お悩み:46歳会社員(年収600万円、住宅ローン残債3000万円)、妻41歳(パート年収50万円)、子どもは小学5年生、2年生。妻が家事をしに近所に住む両親(要支援1の父80歳、要介護2の母77歳)のもとに通っている。

年金8万円で暮らす老親のために妻が週2回、食材を持って通い介護。このまま自宅介護を続けていては親子共倒れまっしぐら。しかし要介護3になるまでは利用料が安い特別養護老人ホームにも入れない。どうしたらいいのか。

■両親の貯蓄額を「専用ノート」で確認

「要介護2まではヘルパーさんに助けてもらいながらの自宅介護になりがち。そこで家族が消耗するわけです」。そう語るのは、介護関連の著書もあるFPの畠中雅子氏。「介護は情報戦」といわれる。知れば知るほど選択肢が広がり、費用も安く、家族が楽になる方法が見つかる。「要介護1〜2の時期をどう過ごすかをプランニングしている人はほとんどいません。でも『介護型ケアハウス』なら要介護1から入れます。よく探せば、夫婦部屋に入居して一時金数十万〜数百万円、月額利用料が月15万円程度の施設があります」。

写真=iStock.com/imacoconut
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/imacoconut

両親を施設に預けられるなら、目の前の共倒れ危機は回避できる。問題は、それだけの資金があるかだが、「親の介護は親のカネで」が介護の鉄則。自分の懐よりも、親の懐ぐあいを心配しよう。

■介護費用は次第に膨れ上がっていく

「2万円ぐらいなら、と親のためお金を出したくなる気持ちもわかります。でも介護費用は次第に膨れ上がっていくもの。かといって援助を打ち切ることもできず、子どもの教育資金を食いつぶし、家まで手放して……そんな介護破綻の例をいくつも見てきました」

介護が始まってすぐ行うべきなのは、両親の年金額、父が亡くなったときに母が受け取る遺族年金の額、貯蓄額の確認だ。以降の介護は、親の財産の範囲で行う。これで親の介護費用負担から解放される。もっとも親に直接「貯金いくら?」と聞いても、教えたがらないかもしれない。そこで「専用のノートをつくり、1つずつ質問に回答してもらいましょう。これなら記録が残りますし、手書きにすると親を思う子の気持ちも伝わります」。すると、年金と貯蓄を合わせて介護に月々いくらかけられるのかプランニングできる。施設を探し始めるのは、その後だ。

「例えば熱海にある『中銀ライフケア』の各物件は中高齢者専用マンション。居宅サービスとして、介護保険を使えます。夫婦が入れる部屋が数百万円程度で購入でき、月々の利用料は食費など入れても20万円以下で暮らせます。そういう穴場物件も探せばあります。また一方では、介護度が上がってから入居したい特養も探しておきましょう。自治体によって入居待ち期間も全然変わります」

次は教育費。中学受験しなければ、小学生のうちは教育費が家計を圧迫することはないだろう。だが「大学までどうやって進学するか、この時点でプランニングするべきです」と畠中氏は強調する。例えば「私立高校はお金がかかり、公立高校は安い」という常識は過去のもの。私立高校進学がもっとも安上がりになるルートも存在するのだ。

「今どきの私立高校は塾が出張授業にきていて、受験対策は万全。一方、公立高校では塾に通う人が多くなる。私立高校の授業料は就学支援金のほかに、都道府県の助成もあります。私立高校のほうが推薦で大学に進学する割合が多く、受験料も抑えられるので、総額を抑えることが可能になります」

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畠中雅子
ファイナンシャルプランナー(CFP)
FP技能士1級、マネーエッセイスト。メディアに多数の連載を持つほか、講演、個人相談、金融機関、公的機関のアドバイザー業務も行う。著書多数。

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(エディター/ライター 東 雄介)