父・澄人さん(左端)、母・府見子さん(右から2人目)、弟・龍人さん(右端)とポーズをとる中谷潤人(左から2人目)(撮影・郡司 修)

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 ◇WBO世界フライ級王座決定戦 (同級1位)ジメール・マグラモ《12回戦》 (同級3位)中谷潤人(2020年4月4日 東京・後楽園ホール)

 前日本フライ級王者でWBO世界同級3位の中谷潤人が14日、都内のホテルで会見し、4月4日に東京・後楽園ホールで初の世界戦に臨むことを発表した。田中恒成(畑中)が返上したベルトを同級1位ジーメル・マグラモと争う。中学卒業後に単身渡米して武者修行してからプロキャリアを積み上げてきた異色の叩き上げは、家族の愛を支えに一発奪取を誓った。

 ボクシングを始めて10年、プロ21戦目で念願の世界戦がついに実現する。金びょうぶをバックに会見に臨んだ中谷は晴れやかな表情で心境を語った。

 「やっとこの舞台に立つことができるという思いと、世界で一番の男という肩書ができる試合になるのでワクワクな気持ちが一番ですね」

 近年は高校・大学などアマチュアで実績を積み、プロ入りするのが主流となっているが、中谷は中学卒業後に単身渡米。元世界2階級王者の畑山隆則氏らを育てた名トレーナーのルディ・エルナンデス氏に師事し、15年4月に17歳でプロデビューした異色の経歴を持つ。父・澄人(すみと)さんは「心配でした。高校に行ってからと話したけど、本人の意志が強く、それに負けました」と当時を振り返った。

 ボクサーに見えないほど穏やかな顔つきからニックネームは“愛の拳士”。中谷が拳に乗せる愛は家族からの愛だ。三重県の中学時代にジムから帰宅後も練習する中谷のため、澄人さんは経営するお好み焼き店の隣の店舗を借りて練習場を設置。米国から帰国した16年春には「近くで支えたい」と一家でM・Tジムのある相模原市に転居。中谷は「両親や弟にはサポートしてもらっているので、一発で獲って少しはホッとさせてあげたい。必ず世界王者になります」と誓った。

 対戦相手のマグラモは24勝20KO1敗の強打者。中谷は「凄く器用でパンチのある選手」と警戒しつつ「最初から長い距離で戦い、最後も長い距離で倒せるように」と勝利への青写真を描く。17日から20日まで国内で走り込み合宿を行い、来月上旬には米国でのスパー合宿を計画している。 

 【データ】中谷は16年に新人ボクサーの登竜門とされる全日本新人王を獲得し、20戦全勝で世界初挑戦する。新人王を経て世界王者になった選手は最近では伊藤雅雪(WBO世界スーパーフェザー級)、田口良一(WBA&IBF世界ライトフライ級)らがいるが、ともに世界挑戦までに敗戦を経験。内藤大助(WBC世界フライ級)は22戦無敗(20勝2分け)で世界初挑戦した時にはKO負けしている。新人王を経て無敗で世界王座獲得なら95年12月にWBA世界ミドル級王座を獲得した竹原慎二以来となる。