Why JAPAN? 私が日本でプレーする理由

名古屋グランバス ミチェル・ランゲラック(3)

Jリーグは現在、じつに多くの国から、さまざまな外国籍選手がやってきてプレーするようになった。彼らはなぜ日本でのプレーを選んだのか。日本でのサッカーや、日本での生活をどう感じているのか? この連載では、彼らの本音を聞いていく。

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 ジャンルイジ・ブッフォンとイケル・カシージャス──。

 このイタリアとスペインの元代表に憧れてGKを目指したと、ミッチェル・ランゲラックは言う。ただし彼の母国オーストラリアは、マーク・ボスニッチやマーク・シュウォーツァーら、欧州のトップレベルで活躍したGKを産んだ国だ。現在ではマシュー・ライアンがプレミアリーグのブライトンで、レギュラーとしてゴールを守っている。


Jリーグでのプレーについて語るランゲラック

 AFCにおいて、オーストラリアはGK大国と言って差し支えないだろう。だから、以前にこのシリーズでポーランド出身のクシシュトフ・カミンスキーにも聞いた質問を、ランゲラックにも投げかけてみた。君の祖国から優れたGKが輩出する理由は何だろう、と。

「明確な理由は僕にもわからないよ」と31歳の守護神は朗らかに答えた。

「ただオーストラリアでは、子どもたちがいろんなスポーツを楽しむんだ。ラグビー、オーストラリアン・フットボール、クリケット……。小さい頃からそうした手を使うスポーツをすることによって、手や腕のコーディネーションが発達するのかもしれない。僕自身、いろんなスポーツをやっていた。いま挙げたもののほかに、水泳、テニスなんかも。子どもの頃から毎日、いろいろなスポーツを楽しんできたから、上半身の動かし方や瞬発力、反応の速さなどが身についていたんだろうね。

 でもそれも確信をもって言えることではないよ。GKと言っても、ひとくくりにはできないし、それぞれにストーリーがあるはずだから。間違いなく言えるのは、そこに才能と努力があるということだ」

 スポーツ好きな家族のもとに生まれ、少年時代からさまざまな競技に親しみ、才能を磨いてプロのGKになった。欧州ではユルゲン・クロップをはじめ、優れた指導者のもとで研鑽を積み、ブンデスリーガやチャンピオンズリーグといったトップレベルの舞台にも立った。そんなランゲラックは2シーズンを過ごしたJリーグの「レベルはとても高い」と実感している。

「ゴールを守る僕にとっては、毎試合がビッグチャレンジだ。本当だよ。選手はとてもスキルフルで、スピードがあり、強烈なシュートを浴びせてくる。それに攻撃的なスタイルのいいチームが多くて、技術的にも戦術的にも優れている。だから、たとえトップレベルを知る外国籍選手であっても、簡単にプレーできるところではない。実際に、うまくいかなかった選手は見てきたよね。

 最近はアンドレス・イニエスタやダビド・ビジャといった本当の一線級がやってきたこともあって、Jリーグのレベルはさらに高まっていると思う。今後、優れた外国籍選手はもっと増えるだろうね」

 ドイツでプレーしていた頃は、アリエン・ロッベン、フランク・リベリー、ピエール=エメリク・オーバメヤンら、さまざまなタイプの一線級のストライカーと対峙してきたが、Jリーグでもフェルナンド・トーレス、ドウグラス、レアンドロ・ダミアンといった相手に手こずったと明かす。そして今後はもっとそのような外国籍選手がJリーグに参戦することを願っている。

「日本に来るチャンスがあるなら、絶対に来たほうがいいよ、と言いたいね」と笑顔を浮かべたまま、ランゲラックは続ける。

「新しい国やリーグへ移るには、勇気や行動力が必要だけど、その価値はある。間違いないよ。日本には最高の生活と、スタンダードの高いリーグがあるのだから。僕も実際に、最初はちょっと不安だったけど、すぐにそんなものは不要だとわかった。人々は親切で、僕らのような外国人が困っていたら、すぐに助けてくれるしね」

 サッカーを取り巻く環境についても、ランゲラックは日本をポジティブに捉えている。


「日本に来るチャンスがあるなら、絶対に来たほうがいい」とランゲラックは言う

「スタジアムは新しいところが多くて、どこも手入れが行き届いていて本当にきれいだ。そこに多くのファンが集まって、すばらしい雰囲気をつくってくれる。これは国外に強くアピールできるところだと思うな。プロの選手なら、多くの観客の前でプレーしたいものだからね。

 その点でドイツはもっと上を行くかもしれないけれど、僕の知るかぎりでは、次点は日本だと思う。毎週のようにたくさんのサポーターがスタジアムに集まるのは、当たり前のことではないんだ。僕の生まれたオーストラリアのサッカーの試合では、そんな光景はほとんど見られないよ。スタジアム自体は立派でも、そこに毎週のように足を運ぶ人はとても少ない。だから、Jリーグでプレーできて、僕は本当にうれしいよ」

(おわり)

ミチェル・ランゲラック
Mitchell Langerak/1988年8月22日生まれ。オーストラリア・クイーンズランド州エメラルド出身。名古屋グランパス所属のGK。22歳の時にドイツへ渡り、ブンデスリーガでプレー。スペインを経て、2018年シーズンから名古屋でプレーしている。メルボルン・ビクトリー(オーストラリア)→サウス・メルボルン(オーストラリア)→ドルトムント(ドイツ)→シュツットガルト(ドイツ)→レバンテ(スペイン)