開幕まで半年を切った東京オリンピック。チケットが取れなかった方も、家で生中継を観ながらのんびり観戦しようと思っている方も、自宅に大画面テレビを導入すると、スタジアムに出かけるよりも大きな幸せを実感できるかもしれません。8K高画質の映像であれば、なおさらです。

ソニーは3月、ついに8K/HDR対応の液晶BRAVIAを日本国内で発売します。2020年の8Kテレビの本命になるのでしょうか。新製品の詳細をレポートします。

8Kチューナー搭載の85V型液晶BRAVIA「KJ-85Z9H」

○ソニー初の8Kチューナー搭載BRAVIA。85V型で約200万円

日本は世界で唯一、8Kコンテンツが放送されている国です。2018年12月に8K放送がスタートしており、まだ番組表は発表されていないものの、東京オリンピックの映像がNHK BS8Kでも放送されるはずです。8K放送を視聴するには、対応テレビのほかに受信用チューナーも必要となります。

ソニーが今回発表した、8K/HDR対応「BRAVIA Z9H」は、同社初の8Kチューナー搭載液晶テレビ。85V型「KJ-85Z9H」1機種で、発売予定日は3月7日。価格はオープンプライスですが、税別200万円前後での販売が予想されます。

KJ-85Z9H

Z9HはBS8K、BS4K、110度CS4Kチューナを2基、地上/BS/110度CSデジタルチューナーを2基搭載。8Kの放送番組を録画して、あとから好きな時間に繰り返し観たい人のために、外付けHDDへの録画機能を搭載しています。なお、BS4K/8Kチューナーについては、2基のうち1つは視聴専用チューナー、もう1つは録画専用チューナーとなります。

値段もさることながら、やはり85V型という画面の大きさで、日本の一般的な家庭のリビングルームに設置できるのか気になります。

スタンドを含む本体サイズは191.3×43.2×122.6cm(幅×奥行き×高さ)、重さは75.8kg。スタンドを除く本体の厚みは12cmです。パネル周囲のフレームはスリムなデザインですが、バックライトを搭載する液晶テレビなので、奥行きは最新の有機ELテレビよりはやや厚めです。

2本のテーブルトップスタンドでパネルを支えるデザインですが、Z9Hの導入にあわせてテレビを壁にかけて設置してしまえば、テレビ台の置き場所を省けるぶん、部屋のスペースが有効に使えるかもしれません。

最適視聴距離は約2.5〜3m。ソニーでは、85V型のテレビを置いて楽しむ部屋の広さとして20畳程度を推奨しています。

左右のテーブルトップスタンドでパネルを支えている。スタンドを外して壁かけにもできる

○鮮明な8K映像を! 独自の高画質技術が満載

新しい8K BRAVIA「Z9H」は、85V型で8K/7,680×4,320ドット液晶パネルを採用。パネルの背面に高密度に敷き詰めたLEDバックライトを1つずつ独立して駆動させ、より細かな範囲で映像の明暗を再現するソニー独自の直下型LED部分駆動技術「バックライト マスタードライブ」に対応しています。

85V型で8K/7,680×4,320ドット液晶パネルを採用。周囲のフレーム内にブレードが備わり、真っ黒な額縁のように見えるが、これは光の影響を抑えるだけでなく放熱性も考慮したデザインだという

8Kパネルはひとつの画素サイズが小さくなるため、光の透過率が低下して画面が暗くなりがちです。Z9Hでは、独立駆動するLEDバックライトを強く発光させることで明るい8K映像を実現するという独自の技術「8K X-tended Dynamic Range PRO」を搭載。映像の明部を明るく輝かせて、生き生きとした透明感を引き出します。

発売前の試作機の映像を確かめてみると、明るさのピークから深く沈む黒色まで、なだらかな中間階調の表現力にも富んだHDR映像を見事に再現していました。大きなパネルに近づいて映像を見ても、画素がまったく目立ちません。

ソニー独自の機械学習によって培った8K映像データベースを参照しながら最適な超解像処理を行う「8K X-Reality PRO」により、8K以下の解像度の映像も抜群の精細感を再現します。

KJ-85Z9Hが描き出す8K映像を、正面から見たところ

正面下部のソニーロゴまで近づいても、画素がまったく目立たない

85V型のテレビはパネルの背丈も高くなるので、人物などの被写体にクローズアップした映像も迫力満点。たとえば人物を引きでとらえた映像は、解像度の高さと相まって、まるで実物大の人がそこに立っているようなリアリティが引き立ちます。

スポーツ大会の開会式の入場行進など、あえて人物の全身をとらえる映像を多用することによって、8K映像を大画面テレビで見ることのメリットが伝えられるかもしれません。通常の放送番組と別に切り分けた、8Kコンテンツならではのカメラワークがこれから大事になると感じました。

什器の上に載せたKJ-85Z9H。脇に立つモデルの女性と比べると85V型テレビの大きさが伝わるだろうか

リビングに家族が集まってテレビ番組を楽しむとき、全員が画面の真正面に並べるとは限りません。精度の低い液晶パネルだと、斜め視点から画面を見ると映像の明るさや色合いが崩れてしまいます。Z9Hはパネルを横からのぞいても映像が破綻しない「X-Wide Angle」技術を採用しています。

また、被写体の動きが速い動画も、明るさを損なわずにくっきり再現する「X-Motion Clarity」を搭載。これらの高度な映像技術を、ソニー独自の高性能エンジン「X1 Ultimate」が制御します。

○音にもこだわったZ9H。映像は「トップレベルのできばえ」

高精細な映像と一体になったクオリティの高いサウンドがテレビ単体で楽しめるように、Z9Hには「Acoustic Multi-Audio」というオーディオ技術が搭載されています。

テレビ内蔵のオーディオシステムは2.2ch構成。本体正面の上下に中高域を担うツィーター4基とミドルレンジスピーカー8基を載せ、背面には低域再生用のサブウーファーを左右に各2基、計4基搭載しています。スピーカーの数は計16基で、アンプの実用最大出力は80W。パネルに映し出されている映像から音が鳴っているような、鮮明な定位感が得られます。さらに、Dolby Atmosにも対応しています。

KJ-85Z9Hの正面。写真では分かりにくいが、パネルの上下フレーム4カ所にミドルレンジスピーカーとツイーターを内蔵している

背面。こちらも写真では分かりにくいが、中央上部にサブウーファーを左右に一対内蔵している

プラットフォームにはAndroid TVを採用。無線LAN機能と有線LAN端子を備え、インターネットに接続できます。NetflixやAmazon Prime Video、TSUTAYA TV、YouTubeといった動画配信サービスも、アップコンバート機能を活用しながら高精細に楽しめます。

音声アシスタントはGoogleアシスタントとAmazon Alexaに対応し、リモコンなしのハンズフリー操作で音声によるコマンド入力ができます。Chromecast built-inもサポート。アップルのAirPlay 2やHomeKitについては、発売後のファームアップデートで対応予定です。

HDMI入力は4系統で、すべての端子において4K/60p入力に対応し、HDMI 4は8K/30p 4:2:0 8bit入力も可能です(後日アップデートにて、8K/60p 4:2:0 10bitにも対応予定)。4K/120fpsのハイフレームレートの映像にも対応します。HDR信号はHDR10、HLG、Dolby Visionをサポート。HDMI以外にはAV入力、ヘッドホン出力、光デジタル音声出力を各1系統、外付けHDD用を含むUSB端子を3系統備えています。消費電力は945W(待機時0.5W)。

KJ-85Z9Hの付属リモコン。上部のアプリボタンには「TSUTAYA TV」ボタンが追加された

完成前の試作機の映像を観た限りですが、透き通るような映像の透明感、ディスプレイの向こうにある熱気が伝わってくるような生々しさは、今ある8Kテレビの中ではトップレベルのできばえでした。アップコンバート機能も秀逸なので、8K放送以外の番組や4K Ultra HD Blu-rayソフトを見るときも、Z9Hを手に入れたことの喜びをオーナーに実感させてくれるでしょう。8Kテレビを展開するライバルとの熱い戦いが繰り広げられることは間違いなさそうです。