めて以来、忘れられた存在となっていた。しかし2006年、ドイツのシュタイデル社が、モノクロ写真全盛時代に彼が人知れず撮影していたカラー写真に注目し、写真集を刊行したことから、ライターの写真が再び脚光を浴びることになるのである。

彼の写真を見た人がまず魅了されるのは、カラー写真初期のやさしく味わい深い色彩と、哀愁漂うニューヨークの街角の風景。そして、19世紀に欧米を席巻したジャポニスムの絵画のような雰囲気である。

たとえば雪の中を赤い傘をさした黒い外套の女性が、足早に通り過ぎる《赤い傘》。雪や雨、傘といったモチーフや、単純化されたかたち、たっぷりととった余白などが、日本美術の影響を強く受けた19世紀末フランスの美術家グループ・ナビ派の作品を彷彿とさせる。

「ニューヨークのナビ派」と言われるライターの写真もまた、雪景色を描いた浮世絵に漂う、しっとりとした風情を感じさせてくれることだろう。

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ニューヨークが生んだ伝説の写真家永遠のソール・ライター〜3月8日Bunkamura ザ・ミュージアムTEL 03・5777・8600(ハローダイヤル)※以後、京都に巡回

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超有名作品が一堂に会する

江戸時代後期、爛熟した江戸文化の中でも、ひときわ大きく花開いた浮世絵。その作者たちからとりわけ有名な、歌麿、写楽、北斎、広重、国芳という5人のスター絵師の作品を紹介する。しかも歌麿は美人画、写楽は役者絵、北斎と広重は風景画と花鳥画、国芳は武者絵と、それぞれの得意分野における超有名作品のみを展示する決定版的な展覧会だ。

当然、北斎なら大波に翻弄される船と遠くの富士を表した《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》、写楽なら役者が両手を前に出して見得を切る《三代目大谷鬼次の江戸兵衛(おおたにおにじのえどべえ)》など、誰もが一度は見たことのある定番中の定番が紹介されている。

そのなかでもとくに楽しかったのは、喜多川歌麿の美人画の数々。長崎のガラスのおもちゃで遊ぶ《婦女人相十品 ポペンを吹く娘》の市松模様の着物など、美人たちが身にまとっている自由で美しいデザインの衣装に目が奪われる。

歌麿の浮世絵は、着物のデザインブックとしてみても最高だ。

喜多川歌麿《婦女人相十品ポペンを 吹く娘》寛政4〜5(1792〜93)年頃 大判錦絵メトロポリタン美術館蔵 展示期間:2月11日〜3月1日Image copyright©The Metropolitan  Museum of Art/Image source : Art Resource, NY

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大浮世絵展歌麿、写楽、北斎、広重、国芳夢の競演〜3月22日福岡市美術館 TEL 092・714・6051※以後、愛知に巡回

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江戸の高級品店より、本当の贅沢を堪能

16世紀前半、室町時代後期に創業した和菓子の老舗・虎屋。この店の14代店主・黒川光みつ景かげが、明治30(1897)年に生まれた娘・算子(かずこ)のためにととのえ、蒐集した雛人形と雛道具を紹介する。

道具の大半は、江戸時代、上野池之端にあった高級雛道具店「七澤屋(ななさわや)」の品。特徴的な牡丹唐草文で知られたこの店は、江戸在住の大名家や裕福な町人たちに愛された。

この七澤屋による、小さいながらも細部まで作りこまれた可憐かつ美麗な雛道具を見ると、本当の贅沢とはこういうことか、とため息がでる。

今回は雛道具の原型である実際の婚礼調度も紹介。大きさを比べながら江戸の細密工芸の世界が楽しめる。

《男雛・女雛》京都・丸平大木人形店製日本・明治時代 19世紀 株式会社虎屋蔵

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特別展虎屋のおひなさま2月22日〜3月29日根津美術館TEL 03・3400・2536(代表)

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