GIII共同通信杯(東京・芝1800m)が2月16日に行なわれる。

「クラシックへの登竜門」と言われるだけあって、ゴールドシップ、ディープブリランテ、イスラボニータ、リアルスティール、ドゥラメンテ、ディーマジェスティ、スワーヴリチャード、ダノンキングリーなど、ここで好走した馬たちが、のちのクラシックでも大いに奮闘している。

 ということは、素質馬、すなわち人気馬が結果を出しているように思えるが、過去10年で1番人気は、1勝、2着3回、3着2回、着外4回と、それほど好成績を残しているわけではない。

「1番人気の単勝が1倍台となった年が6度もありながら、1番人気で勝っているのは、単勝2.2倍のイスラボニータだけ。こういった側面にも、しっかり目を向けたい」

 日刊スポーツの松田直樹記者もそう言って、波乱含みのレースであることを示唆。続けて、今年のレースについても、こんな見解を示す。

「評判馬に隠れた伏兵がここでベールを脱ぎ、飛躍を遂げるのが、共同通信杯というレースなんです。今年に関して言えば、ここまで3戦3勝と1番人気が予想されるマイラプソディ(牡3歳)の陰に隠れた”真の実力馬”を見抜けば、後々のGI戦線も楽しみになりますし、ここでも好配当を得ることができると思います」


本命マイラプソディを脅かす馬はいるか!?

 では、隠れた実力馬、今年のレースで台頭しそうな伏兵はどんな馬なのか。松田記者はこう分析する。

「今回は、各馬がクラシックに向けて賞金を加算したいレース。そういう意味では、どの馬も脚質の幅を広げるといった突飛な戦術を取る可能性は低く、逃げる地方馬のエン(牡3歳)をはじめ、先行する馬が締まった流れを作るはずです。

 そうした展開に加え、開幕2週目を終えた時点でも、先行馬有利が色濃く出ている馬場のため、自在性を備えるマイラプソディは道中、動きやすい好位から中団にかけてのポジションを取りにいくでしょう。

 そこで面白いのが、後方待機の馬。

 今週は、後半から雨予報。厳寒期の芝は一度荒れてしまえば、晴れてもそう簡単に馬場状態は回復しません。これで、前崩れへの期待が高まれば、緩い馬場を苦にせず、後方から飛んでくる馬が狙い目となります」

 そして、松田記者は、ココロノトウダイ(牡3歳)を推奨馬に挙げる。同馬は、ここまで3戦2勝、2着1回。今回は、およそ3カ月半ぶりのレースとなる。

「昨夏の新馬戦(7月13日/福島・芝1800m)で2着後、未勝利戦(8月10日/新潟・芝1800m)、1勝クラス(500万下)のきんもくせい特別(11月3日/福島・芝1800m)と2連勝。3戦すべてで、最速の上がりをマークしている点が魅力です。

 前走は小回りの福島が舞台ゆえ、早めに動く形となりましたが、2走前の新潟では、ゴールに向かって加速する末脚で2着馬との競り合いを制しました。直線の長い東京なら、同様の競馬が期待できます。

 また、同馬を管理する手塚貴久厩舎には、GIホープフルS(12月28日/中山・芝2000m)で3着と健闘したワーケアも所属していますが、手塚調教師は『ワーケアも走るけど、こちらも期待は大きい』と、重賞級の馬と同様の出世を見込んでいます。

 伯母にGIエリザベス女王杯優勝のトゥザヴィクトリーがいて、近親にもトゥザグローリー、トゥザワールド、デニムアンドルビーなど、重賞馬が多数いる血筋。3カ月ぶりの一戦となりますが、休養を挟んでの成長がうかがえますから、一発があってもおかしくありません」

 このココロノトウダイについては、デイリースポーツの大西修平記者も注目している。

「何より、2連勝の内容が秀逸。前走は少頭数だったとはいえ、道中5番手から徐々に進出を開始し、きっちりと差し切りました。相当長く脚を使っており、直線の長い東京コースでも、その持ち味が存分に生かされるでしょう。

 レースの間隔は少し空きましたが、その分、馬体はボリュームを増しています。中間も丹念に乗り込まれて、以前よりも走りがパワフルになりました。週末は天気が崩れる予報もありますが、重い馬場も十分にこなせそうです。

 きっちりとスタートを決めて、道中リズムよく運んで脚をタメることができれば、好勝負は可能でしょう」

 さて、大西記者には、ココロノトウダイ以上の期待を込める穴馬がいる。シングンバズーカ(牡3歳)である。

「前走の未勝利戦(12月15日/中山・芝1600m)を、後方からの鮮やかな追い込みで快勝。着差はクビでしたが、好位勢が2、3着に入った展開を考えれば、かなり評価できる内容でした。

 デビュー当初は、気性的な難しさもあって、力を出し切れていない印象もありましたが、一戦ごとに成長。折り合って運べれば、1ハロンの距離延長もまったく問題ないでしょう。

 勝ち上がったのは中山ですが、いい脚を長く使えるだけに、東京コースでも2戦2着1回、3着1回と悪くありません。

 手が合うベテランの柴田善臣騎手が、この中間の追い切りでも3週連続で騎乗。美浦のウッドチップで熱心な調整を繰り返していて、仕上がりは前走以上です。

 形のうえでは格上挑戦となりますが、自ら早めに動いていって、直線の脚比べの形に持ち込めば、十分にチャンスはあると見ています」

 シングンバズーカについては、松田記者も「気になる」という。

「これまでの5戦はすべてマイル戦で、走破時計は1分35秒台にとどまっていますが、そのうち4戦で、メンバー最速の上がりを駆使して追い込んできました。父の父オペラハウスの血筋から、多少馬場が渋ったところで、その抜群に切れる末脚が鈍ることはないでしょう。

 父シングンオペラは、地方所属ながら積極的に中央のレースに参戦。2001年の共同通信杯では、最速上がりを披露して、勝ったジャングルポケットの4着と健闘しました。

 JRA騎手現役最年長の柴田騎手も好感触で、展開次第では父以上の結果を残しても不思議ではありません」

 派手な結果を残してきた人気馬に対して、ここに挙げた”いぶし銀”の2頭がどう対抗するのか。必見である。